PICTURE DIARY 0711WE2012


東京スカイツリー、ソラマチの壁画の原画が星のアトリエに帰って来た。久し振りに対面すると、遥か昔の遠い彼方からやって来たように見える。昨年2月頃から11月半ばにかけての仕事だっただろうか。全く切り詰めた時間の中で、スタッフの皆さんのお陰で充分に組み立てることが出来た。良いチームワークだったことを思い出して、胸を熱くする。今見れば、ああもすれば、こうもすればと考えることは容易い。それは仕事が済んだ今だからであって、人との出会いの中で仕事はなされ、これから出会うであろう人への贈り物として仕事は遺される。良い仕事は良い人との出会いの証であり、良い人との仕事には証を求めるものではない。得難いこととして感謝を捧げるのみだ。

PICTURE DIARY 0611TU2012


一日ゆっくり休む。雨でもあり、朝から温泉プールのある宿へ。ゆったりと泳ぐ。部屋でくつろぎ、内湯に浸かり、体から邪気を抜く。窓の外には濃い霧が立ち込めて、木々や建物の影や姿を幻想的なものに変える。ここでは、見るもの聞くもの感じることの全てが味方になる。

PICTURE DIARY 0511MO2012


空気が乾燥しているので雨が降ると潤う。微かな雨音が心を解す。香を焚いて気持ちを鎮める。眼に映るものをぼんやりと眺め、とっくに冷めてしまったお茶をすすって、少しの甘味を確かめる。心と体、次への準備に入る。

PICTURE DIARY 0411SU2012


毎日DESIGNTIDEの会場にフルタイムでは無いにせよ顔を出し、SUZUMO CHOCHINを見る人を見たり、デザインとは、表現とは、と言うことと、来場する人々の興味の方向と好奇心の強弱に向き合い、傍観し、考えを巡らす。この場においてある方向が見えるのも確かなことだ。素材、材料から作るデザイン、手作りの大切さ、価格が高くなるとを恐れないと言うこと。手作りの大切さとは、全て手で作ると言う意味ではなく、手をかけること、一手間かけること。コンピューターを始めとする道具を否定することでは無く、使い方も含めた手間のこと。価格については、各々の身の回りで気持ち良く、共に時を過ごす品々は、それに相応しい素材や造りが伴わなければならないので、コストの問題が最優先では無い時代になったと感じる。作り手と使い手のインスピレーションが、程良く高いレベルでシンクロして行くことが楽しい。

PICTURE DIARY 03111SA2012


デザイナーがクライアントの依頼を受けてデザインをするだけの時代は終わり、デザイナー自身が商品を作り、マーケティングして販売する時代になる。そして、これからデザイナー自身が素材から開発してものを作るという時代に入る。人の手に頼るばかりではなく、自分の自分達の手で作ること。それが楽しいことであるように育むこと。どちらにしてもアイデアと実行する力。

PICTURE DIARY 0211FR2012


マウリツィオ・ポリーニ、ポリーニ・パースペクティヴ2012、サントリーホールでのプログラム。ベートーヴェンとシュトックハウゼンを聴く。シュトックハウゼンのピアノ曲はまるで森羅万象を凝縮したような、自然の景色や出来事をデフォルメしたような清々しいもので、メシアンに師事していたのだと言うのもうなづける。ポリーニの演奏は、聴いていてこんなにも緊張するコンサートも珍しいほど。譜面めくりの紙の音がホールにこだまし、さらに、譜面めくりのタイミングが合わないらしい様子。客席で体が硬直し大理石の彫像になったような気持ちになる。ピアノの音に削り出されるような感覚だ。一転してベートーヴェンのピアノソナタでは熟達し切ったピアノをさらりと聴かせてくれる。あまりにもさらりとしているために、そしてシュトックハウゼンとの強いコントラストのためにか、急激に眠くなるが、それは良いサインだ。ポリーニのベートーヴェンは非の打ち所なく後になって効いて来る性質のものだ。もちろんのことだがCDなどで聴き馴染みのある音とは違い、そこには静かで美しく激しさを秘めた生き物が、おとなしい振りをして、小さく低く、唸り声を圧し殺したように、知らぬ顔をして獲物を狙っている。ぼくは時を隔てた革命の音を聴いたのかも知れない。獲物が仕留められたことを知るのは革命の騒ぎの後。全く対照的なシュトックハウゼンとベートーヴェンに、安全とは言えない目論見を聴く極上の一夜だった。プログラムは以下に。
シュトックハウゼン:ピアノ曲7、ピアノ曲9。ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第24番嬰へ長調op.78「テレーゼ」、ピアノ・ソナタ第25番ト長調op.79。休憩。ピアノ・ソナタ第26番変ホ長調op.81a「告別」、ピアノ・ソナタ第27番ホ短調op.90。アンコール。ベートーヴェン:6つのバガテルより、変ホ長調op.126-3、ロ短調op.126-4。以上。

NEWS-MIC*ITAYA EXHIBITION TWINKLE


MIC*ITAYA EXHIBITION TWINKLE
12.12wed.-25tue.2012 DMOARTS

ミック・イタヤ トゥインクル展 それはおくりもの。
ちいさくてかわいいもの。
宝石ではなくてもキラキラして輝いているもの。
美しいもの。カッコいいもの。
それを尊いと感じられる人がもらえるもの。
贈る人も、もらう人も、それを見る人も、見守る人も、みんなが喜ぶもの。
ロンドのように輪になってめぐり、新しいイマジネーションが生まれるもの。
ハッピーにつながる証し。抱きしめたくなるもの。

★トゥインクル・ファクトリー 12月15日 sat. 16日 sun. 14:00-18:00
ミック・イタヤが、あなただけのMy First ARTをその場で描きます。
詳しくはWEBをご覧いただくかギャラリーへお問い合わせ下さい。

★オープニング・レセプション 12月15日 sat.18:00-20:00 どなたでもご参加いただけます。

DMOARTS
〒530-8558
大阪市北区梅田3丁目1番3号
JR大阪三越伊勢丹3階
TEL:06-6485-7341
http://www.dmoarts.com/access/

PICTURE DIARY 0111TH2011


DESIGNTIDE2日目。TIDE tableで英国人デザイナーの講演を聞きながらが学生時代を思い出した。美大生時代、出された課題に対して、どういう風に課題違反すれすれの独自の解釈を施すか。教授の出す、ある意味で定まった意図のある課題に対して、どの様な裏をかけるか。教授や仲間たちの持つであろう観念をどう覆すことが出来るのだろうか。既成概念を壊して、新しいものを組み立てられるか。自身や他者がぼくの仕事に常に求め、求められて来たものが既成概念に囚われないことであるとは言えないが、気が付くとぼくにとっては重大なテーマになっている。これからのアートとは、デザインとは。午前中に、手近の棚やテーブルの上などを飾るように散在する、何になるのか、あるいはすでに何かであるかも知れない作品のためのモチーフやマテリアルの断片的なものを組み合わせて、一つの作品となりうるかどうか寄せ集める。1989年の素材と2000年の素材、そして先日買ってドライになった薔薇の花。それらが組み合わさってどんな意味を持つのかは知らない。例えばある時刻の同じ電車の、同じ車両の向かい合わせに座った乗客同士に、どんな関係があるのか見出だせるものだろうか。たまたま同じ靴をはいていたり、あるいは降りる駅が同じだったり、あるいは腹違いの兄弟であったりなど。誰が知る。たまたまの邂逅が作品を生み、重大な意味も生む。

DESIGNEWS-dogbox


1001夜
masahide sakuma
goodnight to followers
live at last waltz
15th nov.2012

絵は、犬たちを愛する佐久間正英が、眠る時間を忘れて、多くのミュージシャンたちとたくさんの音楽の夢を実現したdog house studioのためにと、ビジュアルアーティスト、ミック・イタヤが十数年に渡り毎年クリスマスに描いたdog house godシリーズから選んだ作品の一部です。佐久間のアルバムをイタヤがデザインしたり、イタヤのアルバムを佐久間がプロデュースしたりと言うこともありましたが、以前お互いの家が近い所にあった頃は、犬の散歩の途中で、あるいはパン屋で、マーケットで、偶然会うことも不思議ではないことでした。お互いに居を移して離れた所に住む現在でも、街中でばったりと偶然に出会うことの多い不思議な縁の二人です。お休み音楽の1001夜を通じて、このdog boxをお手に取り小冊子などをご覧のあなたも、お休みの前の、あるいはお休みの間の素敵な散歩、夢の散歩に出かけることにいたしましょう。夢の中での出会いを楽しみに。

佐久間正英 goodnight to followers
スペシャルパッケージ
“dog box”
限定100セット

CD 1枚
20P ブックレット 1冊
ポストカード 2枚
犬のウッドピンチ 1個
おやすみカード 1枚

music:masahide sakuma
visual:mic*itaya
design:mic*itaya inspirational
designers:noriyuki yokota/pobd,ayako sakai/m*ii

©2012 vitamin publishing & power of beauty

http://masahidesakuma.net/

PICTURE DIARY 3110WE2012


DESIGNTIDE初日。出展するデザイナーたちと話をしたり作品を見たりしていると、全体が確実にある方向を指し示している。それぞれのアイデアや工夫の次元が高く、デザイン、つまりは、機能に形を与え、見いだすことの質と方向性がデザインという行為や考え方を巡って、独特な新しいコミュニケーションの在り方を呼び起こしているように思える。DESIGNTIDEの会場や出展者数は程好い大きさと数で長く居てもくたびれない。小さすぎると寂しいものだし、大きすぎても見切れない。徐々に色々な興味深い出展者たちを訪ねて話を聞いてみたいと思う。デザインの未来が透けて見えて来る。

PICTURE DIARY 3010TU2012


DESIGNTIDE始まる。プレスプレビュー、オープニングレセプションと続く。出品者、出展者にお顔を見知った方も多くなった。プロダクトデザインの世界に交ぜていただいて、新しい世界の勉強をする楽しみと同時に、畏れ多くもある。DESIGNTIDEの特質の一つはスタッフ、参加者、お客様方と、新しいデザインはみんなの歩みと共にあるところ。プレゼンテーションをする斬新な作品や商品に何を見るか、何を感じるか、その興味の中心は何か、どのような所なのか。そして、すずも提灯の何を素敵だと思い、何が足りなくて何が過剰なのか。それらを客観的に見極めようと言うのが今回の大きなテーマの一つである。すずも提灯にどのような未来が見えるのか、見ようとするのか。DESIGNTIDEの質の高い来場者の空気感と表情を感じたい。

PICTURE DIARY 2910MO2012


DESIGNTIDE TOKYO 2012、東京ミッドタウンホールへ搬入。暗室提灯と10種類のすずも提灯をディスプレイする。提灯の白は、会場全体のデザインにも合って良く映る。明日はオープニングレセプション。11月4日日曜日まで星のアトリエとの間を行ったり来たり。3年目の参加となる今年は、一つの区切りとなるよう気持ちを込めて。すずも提灯は、ほとんど全てが職人さんたちの手作りなので生産数も限られ、価格もそれなりのものになる。日本の風土が育んだと言える伝統のある工芸品、水戸の水府提灯に照明器具と言う新しい役割を見出だした。面白い仕事だが苦難も多い。これから5年10年と積み重ねて行く道程に仄かな光を織り込んで行く。地味で地道な作業をいとわずに。搬入を終えて、テーブルの上に並んだすずも提灯を見ながら考える。

PICTURE DIARY 2810SU2012


実家にある三本の柿の木のうちの一本。高いところにたくさんの実をつけてぼくの帰りを待っていたようだ。雨模様の天気だったのでどうしようか、と迷ったが、今日が良い日と赤く色付く寸前の柿の実に促されて、採ることにした。赤く色付き、赤を通り越した色の熟した実は、落ちて土を豊かにし、落ちる前に鳥たちの餌になり、いくつかは彩りと鳥たちへの楽しみとして残しておくとして、フーデッドパーカーを着て、高枝切鋏をよっこらしょと担いで柿の木に挑んだ。枝に一つ二つと実がついているが、そんな細い枝は切りやすい。しかし、一つ二つずつではどれ程の時間がかかるかなと考えた途端に、日暮れもそう遠くなく、ついつい欲を出して三つ四つ五つと、たくさん実をつけた枝を落とそうとする。すると枝も太く、高枝切鋏ですぐに切れるものではなく、やっと切れたかと思うと枝と柿の実の重さには耐え難く、途中の枝や葉にさえぎられて実を落下させたり、切った途端の勢いで枝ごと地面に落としてしまったり、せっかくの柿の実を傷つけ、割ってしまう。やはり欲を張ってはいけない。己の力に相応しい採り方をせよと雨中の柿の木を見上げて教えと赦しを請う。しっとりとした秋雨に濡れながら、柿の木に挑むような考えを持った自分が可笑しいと思った。分けていただこうとの謙虚な心持ちはどこへやら、時間が無いのを良いことに、たくさん実を採るぞと短気な格闘といったことをした滑稽なぼくがいた。星のアトリエへのお土産にと、母にたくさんの柿の実を二つに分けた袋にどっさり入れてもらい、星のアトリエのスタッフは柿の実の美味しさをあまり喜ばないのを思い出し、これは自分がせっせといただこうと考えて、またまた気持ちに力が入って呆れた

PICTURE DIARY 2710SA2012


今日あたりの雑感少々。小西康陽氏がプロデュースした八代亜紀さんの曲、面白い。歌える人が歌うと新しい命。昨夜の民放地上波で、日本の自転車ロードレース、ジャパンカップを放送していたこと。人づてに聞いた話だけど、凄いね。関係者にとっては積年の夢が実現の感あり。一歩前進。ギタリスト渡辺香津美氏の最新ソロアルバム。サキソフォン奏者、清水靖晃氏が参加の曲、さらりとした根のはった力感が秀逸。京都の玄米は、やはりふわふわと炊ける。京都の食は何でもふわふわしていて楽しい。眼や頭を使う仕事ではカルシウムの消費が激しいので、こればかりはサプリメントで補う。ポリーニ氏のピアノは、専任調律師のファブリーニ氏によるスタンウェイのカスタムメイド。11月2日、ポリーニ氏がどのような音をならすのか興味は尽きない。道具について、便利なものには必ず許し難い欠点があるものだなと思う。不便と言われるものは欠点を含めて可愛いと思えることが多い。鍋の季節だ。野菜鍋、茸鍋、蟹鍋等々。今日、今年最初のおでん食べた。

PICTURE DIARY 2610FR2012


今日は少しだけ早いけれど、昼食後にデザイナーの横田氏の誕生パーティーを開いた。星のアトリエの儀礼に従って、希望のケーキを用意し、誕生日の歌を歌い、ケーキの上のろうそくの灯を吹き消す写真を撮り、各自がささやかなプレゼントを贈り談笑の会とする。昼食後のサンルームは明るく暖かく、テーブルを囲んでレアチーズとマスカルポーネのケーキは、お腹にお行儀良く収まった。意識下の深層から無数の泡のように登って来ては消える繰り返しのイメージ。定着しようのない泡で意志を形作るのは困難だ。ほぼ垂直に昇る泡の軌跡を意識の容れ物を動かすことで自由な線にしようとする。泡の一つを捕まえるのは大変難しい。無数の泡はどれもこれも何を閉じ込めているのか、バラエティーに富んでいるから、結局はどれを捕まえても面白いが、しかし、意識の深層にいつも素晴らしいものが潜むとは限らない。ケーキやお茶や素敵な時間で丁度良く温まった心や体には、餓えた望みは持ちにくく、その分、意識の器の平衡は保たれて、泡の全ては昇ることを中止している。泡、OUR、HOUR。

PICTURE DIARY 2510TH2012


車のラジオから流れて来るクラシック音楽は、交響曲であれオペラであれピアノ、バイオリン、フルートその他何であれ、自分自身の耳が受け入れる余地が大きいと感じる。車のラジオから聞こえて来て好きになったクラシックの曲や番組は多い。しかし、だからと言って曲を用意し車載で聴くと何だかしっくりと来ないのは不思議だ。リズムが合わないと言うか、クラシック音楽独特の感情、情緒、そして何より可変的なテンポがドライブのドライブ感を違和感の多いものにする。車のドライブと音楽のドライブ感、これが一致しないとグルーブが出ない。ラジオから流れ出るクラシックは、多分放送用の音として圧縮されている分だけ、キラキラして聞こえるのだと思う。キラキラに慣れた耳にはクラシックにも充分にドライブ感を感じ、特別なフィルターで聴き拾うことが出来るのかと思う。

PICTURE DIARY 2410WE2012


鈴木茂兵衛商店の由元氏、暗室提灯を運んで星のアトリエに来る。暗室提灯とは、来週から始まるDESIGNTIDEのディスプレイで使用するもので、提灯を展示するのに、当然のことなのだが展示会場と言う所は明るくデザインされているので、提灯の造形的な部分は明るい方が良く映るが、点灯時の可憐な様子を見ていただくためには何しろ暗がりが欲しい。昼行灯と言う言葉があるが、昼提灯だ。日中に灯をともしてもボンヤリとして役に立たない。会場に大きな暗室を作っては会場全体のイメージやデザインに著しくそぐわないしコストもばかにならない。あれこれ考え知恵を絞ってその末に考えついたのは、灯台下暗し、餅屋は餅屋のアイデア。大提灯の内部を黒く遮光して、内部にすずも提灯を入れる考え。早速、鈴木茂兵衛商店の武政専務による陣頭指揮のもと、見事な暗闇提灯が出来上がった。星のアトリエでSUZUMO CHOCHINのマークやロゴの大きさと位置を決めて、水戸へ持ち帰ってもらう。提灯本体は、失礼ながら予想を上回る出来で、そもそもは明るいはずの提灯の内部の暗闇の中から、すずも提灯が明るく灯る様子は、異次元の世界への出入口の雰囲気さえ感じられる。発想を転ずること楽し。

PICTURE DIARY 2310TU2012


低気圧のせいもあり集中困難の日。一人で居るとぼんやりとして頭の中身は白濁した温泉の様相。意識の水面に近い所で急にイメージの容貌がはっきりして慌てるが、確かすぎて捉えられない。果たしてイメージは浮いたり沈んだりしていただずらに遊びが多くなるだけだ。絵を描こうとする時に、言葉の持つイメージは大切な要素だが、囚われすぎたくはない。あるいは囚われたいと切望する。そんな繰り返しの一日。昨日までの信念が霧散して呆然とする。霧を水滴にして器に戻し、信念を取り戻す作業。非常に困難。しかしそんな時間は長く続かせることは無い。線が走り出せばぼくの世界だから。facebookに大阪でのMIC*ITAYA EXHIBITION TWINKLEのファンサイトが立ち上がる。走り出す。ゆっくりと。

PICTURE DIARY 2210MO2012


大体いつも20分位は待つものだ。直径1200mm程のミラーボールが2基のオペラレッドのスポットライトを受けながらゆっくりと回転している。前や後ろの席の客の話し声や時折聞こえて来る意味の聞き取れない、あるいは意味の分かる音節、それらがひそひそとした静けさの中から浮かび上がるような音量で耳に入る。他愛のない世間話。仕事や食事などの。前後の客から聞こえて来る共通の話題は、入口で手渡されたオレンジ色の一組の耳栓のこと。コレクションで使用する音楽のあまりの爆音に、鼓膜をやられないための優しい配慮だが、前後の客共に鼻に詰めたりして、と言って笑い声。現に前の客は鼻に詰めて見せた。客電が落ちてからの20秒、会場はピアノのコンサートホールのピアニストが登場する瞬間までの静けさよりも更に静かになった。そしてMarshallの3段積9セットが唸りをあげて椅子をビリビリと響かせる。スモークが焚かれ、ミラーボールの光の筋が放射状に広がって会場が前後左右にゆっくり動いているような錯覚を生み、長髪のウィッグを付けたモデルがユラリと歩いて来てLad Musicianの2013S/Sコレクションは始まった。なぜか懐かしい暗闇のショウ。ロックを始めた17の頃の。

DESIGNEWS-SUZUMO CHOCHIN PACKAGE


SUZUMO CHOCHIN PACKAGE
CREATIVE & ART DIRECTION : MIC*ITAYA
DESIGNERS : NORIYUKI YOKOTA / POB DESIGN
SANEMASA MUSHAKOJI / CHERUBIM
AYAKO SAKAI / M*II
DESIGN FIRM : MIC*ITAYA INSPIRATIONAL
CLIENT : SUZUKIMOHEISHOUTEN CO.,LTD.

PICTURE DIARY 2110SU2012


森の中の古池に一羽の鷺が居て、彫刻のように微動だにしない。楕円形に近い紡錘形の体と羽根の間に頭をかくして、二本の足は池の水に屹立させたまま、じっと動かない。その静けさに満ちた景色からは想像もつかない程の気を発散させているのが理解るのでじっと見ていることは出来ない。古池と一羽の鳥の力強いオブジェのある自然。もうひとつの別の池で今度は白鷺が佇んでいる。これもまたじっと動かないかと思いきや、その長い首を逆向きの2の型にして見せたかと思うと、己が姿を水面に映して2羽の天地を逆にした白い鳥はゆうゆうと50m程ふわりと滑空して向こう向きになり、どうだい?とこちらを振り向く。

PICTURE DIARY 2010SA2012


秋刀魚。サンマ科の海産の硬骨魚。全長約40cm。体は細長い。背びれ、臀びれの後方に数個の副びれがある。背部は青藍色、腹面は銀白色。北太平洋に分布し、晩夏、北海道方面から南下し、秋、千葉県沿岸に達する頃には美味。ぼくの大好物のうちの一つ。塩焼きが一番。大根おろしを付け合わせて、焼きたてをぱっぱといただく。頭と骨以外は残さない。子供時代のある時から、秋刀魚を焼くのはぼくの役目で、コンロに炭火を起こして、油が垂れて煙や炎を上げないように上手に焼いた。今日は絶対に秋刀魚を食べようと、朝、起きた時から決めて、他の何よりも最優先した。お陰で極上の、かまどで炊いたご飯と一緒にきれいにいただいた。ごちそうさま。
一部広辞苑より引用

NEWS-DESIGNTIDE TOKYO 2012 OPEN

つぼみ BUD
とり BIRD
まめ BEAN
らっかせい PEANUTS
きのこ MUSHROOM
なつのくも SUMMER CLOUD
あきのくも AUTUMN CLOUD
まんげつ FULL MOON
しずく DEW
まつぼっくり PINE CONE

すずも提灯S
販売価格¥27,300

すずも提灯/SUZUMO CHOCHINの新作10種類で
DESIGNTIDE TOKYO 2012 TIDE MARKETに参加いたします。

DESIGNTIDE TOKYO 2012
10月31日水曜日ー11月4日日曜日
11:00ー20:00/最終入場時間19:30
東京ミッドタウン・ホール

DESIGNTIDE TOKYO 2012 オフィシャルサイト
https://designtide.jp/2012/market/06

PICTURE DIARY 1910FR2012


ある雑誌の特集ページで、ドライブミュージックを5曲選んでコメントが欲しいと言う依頼があった。音楽と車。切っても切れない関係。ある映画監督の車に同乗した際に、フロントウインドウに展開する景色が変わる度に、その風景に合わせて車内に流れる音楽を替えるので驚きながらも面白かった覚えがある。左折してこの曲、右折してこの曲、直線のプラタナスの並木道でこの曲、信号待ちではこの曲、女の子が横断して来てこの曲と、シーンに合わせてごく自然に音楽を変える。確かにその調子で美しい映像がふわりとクロスしたりワイプしたりと、つなぎのテンポ感やスピード感が洒落て格好いいのが持ち味の監督なので、車でドライブのみならず、毎日の生活の全てがこのフロントウインドウのスクリーンのような感じで擬似撮影され擬似編集され、即興的なライブ映像として展開されているのだろうと素直に納得した。ぼくは車の運転は大好きで、長距離のドライブなどは苦にならない。眠たくなる以外は。そこで、と言う訳ではないが、普段は大音量で聴くことの出来ない音楽を爆音で鳴らす。勿論監督のように一曲一曲景色に合わせてと言うことはなく、あるいは好きな曲だけ選ぶと言うことでもなく、アルバムを一枚通してと言う聴き方をする。一枚を通してと言う作り方をしたアルバムが好きなので。曲のアレンジも細かい感じのものより、一音一音に意思の感じられる、ボーカル、ギター、ベース、ドラムスがシンプルで切れのある音像のアルバムが良い。しっかりと録音されたライブアルバムを聴くことが多い。ドラムのキックの音がどんな具合かは最重要だ。高速道路をゆったりと走るために。

CURONECOMIC 83

PICTURE DIARY 1810TH2012


昼前の、人気の無い住宅街の交差点の斜め前方に黒と灰色の服を着た女の人が立っている。よく見ると知人である。その女性はクリッと大きな眼を見開いてどこかを見ている風なのだが、視線の先の空間には何も無い。空か、とも思ったがそれにしては視線が低く、遠目から見ても、瞳の焦点は交差点の真ん中の空中あたりにあるので、何か考え事をしているのか、または全く何も考えていないかのどちらかだと思われる。さらに注意して見ると、灰色のスカートから覗く黒のロングブーツの爪先の示す先に、そのリードも黒く、首輪も黒い黒灰色のプードルがじっと佇んで居て、犬も前方をぼんやりと見ている。今にも雨粒が落ちて来そうな白灰色の空とアスファルトグレーの路面、そして背景のコンクリートと石垣の灰色に、彼女の白っぽい顔色や見開かれた黒い瞳が瞬間の絵になって、全ての調子が対比し溶け合ってグレースケールの世界になっている。オレンジ色のレザーブルゾンと履き古しのパッチワークジーンズで自転車に跨がり信号待ちをしている、彼女の位置から見ても斜め前方に居て、多分同じように灰色の世界を背景にしたぼくは、少しは派手なコントラストで目立つ見え方をしているに違いないと思えるのだが、信号が変わって走り出すぼくと自転車には全く気付く様子も無く、思い切り手を振るぼくは手を振りながら、これは気付かれずに擦れ違うのだなと言う可笑しさに笑いながら通り過ぎた。これが今日一番の出来事。すべてがグレーの、何も起きないストーリー。ちょっとした挨拶さえも。

PICTURE DIARY 1710WE2012


15時過ぎからほんの少し雨が降り出して、打ち合わせが済む頃には止むかな、と何とはなしに思っていたのだが、打ち合わせが終わって外に出てみると、ほんの少しの雨が、さらにほんの少し強くなっていて、星のアトリエから5-6分の距離だったが、帰りは登り坂になるので、これ以上強い雨になるとじんわり濡れてしまうなと思う。星のアトリエを出て打ち合わせに向かう時、帰り道が少し遠回りになるけど、美味しそうなアップルパイを売る小さなお店があるので、買って帰って後で皆でお茶にしようと考えたのだが、雨の強さにほんの少し気持ちが揺れて気後れがした。真っ直ぐにアップルパイを買いに、登り坂を力一杯こいで4種類のアップルパイを買い、皆でお茶にした。それはとても幸せな時間。雨はだんだん強くなって夜になり、帰る時間の頃に、星のアトリエのサンルームのガラス扉の前に、カエルが居る。まだこれから大きくなりそうな中型のガマガエルで、じっと室内を見ている様子。これは冬眠の前にひと風呂なのか、ひとシャワーなのかを浴びて、ちょいと挨拶に来たのだなと思う。秋の雨は一雨ごとに寒さが増して、ガマガエルもこれから星のアトリエのどこか、または、小さな庭のどこかに潜り込んで冬を越そうと言うのだろう。この地の主の挨拶に、挨拶を返す。更に雨は激しくなり、止む頃に姿はない。

PICTURE DIARY 1610TU2012


一日打ち合わせの日。有意義な顔合わせが続いて愉快な一日だった。素敵な仲間と素晴らしい仕事を伸び伸びと出来ること、この上もない喜び。TOKITOのウールカシミヤのコート、申し分ない。フード付き。自転車等に乗る時のために裾をからげるように工夫がある。早く着たいと思うが、まだ少し早い。TOKITOの服の洒落気は次元が高く愉しみが深い。

PICTURE DIARY 1510MO2012


DESIGNTIDE TOKYOの開催が近付いて来ている。SUZUMO CHOCHINでTIDE MARKETに参加するのだが、その準備が佳境に入った。今回出展する提灯は、すずも提灯の球面台座シリーズと呼ばれる起き上がり小法師の仕組みを持つ、倒れないデザインのものだ。電池と家庭用電源の両方使えて持ち運びも便利、可愛らしい。台座と支柱の基本的な構造はそのままに、火袋の部分、つまり和紙とヒゴとで出来た提灯の本体部分に全部で10種類のデザインをした。全て自然界からのモチーフで、つぼみ、とり、きのこ、まめ、らっかせい、なつのくも、あきのくも、まんげつ、しずく、まつぼっくりと、誰の心の内にもあり、ぼくの心にも強く残る故郷の印象、そして水戸をイメージするラインナップとした。火袋の種類はこれからも増やして行けたらと思う。朝からデザインチームと、すずも提灯の組み立て、分解の仕方を撮影して4分程のカジュアルな取扱説明書用の映像を制作した。youtubeで見ることが出来る。

PICTURE DIARY 1410SU2012


友人と話をしていて、最近いつもイライラしたり、すぐに怒ったりするような人が多くないかと言う話題になり、確かにそうだなと思う。まずなんと言っても、自分自身にそのようなところがあるなと感じる。何かしようとしたり思い付くともう待てない。急ごうとする、急げと促す。自分の思いどうりにならないと剥れる。そして怒ったような調子になる。物を置く時に投げ出すような置き方をしたり、絵具が乾くのを待てない。元来せっかちなところがあるが、気になる。反省すべき点は多い。物事には道理や順序、成り立ちがあり、黙って静かに見守るのが良い場合も多い。季節の流れの中で、植物が育つのを眺めて感じようと言うときに、見えない地下の根のことを知らずに、地上に見える茎や葉だけを見て、早く育て、早く実を付けろと言っても難しい。自然に任せるのが良い。何よりも土壌が整わないことには。心穏やかにお茶でも飲んでゆっくりとしよう。

PICTURE DIARY 1310SA2012


ミック・イタヤの作品は、愛と平和と美の絵が基本。ストーリーのある絵とデザイン。ストーリーをイメージし感じることが出来る絵とデザイン。作品を創る上で大切に思うこと。男性が見ても、女性が見ても、子供が見ても、大人が見ても、性別や年齢、世代や人種を越えて、見る人の心が少しだけでも明るく輝くような作品であること。ロマンチックでポエジーが宿る線で綴る、特定の宗教からは離れた天使、女神、神話の神々、西洋のそして東洋のモチーフ。過去、現在、未来の線上にあり揺るぎのないものを現そうとすること。母なる女性の心も体も安らぐ作品であること。子供たちに語り伝えることが出来る、家族を見守り歴史になるものであること。喜び、楽しみ、そして誇り高く、さらに高貴であること。自然であり素直であることを尊重し、作品に取り組む際には無になること、さもなければ、せいぜい夢中になること。表現は人に寄り添うものであり導くものである。説明などは出来なくとも美しさを感じることが出来るものである。抽象、捨象も同時に現し、線、面、色、立体、映像、アート、デザインなどを組み立て組み合わせ、五感全ての表現に分け隔てはない。第六感も含めイメージ、イマジネーションと美の力を信じる。

PICTURE DIARY 1210FR2012


大阪の個展まで2ヶ月。DESIGNTIDE TOKYOまであと2週間と少し。見る夢がなんとなく切羽詰まった感じになっている。運動しよう。一日に1時間は運動するように。動くと調子が良い。歩く、自転車に乗る。素敵な花屋さんを見付けて赤い薔薇を一輪。

PICTURE DIARY 1110TH2012


カルメン・マキの「山羊に引かれて」が耳から離れない。髪が大分伸びて、そろそろ切らないと、と言う長さになった。ボーディングの山吹色のコーデュロイスーツを着て自転車に乗る。暑かったけど気持ちが良い。朝の打ち合わせで会った女性が溌剌と明るくて素敵だ。以前お会いしているはずなのに、同じ人には思えなかった。昔馴染みの洋服屋さんに10数年振りにふらりと入ってみたら、変わっているのは商品と内装で、以前と同じ空気が充満していた。昼にサンドイッチでもと、少しだけ遠回りして寄った行き付けのマーケットで、最近観てファンになったバンドのギタリストがデリのお手伝いで来ていることを知った。たった1分で済むことのために2時間程を費やすことはよくあること。花を買いに出掛けたがそんな日に限って花屋さんが定休日。自分が思ってもいないことを、今こんなことを考えているでしょう、と言われて、そう思っていたかも知れないと思ってしまう。そんな風にも物事は落ち着く所に落ち着くように運ばれている。理解を超えた些細な理由によって。

PICTURE DIARY 1010WE2012


夏の暑さに伸び伸びと伸びきっていた身体が、秋口のちょっとした涼しさ寒さにきゅっと縮み上がって、背骨の骨と骨の間が狭く硬くなったような気がする。身体が冬に馴染もうと支度を早めている。

PICTURE DIARY 0910TU2012


英国、デボンDEVONから帰った知人から土産話を聞いた。日本から自転車を運びサイクリングを楽しみ、多数の化石が出土するデボン紀の地層を訪ねたのだそうだ。デボン紀に出現したアンモナイトの大小の化石が所を選ばずごろごろと転がり、あるいはびっしりと岩の中に埋まっている光景。4億年前の生物たち。古生代の、異次元のリアルな残像が海辺の地層から露出して波に洗われている。日本にも北上高地、阿武隈高地、飛騨高地などに同様な古生代の地層が認められるそうだ。ぼくらの足元の土や砂、あるいは体内に取り込まれ、身体を形成する物質の生まれた年代を測定し知るとしたら、それは恐らく、宇宙の年齢に等しい時代のものが含まれているのに違いない。土産話を聞きながら気が遠くなる。

PICTURE DIARY 0810MO2012


行楽日和とラジオは言う。森はもうとっくに秋。川面を渡る風は少しひんやりとして、少な目の水量の渓流の流れにいつもと違った表情を与えている。水面から飛び上がり傾きかけた陽に煌めく水飛沫が、水が少なくなっている分、多く、高く上がっている。ほとんど吹く風もなく、それなのにか、それ故か、流れの両側から空を覆う木々の、間断のない落葉が急な流れに落ちて、瞬く間に呑み込まれてしまう小舟となり遭難する。そんな目の前の出来事をぼんやりと瞳に映しながら心は安らいで行く。絶え間の無い自然の出来事。目に写るのは、そのうちのたった一つ。

PICTURE DIARY 0710SU2012


昨日のピアノがまだ鳴っている。他の音楽を聴こうとは思わない。今日は一日このままで鳴らしておきたい。夕方、渋谷ヒカリエBEAMS LIGHTSのお店へ。BEAMS LIGHTS with MIC*ITAYAの服をキャンペーン中。マネキンがDOVE BLAZERやDOVE JAGUARD ONE-PIECEを着て立っている。MDの伊藤氏がたまたま来ていてDOVE BLAZERをご着用。「ミックさんが来ると知ってればフルコーディネートで来たのに!」と明るく笑う。ぼくには充分フルコーディネートに見えるけどね。彼のDOVE BLAZERの2羽のDOVEを浮き彫りしたメタルボタンは、カスタマイズされてとりどりの金ボタンやブラスのボタンに付け替えられている。伊藤さんらしくてとても面白い。夜な夜な針仕事をしたと言ってまた明るく笑う。そうやってどんどん既成品を自分のものにする。アイデアが浮かんだら実行する。待つことはないし遠慮することはない。頭の中だけにあるものはアイデアではないと知る。些細なことでも外に出して形にしてこそのアイデア。外に出すとアイデアがアイデアを生むようになる。

PICTURE DIARY 0610SA2012


14時、東京オペラシティコンサートホール。ヤン・リシエツキJan Lisieckiピアノリサイタル。17歳。曲の魂を理解し表現する天才があり、血を感じる。一音一音に込める力が素直で素晴らしく伝わりやすい。ピアノ弾きが見て聞くならば、きっとぼくよりも強く感じる点だろう。容姿や雰囲気もポーランド貴族、貴公子然としている。メシアン、J.S.バッハ、モーツァルトと続き、インターバルの後、ショパンへと続くプログラムはこれも強い意思を感じさせる。ショパン12の練習曲op.10。リストに捧げられたポエジーに溢れる珠玉のプログラム。アンコールで取り上げられたエチュードop.25-1,2そして「木枯し」はあたかもフットボールのゴールだった。フットボールスタジアムへ行くと贔屓のチームがゴールをしたら自分も立ち上がって「やったー!」と叫ぶだろうか、など一時ぼんやり考えることがあるが、果たして実際にゴールを見ると、緻密に組み立てられた絶妙なパス回しを眼で追い心を奪われ、相手のゴールに近づいたボールがネットを揺らした瞬間、無意識のうちに立ち上がり、それどころか飛び上がって叫び、拍手をしている。まさに興奮と喜びの絶頂の瞬間を身体全体で表している。ヤン・リシエツキはテクニックを身に付けている。今日の「木枯し」は、完璧なゴールだった。自然にスタンディングオベーション。プログラムの最初に取り上げられたメシアンに興味がわく。ヤン・リシエツキの将来の構想がメシアンの世界の延長線上にあるかも知れないと思う。以下プログラム。O.メシアン1908-1998 O.Messiaen 前奏曲集より Pleludes第1曲 鳩The DOVE、第2曲 悲しい風景の中の恍惚の歌Song of Ecstasy in a Sad Landscape、第3曲 軽快な数The Light Number、第4曲 過ぎ去った時Dead Instants。J.S.バッハ1685-1750 J.S.Bach 6つのパルティータより第1番変ロ長調BWV825 Partita No.1 in B flat major.BWV825。W.A.モーツァルト1756-1791 W.A.Mozart ピアノソナタ第11番イ長調K.331「トルコ行進曲つき」Piano Sonata in A major.K.331”Alla Turca” 1.Theme and Variations:Andante grazioso 2.Menuetto 3.Alla Turca:Allegretto。休憩。F.ショパン1810-1849 F.Chopin 12の練習曲op.10 12 Etudes op.10 第1番ハ長調No.1 in C major、第2番イ短調No.2 in A minor、第3番ホ長調「別れの曲」No.3 in E major、第4番嬰ハ短調No.4 in C sharp minor、第5番変ト長調「黒鍵」No.5 in G flat major.”Black Keys”、第6番変ホ短調No.6 in E flat minor、第7番ハ長調No.7 in C major、第8番へ長調No.8 in F major、第9番へ短調No.9 in F minor、第10番変イ長調No.10 in A flat major、第11番変ホ長調No.11 in E flat major、第12番ハ短調「革命」No.12 in C minor.”Revolutionary”。アンコール。F.ショパン エチュードop.25-1”エオリアンハープ”、エチュードop.25-2、エチュードop.25-11”木枯し”以上。音楽から受ける恩恵を、どのようなかたちの作品で、どこに返すことが出来るのだろうかと考える。絵はリサイタル会場の少女。

PICTURE DIARY 0510FR2012


うどんを食べに豊前房へ。帰り際にハカラメ、マザーリーフを分けていただく。水に浮かべておくと葉から芽が出て成長するのだそうだ。ぼくにも育てられるかな。午後からは昨日スケッチした新作の絵を一気に描く。148×135cmを縦に3分割したプライウッドにダイナミックに。タイトルは仮に「子馬と戯れる若き軍神マルス」とする。夜、Coolies’Creekへ。A Tribute To PENGUIN CAFE展オープニングレセプション。PENGUIN CAFEのメンバーが来場し演奏する。イギリスの古典音楽。アイリッシュやケルトの流れを感じるバイオリンの効いたダンスミュージック。え!?PENGUIN CAFEってこんな音楽だっけ?と楽しい驚き。パーティー向けの特別なセットメニューだね。プランクトンの川島女史にアーサーを紹介していただく。「あなたの絵はどれですか?」「あれ」と示すと、チャーミングだと言って相好を崩して喜んだ。80年代の匂いのするパーティーだった。Coolies’の賢左衛門さんは「あんな風に昇天したいなぁ」と絵を見てしみじみとおっしゃるので、人によって見えかたは違うものだと感心した。

B*L*M*-DOVE JAGUARD ONE-PIECE


愛と平和の素敵な旅へと誘うDOVE柄のニットジャガードワンピース。両袖と後ろ身頃は焦げ茶色のリブ編み。焦げ茶色は肥沃な土地、真冬でも暖かな土の下で育まれる命を表しています。シンプルでベーシックなミック好みの一着です。

PICTURE DIARY 0410TH2012


星のアトリエに佐久間さんと内藤さんが来る。11月15日のコンサートの打ち合わせ。佐久間さんのおやすみ音楽GOOD NIGHT MUSIC FOLLOWERS アップロード1000回目記念コンサート、「1001夜」にご来場のお客様方への楽しいプレゼントプランについて。佐久間さんの携える空気は大きくゆったりしていて風ではなく凪でもない。アメリカの大学で日本の文学を研究する講座があり、日本の文学者が招待されて講演をする。過去には大江健三郎氏をはじめとして、名だたる作家の方々が招かれ演壇に登ったらしいのだが、今回は早川義夫氏が選ばれ渡米することとなり、講演では生演奏も披露するということで、かねてより早川氏を敬愛尊敬し、共にライブ活動をしている佐久間さんも一緒に行くことになったのだと人伝に聞いた。その話の経緯を訊ねてみようと思っていたのだが忘れた。

B*L*M*-DOVE SHIRT


BEAMS LIGHTS with MIC*ITAYA、後ろ身頃のみが細かいDOVE CHECKの白シャツ。DOVE BLAZERのライナーと同じ柄です。旅の安全を守護し導くB*L*M*のシンボル、DOVE鳩の魂が宿っています。渋谷ヒカリエ店の水谷氏がお勧め。

B*L*M*-DOVE BLAZER


BEAMS LIGHTS with MIC*ITAYAのDOVE BLAZERをご着用のお二人。渋谷ヒカリエ4階のお店看板前にて。たまたまお店を訪問してお二人様ご着用は嬉しかった。向かって左側のキーパー伊藤氏はオリジナルDOVEメタルボタンをいくつかお好みのものに付け替えてカスタマイズしている。夜なべしてボタン付けした涙ものの格好良さ。右側、小西氏のDOVE BLAZERには向かい合った2羽のDOVEがデザインされたDOVEエンブレムが付き、B*L*M*の象徴する愛と平和と未来への旅路を体現するお二人。流石です。見事な着こなし。

PICTURE DIARY 0310WE2012


やはり気圧が下がると体もそれに伴って眠り気味になる。次の絵の準備に入る。まず鉛筆でスケッチする。シリーズ作品のための一つ。ぼくの作品製作はいくつかのシリーズ、テーマに沿って平行して進められる。最近、自分と自分たちやスタッフの周辺で、計画性と着地点を明確にしようと言う反省がある。自分も含めて身近なスタッフの誰にとってもそれらが不明な場合がある。と言う事実が重くのしかかるところを軽くいなして。いや、待て、軽くいなしてはいけない所なのだ。作品の製作や思い付き、つまりアイデアとアイデアの実現についてはどうしても待てないし待ちたくない。ならば、それらの一つ一つに計画性を持たせよと思うのだが、計画する傍から新しいアイデアに塗り替えられて行くのだとすれば、一体全体どのような計画になるのか。アシスタントやデザインスタッフに説明する内容も時を於いて変化する。なので実の所は本音として何も言いたくはないし指示もしたくない。それではチームとしての仕事等出来はしない。変化こそが作品の大きな、重要な要でもあり、変化しないように見えるものこそが作品の命でもある。本来説明が不用で不可能なものが作品でもある。いかに具象で抽象で空想夢想であろうが。作品を前にして、その説明や解説は作品自体の説明ではなく、説明する人のその時の状態を示すものにすぎない。矛盾をシンボルマークにするか。

PICTURE DIARY 0210TU2012


渋谷の街を歩くのは久し振りだ。以前はここら辺りがホームだった頃もあった。変わらないものもあれば、変化し、消え去るものも多く、新しく生まれるものも同様に多い。消え去る街の景色はは思い出すことの出来ないものがほとんど。仲間と始めたセンター街のキャバレー2階のデザインスタジオ、並木橋倉庫屋上の最初のアトリエ、松涛の一軒家のアトリエ。それぞれの場所で、それぞれの時代の仕事があった。現在の星のアトリエは渋谷ではないけれど、隣接した所にある。仕事等で渋谷方面に出かけることは多いが街の喧騒の中を通過することがほとんど。自転車や車で。歩き廻ると言ったことはほとんどない。今日は東急本店に用事があり、車を駐車場に置いて東急百貨店のシャトルバスに乗り、東急東横店へ行き待ち合わせて打ち合わせに行った。時間に余裕があるようでそうでもなく、久し振りに歩く渋谷なのだから、と言う気持ちだけ走り出して見えなくなり、置き去りにした。

CURONECOMIC 82

NEWS-BEAMS LIGHTS with MIC*ITAYA 12-13FW


BEAMS LIGHTS
BEAMS LIGHTS with MIC*ITAYA
AUTUMN AND WINTER 2012-2013 COLLECTION

BEAMS LIGHTS with MIC*ITAYAの秋冬コレクションが出揃いました。渋谷ヒカリエ店、汐留ダイバーシティ店を中心に既存各店でキャンペーン中です。メンズ、レディース共にB*L*M*を象徴するモチーフ、DOVE/鳩を中心に展開しています。旅へ誘い守護し愛と平和を司る鳩。秋と冬の国へ、まずは小さな冒険旅行に出かけましょう。

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PICTURE DIARY 0110MO2012


GOOD DESIGN AWARD受賞情報開示。13時。すずも提灯のミック・イタヤシリーズ、球面台座SとICHI-GO提灯、デザインチームの由元氏と武政氏のデザインした瓶型提灯の3種が受賞の栄光に輝いた。鈴木茂兵衛商店スタッフの皆の力を集めてこその受賞。おめでとう。そして感謝です。新しいものを作り育てて行くには既存のマニュアルは存在しないので試行錯誤がまだまだ続くと思う。一歩一歩踏み締めながら進む。青臭いことを真面目にやる。単純なことを素直にやる。

PICTURE DIARY 3009SU2012


台風が来る前に、Coolies’Creekへ搬入。「Penguin Music」は車に乗って。星のアトリエに飾られたのは一晩だけだったけど空気が良かった。Coolies’で信藤三雄氏に会う。昨夜は代官山で安齋 肇主催のライブがあって東京ブラボーがメインで出演したのだと思うが、実は信藤さんのSCOOTERSがシークレットで演奏したのだそうだ。楽しかった!と信藤さん。シークレットで10数曲のご披露。流石です。作品は書でペンギンの絵。こちらも流石です。ぼくの絵も和風なので、同じ仲間だねと話が合う。「ミックさんの絵は、ほら、あの有名な河童の絵、あの絵のようだ」と信藤さん。黄桜の清水 崑氏、跡を継いだ小島 功氏の色っぽい河童を指したものだろう。「光栄です」とぼく。多分絵のおしりの辺りのラインを評したものと思われる。それぞれのPENGUIN、それぞれのPENGUIN CAFE。色々な作品があって興味深い。

PICTURE DIARY 2909SA2012


A Tribute To PENGUIN CAFE展のための絵を仕上げる。10月1日からCoolies’Creekにて。PENGUIN CAFE ORCHESTRAは80年代の東京でもブライアン・イーノのオブスキュアレーベルからリリースされた環境音楽、インテリアミュージックとして世界中から支持された。当時、六本木WAVEでレコードアルバムを手に入れたと思う。ペンギンとペンギンの被り物を身に付けた男性や女性を描いたアルバムジャケットは、ぼくには漫画パブロ・ザ・ペンギンのシリアスバージョンと言った趣で、大好きなビジュアルだった。今では、PENGUIN CAFE ORCHESTRAを作った故サイモン・ジェフスのご子息、アーサー・ジェフスが引き継いで、PENGUIN CAFEとして新たな活動を再開している。残念ながら、今回の来日公演を見る機会は持てそうにないけれど、Tribute展に参加することが出来て心から光栄に思う。大好きな音楽や美しさを携えた類い稀な表現のために、何らかの持てる力を添えさせていただけるのはいつでも大きな喜びだ。自分自身が何をしたいかと考え、実行すること以上に大切だと感じる瞬間があるから。そんな気持ちで絵を描き、あるいはオブジェ等を制作すると、自分が考えもしなかった意味を作品の世界の中に発見する。自分に内在していた何かが表に現れ出て来る。与えられたテーマやモチーフ自体に強い力があるから。展覧は11月3日まで。