PICTURE DIARY 2808TU2012
ぼくがこんなはずじゃないなと思うことのひとつに、ものを作って売るということがある。小さな頃からものを作って売るようなことは考えたことも無く、ただ絵を描いたり工作したり、鬼ごっこをしたり野球をしたりが大好きな毎日で、駄菓子屋でキャンディを買うことはあっても、友達や見知らぬ人に何かを売るなど考えることはまるであるはずも無かった。家族も母がお隣さんの付き合いで内職をしたことがあるくらいで、ものを売るという商売は有り得無い。大人になったら何になるか、どのような職に就くかと悩んだ時に、考えの中に商人は無かった。中学から高校生になって、大学進学の進路を決めようと言う時にも、商学部と言うのは無かった。美大に進もうと決めて絵を描くことやデザインをする道に進んでも「商売」と言う考えは少しも無かった。けれど外資系の広告代理店で、正社員にという時に自分には合わないとフリーランスのイラストレーター、デザイナーとして仕事を始めた時から、意識しようがしまいが、「商人」になった。経理や経営のこと等、どこで習った覚えも無く、見様見真似でやって来た。仲間に助けられて続いて来ている。昨今の美術大学や専門学校にはマネージメント学部や課があるのだろう。作家やアーティストが充分な力を発揮するには、マネージメントしプロデュースする能力が不可欠だから。アンバランスをバランスに変える強い力で生き抜く力が必要だ。煌めく宝物のようなロマンチックな夢やファンタジーを変質させない強い意思と同時に、しなやかな柔軟性が必要だ。商人の遺伝子。王の遺伝子。美の遺伝子。