PICTURE DIARY 3012SU2012

ほとんど一日雨。吉田秀和氏「名曲のたのしみ」最終回。今年5月に吉田氏が亡くなって半年。12時20分から17時まで、特別番組が放送された。じっと謹聴しようと思っていたのだが、片付けやちょっとした仕事などしながら、努めて流すように聴いた。いつものように自然に。吉田秀和氏を知ったのは最近のことで、まるで偏食の子供が嫌いな食べ物を好むようになったのに似て、最初の一口二口は恐る恐る、吉田氏の語り口が引き金となりどんどんとクラシック音楽の世界に分け入ることとなった。必要な時に必要なものに出会うのだろうか。いつの間にかつましい生活の潤いと支えになった。吉田秀和氏の死後、放送用の原稿が半年分遺されて、半年間番組のチーフプロデューサーが代読するという形式で番組は続けられた。何と言うことか。死してもなおその情熱は聴取者に届けられた。奇跡的だと思うと同時に、心底好きであることを仕事として向き合った結果の必然なのだとも思う。今はただ、ありがとうの感謝を捧げるのみだ。吉田氏の情熱と音楽の世界は残されている。まだこれから先に広がって行く。古く新しい音楽の世界を開いて見せてくださった。これからぼくが表現するものに、吉田秀和氏の記憶が宿り、続いて行くのだろう。

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