
10月も晦日で、今年は11月と12月の二ヶ月になった。「時間の経つのは早いものだね」と言葉の端によくのぼる。時間のスピードが年々速くなる気がするのは自分だけかと思うと、さにあらず、結構年若い人たち、子供たちさえもそんなことを言う。やはり、毎日毎日時間が少しずつ早く過ぎるようになって来ているのかも知れない。加速度的に。ゆっくりとリラックスするために急いで仕事や用事を片付け、済まそうとする余りに、ゆっくりやリラックスも急いでいる。早く仕事に戻らなきゃ。早く眠らなきゃ。早く起きなきゃ。早く、早く、急いで、急いで。ボタンを押せば、スイッチを入れさえすれば自動的に始まって終わる。終了のボタンやスイッチは無い。生活の重要な減り張りが少しずつ、時に急激に薄れて行く。充実した長い一日が行方をくらまして久しい。手掛かりは沢山あるので、すぐに見つけられると思っていると。

雨の中、星のアトリエから渋谷まで歩く。途中、豊前房で昼食。豊前房15周年を記念した絵の相談。知った方のアトリエの脇を通りかかり、灯りの点った窓を見上げて元気かなと思っていたら、1時間程経ってその方から「ごきげんよう」とメールが届いて嬉しく驚く。渋谷の東急本店辺りから星のアトリエまで往復を歩いた。1時間半程度。坂の多い道中なので、平坦な道を行くより面白い。歩くのは考えをまとめたり無心になったりするのに良い。巡りが良くなる。出来るだけ美しく、静かな、好きな道を選んで歩く。

朝、Lou Reedの訃報に接する。ぼくに大きな影響を与えたミュージシャンのひとり。velvet undergroundのLou Reedとして、ソロのLou Reedとして。福生で横田基地のアメリカ兵とバンドをやっていた頃、そのコピーバンドのレパートリーにLou Reedの曲があった。基地の中のパーティーで演奏すると「ブルースやれ!」だの「やめろ!」だのと罵声が飛んだ。やめなかったし、ブルースの演奏もしなかった。アメリカ南部の州の人々のパーティーで、Lou ReedやAlice Cooperの演奏をしても、誰も喜ばなかった。あの頃はそんな状況が楽しめた。目標にして来た星がひとつ消えて、星座の形が変わった。

森の方へ。久方振り森の木々は、紅葉が大分進んでモミジなど、これ以上の緋はあるまいと言う程の緋になっている。森の中の径を周り、ぐるりと見渡せば、そして見上げると、秋空の青さを遮るものはと言えば緑色から黄色、橙色、緋色と言った自然界の織り成す不規則な規則が美しい微細なグラデーションを表して、ともすると抽象的な、一面のタペストリーで覆われて、風や枯れかけた香りを運んで来る木の葉、木の葉、木の葉。焦茶や灰色や黒に近い、木々の骨格がまとう衣のような、あるいは剥き出しの血管と薄く乾いた肉体のような存在感が時に逆らわず、静かに揺らめいて行く。落葉の先、してみると冬になり裸になる森の木々の飾らない季節。丸裸になりそれでこそ新しい季節に向かう。準備とは考えてすることではないと知る。

日本橋三越5階、JスピリッツのSUZUMO CHOCHINイベントショップへ。門間屋さんの仙台箪笥と共に展示販売。門間屋さんの箪笥は、昨年ヒロコレッジの高橋理子さんがアートディレクターに就任して、ヒロコレッジ独特の個性溢れるデザインが付加されている。SUZUMO CHOCHINの軽やかさに対して門間箪笥の重厚さが好対象で面白い。

古来ネクタイは自己の所属などを示す象徴的なものとして、近来は政治家やビジネスマンのスタイルを品良く見せる大切なアイテムだと心得ていたのだが、今ではクールビズと言うエネルギーをセーブする時代の流れで、ネクタイをするべき地位や職業の人々がネクタイをしないことが多くなった。ぼくはそもそも保育園の頃から所属することや何かのグループに加わることに熱心ではなかったし、その分誘いも少ないキャリアを過ごして来たので、少年の頃から特にネクタイとは縁を結ばずにいた。ジャケットやスーツの下に着る物はと言えば、20代の終わり頃からタイトなリブ編みの黒いタートルネックが基本で、今でもそうだ。しかし、ネクタイの存在は好きだ。そこで天邪鬼なぼくは、 今こそ自分たちのネクタイが欲しいと思うのだ。ネクタイの新しい意味とポジションを獲得するためにデザインして行きたい。ネクタイをした方が素敵な場合は多い。平和を願ってネクタイをする。そんな時代。

午後は取材とミーティングの日。dictionary155号掲載予定の「おっぱい展特集」インタビュー。改めて尋ねられたり、言葉を声にしたりしてみないと解らないこと、はっきりしないことがたくさんあることに気付く。B GALLERYのF氏とミーティング。先日、唐突に閃いたことがあったので伝える。ラフなアイデアだが何かの役に立つかどうか。その後FULL COUNTの展示会に。星のアトリエのY君と代官山まで歩け歩け。会場でFPMのT君とA夫人に会う。昨日朝から今日夕方近くまで、星のアトリエではM君、Y君、助手Aの3人がSUZUMO CHOCHIN専用スワンスタンドのパッケージ20箱を手作りする。アイデアの活きた丁寧で素晴らしい出来上がり。気の利いた手仕事が基本。

海外のテレビ連続ドラマを毎回楽しみにして欠かさず見て、ついに最終回となり、その最終回のあまりの結末に納得出来ずにがっかりして、今まで楽しみに視て来たドラマのための時間は何だったのかとまで思うほど、そんな憂さの晴れない話を聞くと、残念な気持ちが伝染する。虚構の物語の世界なのだからハッピーエンドじゃなければね。少なくともがっかりさせないような結末じゃなければね。素直にそう思う。希望が湧くようなエンディング以外はあり得ない。映画を撮るならハッピーエンド。それ以外のドラマや映画は見たくない。罪である。個人的な表現媒体ではないのだから。本当にフルコースの最後にいただくデザートが不味いと全ては台無しになる。
DESIGN NEWS-Fukuske×moreTrees SOX

GENTLEMAN 6T010-090 ¥1,500

LADY 6T011-100 ¥1,500

BLUE STARS 6T012-090 ¥1,500

HORSE 6T013-090 ¥1,500

HORSE 6T013-600 ¥1,500

CAT 6T014-100 ¥1,500

CAT 6T014-700 ¥1,500

DOG 6T015-450 ¥1,500

DOG 6T015-750 ¥1,500

COSMOS 6T016-700 ¥2,000
Fukuske×moreTrees第2弾、ミック・イタヤ デザイン靴下のラインナップが出揃い、大好評発売中です。
★お取扱店舗
・池袋東武
・銀座松谷
・渋谷西武
・千葉そごう
・新潟伊勢丹
・京都大丸
・大阪髙島屋
・梅田阪急
・JR名古屋髙島屋
・福助WEB SHOP http://shop.fukuske.com/item/search/id/search/name/search?keyword=ミック・イタヤ&x=0&y=0
計10店舗

東京デザインウィークの一貫として10月23日水曜日から29日火曜日まで日本橋三越5階 Jスピリッツ特設コーナーにおきまして、ミック・イタヤ デザインのSUZUMO CHOCHINの展示販売をしております。お近くにお越しの際には、ぜひお立ち寄りください。
お問合せ:03-3241-3311代表

日比谷クリオシアター。森雪之丞さんの脚本、作詞、音楽プロデュース、岸谷五朗さんの演出によるミュージカル、「SONG WRITERS」のマチネ。スピーディーで若々しく、煌めきのあるステージ。1975年のニューヨークを舞台にして、ブロードウェイでの成功を夢見る作詞家と作曲家の青年二人の、現実と虚構を織り交ぜて往き来する、涙と笑いの物語。雪之丞さんならではの体験的な戯曲でもあるのかな。見応えは充分。終演後、楽屋裏にいらした雪之丞さんにご挨拶。出演の中川晃教くんに久し振りに会う。FUKUSKE×moretreesの靴下をコレクションしていると言う言葉は嬉しかった。武田真治くんには初めて会ったが「ミックさんのことを検索してみます!」と言う佇まいがきりりとして気持ち良かった。ポルノの監督です、と言って紹介されてギョッとしたが、ポルノグラフィティのミュージックディレクター氏のことだったのでホッとした。何しろ雪之丞さんの、天使と悪魔が出たり入ったりする舞台は、目まぐるしく楽しい。

先日、庭師に来てもらった。今年は夏の暑さと残暑が続いたせいもあって、笹竹に毛虫が大量に発生して、ゆらゆらとぶら下がっている。触れると赤くかぶれて痒くなり、冬を越せる毛虫だと言うので厄介だ。お早めに退散してもらわねばなるまい。

ほぼ一日中雨。夕方ギャラリーへ。雨の中、幾人ものお客様を迎えてギャラリーは暖まる。ギャラリーつついさんのお仲間に交じって、お隣の駅になる祖師ヶ谷商店街にあるお蕎麦屋さんで夕食とする。お蕎麦屋のご主人もすずも提灯を購入なさっていて、ここに置こうと考えていると言って、店内の置場所をご案内いただく。すずも提灯を求めてくださる方々はそれぞれに、すずも提灯をどこに置こうか、どのデザインにしようかとイメージが豊かで、お仲間の皆さんのお話を伺っていると学ぶところが多い。それぞれの生活の中で、デザインや製作をした我々が、思ってもいないような馴染み方をするものなのだろうなと思う。

いつの間にか、不意に無くなってしまって困る物のひとつ。眼鏡のフレームとツルをつなぐ小さなネジ。知らないうちに緩んで抜け落ち、何処へか消え失せて無くなってしまう。あの小さなネジが無くなってツルが外れてしまうと何だかすごく居心地の良くない、残念で滑稽なことになった気分になる。そして、なぜだかしばらく眼鏡を放っておいたりする。特にサングラスの場合。眼鏡屋に持って行けばすぐに解決することだろうが、と思いながら時間ばかりがいたずらに過ぎる。今日は意を決して、とは大袈裟だが、行きずりの、ここぞ、と言う店構えの眼鏡屋を見付けたら入ると決めて街に出た。そうしてドアを開けた眼鏡屋の、短く手入れして、きちんと分け目の入った髪に白衣を着た小太りの店員に、取れてしまった眼鏡とツルを差し出すと、ネジの合うものがあるかどうか探して見ましょう、と言うことと、この場合315円かかること、そして5分から10分時間をいただきたいと言うことを丁寧に説明してくれ、眼鏡が舶来の品なので、どのようなネジのピッチにも合う、樹脂でコーティングしたネジにせざるを得なく、本来はネジの頭がマイナスのものなのだが、ブラスのネジになることや、古いものなので大切にして欲しいことなどを嫌味なく、もしも使っていて不都合が出たら遠慮なく来て欲しいことなど、ゆっくり丁寧だが、品の良い商人らしく簡潔な選ばれた言葉で伝えてくれ、千円札を差し出すと、返す釣銭は全て新しいピカピカの硬貨であった。街の眼鏡屋さん。また行こう。

BEAMS LIGHTS with MIC*ITAYAの2013-14秋冬物サンプルが全て届く。12ポケッツジャケットをはじめとしてとても素晴らしい出来上がり。もう全てのデザインアイテムは店頭に並んでいるはずだ。今回のコレクションはMEN’SもWOMEN’Sも全てメインモチーフの「DOVE=はと」のデザインで構成しているので、皆にどのように受け入れられて行くのかとても興味深い。平和と愛する心に満ちた人々の旅の守護をテーマにする、ぼくらの小さなブランドの、これがスターティングポイントだと、確実に今まで以上に明確に位置付けられるものになった。

成城の緑陰館ギャラリーにて、ギャラリーつつい主催の「二人展・樹の鞄とすずも提灯」初日。朝から出る。銀杏並木の美しい住宅街の入口に位置するギャラリー。民俗学者で作家、詩人の柳田國男氏の住居であったと聞く。夜、OBANDOSの打ち上げ、蔓餃苑にて。海老の餃子の美味しいことと言ったら。

朝、風強い。星のアトリエも強風に身震いしている。しかし、昼には風雨も収まって、午後からは成城の緑陰館ギャラリーでのすずも提灯設営も滞りなく終了する。

台風26号の接近に伴い、雨が間断無く降り続いているこの夜、これから時間を追って風の激しさも増して来るのだろうと思える。今夜予定されていたOBANDOSの打ち上げ、パラダイスさんの蔓餃苑での餃子三昧の宴は明後日に延期になった。OBANDOSとしては珍しく、短期間にミュージックフェスティバルに出演の三連チャンが終了した。中津川、会津、恵比寿と、それぞれに貴重な経験をさせてもらった。そしてOBANDOSのファーストアルバムが12月21日にリリースされる。大きなCDショップでのインストアライブも予定されているとか。年が開けると、これもまたアルバムのリリースを記念したステージがあるとか。そんな計画をイナゴのように皿の餃子を平らげながら相談するのだろう。徐々に気圧が下がって来て、気持ちが大人しくなる。こんな夜は静かにじっとして、自然界のいななきを感じるのが良い。

恵比寿文化祭2013、恵比寿ガーデンプレイス。OBANDOS出演。工作員9人全員揃う。トリの私立恵比寿中学の前の出番だったので、すこぶる熱心な観客が大勢押し寄せて危険な状態の中、我らOBANDOSも暖かく大歓声で迎えられた。ワークショップで思い思いに作ったお手製の楽器を持った子供たちとのセッションも楽しかった。グランドフィナーレでは、OBANDOSのメンバーは全員ステージに呼ばれて、ビートルズの「オール・ニード・イズ・ラブ」と「翼をください」を振り付きで皆と合唱した。OBANDOSのメンバーが全員揃うのも珍しいが、-L-O-V-E-と言う綴りの振りや、翼の表現をステージの上で披露するのは珍しいを通り越している。全員で記念撮影したのは言うまでもない。

dictionary154号。CLUB KINGの主宰する、ディクショナリー倶楽部千駄ヶ谷、観音橋食堂で開催中の「おっぱい展」に出品しているミック・イタヤの作品「ちちばなれのころ」が表紙になっています。
★クラブキング
http://clubking.com/
★観音橋食堂
http://kannonbashishokudo.tumblr.com/

今日はゆっくりと休養をとることが出来た。心身のメンテナンスをする。非常にアンバランスを感じるので、バランスを取り戻すには、まだ時間がかかるし、かけなければならない。都市の生活は、自然とは隔たりのあるような毎日だが、それでも季節は過ぎて行く。身体は正直に季節を表している。自然をいとおしむように、身体も心もいとおしむ。大きな大自然の只中で生きていることを思い出すように、大自然の一部になるように。風や匂いや光と交わるように。

U氏のところで世間話をしながら、かけている音楽が良い感じの男性の歌声なのは最初から気にはなっていたのだが、突然ギターソロのような、そうでないような音のエキセントリックな雰囲気に気を引かれて、これはやはりギターの音なのだろうかと不思議に思いながら、とうとう今かかっている音楽は?と訊ねた。すると空かさずジェフ・バックリーだと教えてくれた。語るところによると、U氏はジェフ・ベックの大ファンで、CDショップへ行くとCDの棚のジェフ・ベックの前が常にジェフ・バックリーで、いつも気にはなっていたのだそうだ。何となくお気に入りのミュージシャンの前方にCDのスペースがあるので、気にはなっているとは言っても、本当は少しだけ邪魔かな、と感じていたらしい。ジェフ・バックリーと言う、ジェフ・ベックに名前の近いミュージシャンである、と言う以上に知識があるわけでも興味があるわけでもないのだったが、ある日、ジェフ・ベックを何枚か購入した際に、あろうことか間違えてジェフ・バックリーを1枚買ってしまったそうなのだ。返却もままならず、そのアルバムを聴いてみたところが、とても素晴らしく、さらにはジェフ・ベックもジェフ・バックリーの曲をカバーして自身のアルバムに収録しているのを知り、今日ではきちんと向き合って聴くようになったとか。出会いとは、と言う話し。

先日Auraの写真を撮っていただいたFH氏の写真展「FASHION」へ。主に1980年代に撮影した写真の数々。Hi-Fashion誌やコム・デ・ギャルソンのカタログなど、どれをとっても興味深い。AMさんをモデルにした写真が好きだ。何とAuraのポートレイトも最新作として展示されていて嬉しい。メンバーのみんなにも見て欲しいと思う。FH氏の写真に対する自然な、そして真摯な心持ちがギャラリーの空気をより穏やかなものにしている。その高樹町界隈から原宿のROCKETへ。F.O.R.のO夫妻の展示会。チャーミングな明るい色の服、良い感じ。O夫人のコサージュも本当に素敵だ。お二人共に美についての絶対的な感性をお持ち。楽しみなO夫妻。

季節の変わり目には身体のメンテナンスがとても大切。特に今年の夏のように、とても苛酷な季節の後は、気付かないうちに身体には大きな影響があるもの。そのストレスがダメージにならないように、ダメージになっているのだったら柔らかく癒すように、とにかく何をするにしてもゆっくりとすること。ゆっくりお風呂に入って、ゆっくり食事をして、ゆっくりとした睡眠をとって、ゆっくり仕事をして、ゆっくり移動をして、とにもかくにも急がないこと。意識してゆっくりとする。無理をしないこと。自分のゆっくりについて来れないものは切り捨て御免にする。気の進まないことは一切しない、不義理なことをしても良いと、素直に気楽に構えること。人に合わせないこと。自分で居ること。あらゆることは意識しなければ出来ないかも知れないが、努力をしないこと。楽しいことでも、考え過ぎるとくよくよしているのと同じことになるのを知ること。たびたび気分転換をして、気持ち良く気をそらすこと。

週の中日。ゆっくりと仕事をする。23日から日本橋三越で始まるイベントショップにSUZUMO CHOCHINが参加するのだが、そのダークボックスのデザイン。提灯に暗がりを用意する。百貨店のように煌々と明るい所での提灯は、オブジェとしては美しいのだが、たためる照明器具としての実用性を示すには暗がりが欲しい。日本橋三越に先立ち、17日からは成城のギャラリー、緑陰館ギャラリーA館ではギャラリーつついの主催する「二人展・樹の鞄とすずも提灯」が始まる。かめい氏の木をくりぬいた小さなパーティーバッグはとてもキュートでチャーミングだ。かめい氏と作品にお会いするのが楽しみ。

O氏、Fくん、Eくんと食事。四人で集まるのは初めてだし、Fくんはもとより、Eくんと食事するのは長い知り合いだけど、前回はいつであったか記憶の彼方。一回りずつ世代が違う四人共に午年の生まれ。そんなそれぞれの世代の特徴など話し出すと面白い一夜。出身は熊本、静岡、広島、茨城。当然育ちかたもまるで違う。世代をまたいで素直な会話の出来る仲間は貴重なことだ。

二人展・樹の鞄とすずも提灯
Yuuki Kamei+Mic*Itaya
2013年10月17日木曜日ー10月23日水曜日
11時ー19時/最終日16時30分/会期中無休
緑陰館ギャラリーA館
157-0066東京都世田谷区成城6-15-13
電話03-3483-1929
主催/ギャラリーつつい
電話03-3305-5228
http://tutuigallery.fcweb.com/
ギャラリーつついの企画する、樹の鞄を創られるかめいさんと、イタヤのすずも提灯の二人展のご案内です。ぜひご覧ください。
イタヤ在廊日/17日木曜日、20日日曜日、23日水曜日

暖かくなったり寒くなったり、そうしていつも季節は移り変わってゆく。

日曜日だけれど、溜まった仕事を進める。アイデアの落ち着き所が見えず、時間が必要な状態。しかし、小さな手がかりを元に具体的に手を付け始めると、思いの外展望が開けてトントン拍子に作業が進む。弾みが付いてみると、落ち着く場所が見当たらなかったのが不思議だ。

福島会津くだらな祭、OBANDOSに参加出来ず。みんなには申し訳ないことになる。

ある人が、メニューなどに抹茶とあるとつい必ず頼んでしまうと言う話し。例えば、抹茶アイスクリームや抹茶ケーキ、抹茶マカロン等々。自分にもそんな癖があるだろうかと考えてみるとありました。ロイヤル。ロイヤルミルクティーやカフェロワイヤル、ロイヤルゼリー入りとか。とにかく、なんとかかんとかロイヤル。紅茶の店でメニューを見ていて、ダージリンやアールグレイの下の方にロイヤルミルクティーとあったりすると、いつもグラッと来る。自分のお金でラーメンを食べれるようになった頃にはチャーシューにグラッだった時期もあったな。人によってはチーズであったり。

仕事が忙しいと本当に外に一歩も出ない日がある。吹く風や空の様子も知らずに、室内で感じることは少ない。太陽の光の降り注ぐありがたさや、雲の動き、雨の匂いや雨音も遠い。その代わりにそんな自然の感覚への憧れを表現する。キャンバスや紙の上やデザインの中に。だから外に出ないのを恨めしく思わない。そんな恨めしい心持ちを絵やデザインの作品に現そうとは思わない。

全ての物事がゆっくりと前進しているなと感じる日。午前中からお昼頃にかけて強い雨。打ち合わせには車で出かける。お昼は「豊前房」でうどん。いつもの。若大将こと克ちゃんに豊前房15周年の話しを聞く。15周年記念に何をするか。ぼくが常連ということで、これもまた常連のオースミちゃんがミックに頼めばいいと、アイデアを思い付いて連絡をくれた。

台風22号の影響か時々雨がザアーッと降る。打ち合わせに自転車は止める。帰りに濡れるならまだしも、行きに雨に遭うと打ち合わせは辛い。それなら歩いてみるか。星のアトリエから原宿、青山までは1時間とちょっと。夜になり雨がザアザア降る。

明日から10月、神無月。八百万の神様たちが皆、出雲大社に集まるのだそう。なので出雲では神有月と呼ぶそうだ。いつか出雲を訪れてみたいと思う。そんな10月の、ありがたい時に。

午前中海へ行く。ベタ凪ぎの湖ような海。沖合にはたくさんのヨットが浮かんでいる。フランス人のカップル、女性がトップレスになって警備の警察官に注意されている。「トップレスになってもいいけど、人に見られないようにね」と。解毒の海。夕方、渋谷クラブQUATTROへ。早川義夫+佐久間正英ライブ。素晴らしい音楽を聴いた。「くるり」がゲスト出演。「東京」は名曲だ。プロデュースした音楽の中で一番だと佐久間さんのコメント。二番はJUDY & MARYの「そばかす」。楽屋でTAKUYAくんに久し振りで会う。小暮夫妻とはもっと久し振り。立花ハジメ「MONACO」発表記念レセプションパーティーへ。代々木ミュージックバー。ハジメちゃんに「おめでとう!」と挨拶。

「おっぱい展」オープニング。11時30分から21時までの長いパーティー。特別メニューの「おっぱい丼」が人気。茂→さん、タケ先生ご夫妻と昼食後のテーブルを囲んで雑談。歩くこと、自転車に乗ること、車、映画のことなどとりとめもなく。会場の中はたくさんのおっぱい。

「おっぱい展」の搬入にディクショナリー倶楽部千駄ヶ谷の観音橋食堂へ。搬入しながら少し遅い昼食。ご飯に味噌汁の昼はここのところなかったので、小松菜のお浸しやひじき煮、こんにゃくと大根の炊いたものなど、日本の家庭の基本的な惣菜がたくさんカウンターに並んでいて目が迷う。どれもこれもが体に入ると嬉しいようなものばかりで、ありがたいことこの上ない。国の歴史や文化、そして未来は、どんな物をどんな風に食べるかと言うことにかかっている。とにかく食は一番大切だ。

モデルでミュージシャンの甲田益也子さんのホームページのコラムに、甲田さんとぼく、そして当時のアシスタントだったミツル女史が一緒に写った写真をアップロードして良いかと言う打診が大分以前にあり、大丈夫と返事したのだが、その写真が昨日アップロードされた。いつ、どこで撮った写真なのだろうと思い出せずにいたのだが、甲田さんのコラムを読んで、あっ!そうだった、とやっと謎が解けた。GONTITIのアルバム「DEVONIAN BOYS」の撮影の時のスナップだった。そのアルバムカバーに、甲田さんの唇だけご登場願った時のものだ。メイクアップルームにて。その頃ぼくの仕事のグラフィックデザインをお手伝いしてくれていた、グラフィックマニピュレーター竹本氏の撮影。甲田さんの存在感と言ったら本当に特別なもので、他の誰にも持ち得ない浮遊感や清涼感で包み込まれる、奇跡のようなお付き合いに、いつも感謝している。

カレンダーの12月の絵を描く。2014年のスケッチ。荒く着彩する。大人になった人の携える子供っぽい無邪気。子供っぽい大人の無邪気ではない。そんなチャーミングが分かりやすくストレートに表せたらと思う。いつだって子供じみた衝動が作品制作に向かわせる。大人のロジックは、後から見つけ出したり追加されて説明されるもの。

二週続けて月曜日が休日。火曜日の仕事のスタートだが、先週は完全に一日ずれて認識していて、金曜日を木曜日と勘違いして過ごし、変なスケジュールになってしまった。仕事や約束事が立て込んでいると、時として極視的になって視野が狭くなる。何かにつけて高い所から眺めてみるのが大切だと思う。

コマーシャルの仕事をする者にとって、ポートフォリオはとても大切だ。それを見れば全てが解るから。あるいは仕事の全てを短時間で伝えることが出来る。仕事の内容や質はもちろんのこと、どのような意思を持って仕事をして来たか、して行こうとしているのかがそれを見れば解る。大阪出身のフォトグラファーHN君のポートフォリオは見事だった。アトリエにやって来て、それを見せてもらった瞬間に、いや、鞄から取り出したとたんに、こいつと仕事をしてみたいと思った。HN君の携えた夢や未来がそこにあった。ぼくと同じ何かとぼくには無い何か。それは2冊の大判の本になっていて、手作りの無骨でありながらデリカシーに溢れた、美しくチャーミングなものだった。そして、ほどなく一緒に仕事をする機会を持った。最近ではそんな見事なポートフォリオを見ることは無くなった。たくさんのデータがあるだけだ。データを取り巻く世界のフィジカルな楽しみは、本当に少ない。

昔、中津川フォークジャンボリーと言うミュージックフェスティバルがあった。その中津川で「中津川ソーラー武道館」と言う、会場の全ての電気を太陽光発電でまかなうミュージックフェスティバルにOBANDOSが呼ばれた。12時40分から13時15分まで35分、RESPECT STAGEで演奏する。全員自作の太陽の仮面を被って。太陽に叛くようなことをしてはならない。楽器ガリンを積んで中央高速を車で行った。行きは順調に走れたが、帰りの道は連休中のお彼岸と言うことでもあり、7時間半かかった。途中、渋滞にうんざりしたのと、朝早かったので眠くなりサービスエリアで仮眠を取ったりしたので計9時間近くになった。高速道路を何時間も時速20�前後で走ったり止まったり、色んなことを考える機会になる。追われるようにも、追うようにも生きる必要はない。その時に自らが選んだあるがまま。それにしても太陽光発電が帳消しな感じ。

明日、中津川なので車に給油。マフラーにビニール袋が貼り付いて焦げ臭い。野外フェスティバル、中津川ソーラー武道館、OBANDOSのステージ用「太陽の仮面」を作る。メンバーそれぞれに仮面を工作する。あんまり仕事が立て込んでいたので、先日のリハーサルの時に、みんなで仮面をかぶって出るのは止めにしよう、という話にでもなればなぁと思ったりしたが、今日、朝倉くんが「これ作ってきましたぁ」と約束の太陽の仮面を持ってリハーサルに現れたので、不埒な考えはきれいさっぱりと捨て去った。と言う訳で今日はOBANDOSステージ用「太陽の仮面」を作る。3時間程で完成。3時間は工作と言う作業のリミットかなと思う。5時間も6時間もかけると、もう工作、つまりは子供の時分の図画工作らしく無くなるものね。準備の甲斐があって、淡々と作ることが出来た。題して「アボロンは竪琴」。「の」ではなく「は」ね。

今日は木曜日のような気がしていた。「明日の予定は?」とスタッフにたずねて「明日は土曜日ですよ」と返されて。月曜日が休日だとありがたいことばかりではない。ちょっとリズムが。

仲秋の名月。満月。Auraの撮影。郊外のプライベートスタジオで。スタジオの主、写真家のHF氏は大道芸人を撮った写真集を出版したり、スタジオには海外ロケの徒然に撮ったチャーミングなフェスティバルや大好きだと言う車の写真が飾ってある。そんなファッションの写真家。ヘア&メイクアップのSW氏は、昔からお世話になりっぱなしの尊敬する大巨匠。スタイリングはそのSW氏のお導きで大御所のSI女史。初めてご一緒する。美についての経験と共通項のたくさんあるチーム。仕事が早い。一番大切なものは「時間」。Auraの最初のフォトセッションとして最高のシチュエーション。得る物の大きさは計り知れない。一緒に創ることの偉大なる愉しさ。Auraの5人にとって、6人目のメンバーはステージの外の全て。

星のアトリエ、キッチンの雨漏り修理。以前にも度々修理に来てもらったが直り切らず。先の台風でも雨が漏り、あっと言う間にバケツに一杯になる勢い。結局雨漏りの道筋は、雨が降って雨漏りのしている時にしか分からず、修理が出来たと思っていても、大雨が降ると、うわーっ!まただ!の繰り返し。今回の調査では、雨樋の排水がなぜか室内の配水管とつながっていて、大雨が降ると室内の配水管と一緒になっているために、許容範囲を超えた雨水が室内に溢れ出るという見立て。工事を始めてみると、雨樋からの配水管に、丁寧なことに笹の葉がぎっしりと詰まっていて、溢れる水に拍車をかけていたと判明。取り除くと共に、配水管を雨水用と室内用とにきちんと分けたので、今度は大丈夫!と太鼓判。果たして次の大雨で何事もありませんようにと祈る。

自転車で走るのが気持ちの良い日。午前中の打ち合わせ帰りに、久し振りにALASKAで昼食。以前にも増してナチュラルで腰の座った感じの店になった。玄米が食べられるのが嬉しい。