PICTURE DIARY 2408MO2015
時は流れ移ろい、絶えず新しい時代へと入る。古の栄華や面影を認め、残しながら囚われることなく迷わず進む。止めることも戻ることも必要ではなく、意思のままに。
時は流れ移ろい、絶えず新しい時代へと入る。古の栄華や面影を認め、残しながら囚われることなく迷わず進む。止めることも戻ることも必要ではなく、意思のままに。
デビュー以来、ゴンチチのアートワークに関わり、アルバムジャケットデザインやステージ美術と、数々の仕事をご一緒させていただきました。昨年のゴンチチ「ダブル還暦フェスティバル」を機に、久し振りにステージとアルバムのアートワークの依頼を受けて仕事を進めながら、しみじみ長い付き合いになったものだと思いました。仕事をいただくのですが、ゴンチチに対しての素直な気持ちとして、お世話になるばかりで何のお返しも出来ず、お返しどころか今回もまた重ねてお世話になるような気持ちでいっぱいになるのは一体どんなに素敵なことなんだろうと感謝しながら、いつもそうして来たように、ゴンチチのお二人やスタッフの皆さん、そしてファンの方々に喜んでいただける最高の贈り物になるアートワークを目指して仕事をしたのです。アルバムジャケットのデザインを見る人が、ちょっといいな、ステキだなとほんの少しだけでもゴンチチの音楽に足し算出来ればもう何も言うことはありません。聴こえない音が聴こえ、見えない景色が見えるようになるのです。
2015年8月 ミック・イタヤ
GONTITI & MIC*ITAYAExibition RED GUITAR
会期 | 9月9日 水曜日 ー 9月25日 金曜日
時間 | 10:00ー21:00 最終日は18:00まで
会場 | DMO ARTS 〒530-8558 大阪市北区梅田3-1-3 LUCUA 1100 B1F
TEL | 06-6450-8187
http://www.dmoarts.com/exhibition/2015/08/5102/
9/9(水) 昨年のダブル還暦フェスを収録したライブCD&DVDをリリース、9/24(木)には
スペシャルバンドを率いて なんばHatchで「秋のバンドツアー」を行う地球快適音楽ギター
デュオ「GONTITI(ゴンチチ)」。そのパッケージ・デザインを手掛けるミック・イタヤが、
ライブCD&DVDリリースを記念して、GONTITIアートをリミックスする展覧会を開催します。
会場ではデビュー以来ミック・イタヤが手掛けたGONTITIアートワークを一挙展示。ドロー
イング、ペインティング、切り絵、コラージュなどミック・イタヤの魅力のすべてが盛り込
まれたGONTITIのアルバムアートを現在の感覚でミック・イタヤ本人がリミックス。再構成
された原画作品を展示販売します。
また今回のダブル還暦フェスを収録したライブCD&DVDのアートワークも展示。オリジナル
作品に加え、今回の展覧会のためにスペシャルグッズやサイン入りのプリント作品も制作。
長年のGONTITIファンにも、新しいファンにも楽しんでいただける展覧会です。
期間中GONTITIとミック・イタヤのトークイベントやミニライブ、サイン会なども実施。
ルクア1100 9Fの梅田 蔦屋書店ともコラボして、地球快適音楽とアートのコラボを盛り
上げます。
★GONTITI & ミック・イタヤ トークイベント+ミニライブ
日時 | 9月19日 土曜日 15:30開場 / 16:00スタート
会場 | 梅田 蔦屋書店 4thラウンジ 〒530-8558 大阪市北区梅田3-1-3 LUCUA 1100 9F当日までにDMOARTS、蔦屋書店でGONTITI CD&DVD、ミック・イタヤ関連商品
合計3,000円以上お買い上げの方、1名分のイベント招待券を差しあげます。
イベント終了後、18:00より展覧会場(B1F ギャラリーDMOARTS)にて
レセプション、サイン会も予定しています。
DMOARTSでの展覧会を記念して、9Fの梅田 蔦屋書店でも
GONTITI&ミック・イタヤスペースが登場。関連商品を販売します。
★『GONTITI 秋のバンドツアー』開催!!
9/24(木)なんばHatch 開場 18:00 / 開演 19:00
羽毛田丈史(pf)、一本茂樹(ba)、楠均(dr)を迎えバンドサウンドをお届けします!
MIC*ITAYA(ミック・イタヤ)
ビジュアルアーティスト
多摩美術大学卒業。流麗な線と明るい色彩で自然や神話の世界を表現し、雑誌、広告、
音楽、ファッション、舞台美術、空間デザイン、プロダクトデザイン、出版等の各分野
で活躍、個展も多数行っている。GONTITIのCDデザイン、UNIQLOユニクロ創立時
のロゴマーク、東京スカイツリー「ソラマチ」の壁画やオブジェ、鏡の作品「MIRRORS」、
和の明かりの照明器具「すずも提燈」はグッドデザイン賞を受賞。BEAMSのブランド
「BEAMS LIGHTS with MIC*ITAYA」のストーリーとデザインなどがある。 ’80年代に
デザイン出版したカセットマガジン「TRA」は、MOMAニューヨーク近代美術館に
永久保存されている。www.micitaya.com
午後から夕刻になり風が強くなる。強風という程ではないので歩いていても気持ちの良い範囲。洋上の台風がもたらす風だが、今のところ雨は伴わず。ガソリンスタンドの兄さんが空を指差して「傘を持たなくて大丈夫ですか?」と声をかけて来る。大丈夫、近くへ散歩だからその時はその時で。応じながら雨はまだ降らないだろうなと思う。そんな風にいつもちょっとしたことを気にして声をかけてくれるスタンドのスタッフたち。帰りに通ると空に目をやりニコッと笑う。雨が降ると洗車はもちろんのこと、給油の客も減るかな。
田崎美術館「中庭の鳩」展アートサロン第2回。充実した時を過ごす。人との出会い、自分の居場所の理解、役割、素直に信じる力、熱意、情熱の大切なこと。東京への帰り道、川越と所沢あたり、高速道路を走りながら花火が見えた。
菜食主義というわけじゃないけれど、薬という字は草が楽しいと書く。野菜や植物を食するのは体に嬉しいことだ。野菜を食べて怒りっぽくなったり戦闘的な気持ちにはなりにくい。薬は治すためのものではなく、楽しい生活に役立つものということ。
OBANDOS「新世界」ライブ。来るべき人が見に、聴きに来てくれる。喜び、悦び。
洗濯されたチノスーツは、ヴェートーベンを聴きながら車寄せの日陰で風に揺られている。僧から人は空から来て空に帰ると聞いて、この世の中は遊園地の空っぽな乗り物のようだと言った中国の幼い子供がいる。
10枚の絵を描き上げる。確か90年代に作ったものだと思うチノのスーツを着る。絵を描く時にと作ったが、あまりの良い出来に外出着になっていた。クローゼットから出る機会が無く久し振りに身を包むと想いが甦り、明るいベージュのチノスーツは小躍りする。これから飛び散る絵の具や勢い余った筆先、メモやスケッチなどが加わり、画架の作品を見守りながらその傍らで、ゆっくりと未知の完成に向かって行く。
有楽町ロフトに期間限定でオープンしたSHOP digmeoutにミック・イタヤも参加しています。
定番のミラーの他に額装のプリント作品やTシャツなど多彩なラインナップをご用意して
皆さまのお越しをお待ちしております。
■ 会期:8月24日 月曜日ー9月17日 木曜日
■ 営業時間:10:30~21:30 日曜祝日10:30~21:00 ※最終日18:00閉場
■ 場所:〒100-0005 東京都千代田区丸の内3-8-3有楽町インフォス1階
東京メトロ「有楽町駅」D9出口よりすぐ
JR線「有楽町駅」京橋口より徒歩2分
SHOP digmeout http://www.dmoarts.com/news/2015/08/5063/
有楽町LOFT http://www.loft.co.jp/shop_list/detail.php?shop_id=199
ミック・イタヤ「中庭の鳩」展
2015年7月23日[木]-会期延長
会期延長が決定いたしました。
紅葉の季節になろうとしています。
軽井沢にお越しの際はぜひお立ち寄りください。
主催企画:株式会社パワー・オブ・ビューティ
後援:一般財団法人田崎美術館
お問い合わせ:田崎美術館 0267-45-1186
田崎美術館
〒389-0111 長野県北佐久郡軽井沢町大字長倉横吹2141-279
TEL 0267-45-1186
開館時間:午前10時-午後5時/水曜日休館
入館料:一般900円/高・大学生700円/小・中学生400円
30名様以上団体100円割引/障害者割引半額
10枚の絵を一度に描いていく。同じテーマの同じモチーフを少しずつ変えながら。発見や思い付きを生かしてためらわずに進む。午後いっぱい夢中になって仕事をし、日暮れたので中断する。またあした。
盆の送り火。
カフェの日除けの下を風が吹き抜ける。気持ちがいい午後、バケットとグリーンサラダにチーズとおまけにフライドポテトを注文し、バケットを手で千切るように半分に開いてチーズとサラダ、チーズに添えられていた干し葡萄を挟み、さらにバケットを両手の指先で揉むように平たく潰してパクっと食い付く。いつものように温かいレモンティーを飲みながら時折細めのフライドポテトをケチャップに付けて口に運ぶ。目の前にテーブルをつなげて陣取った20人程の女性ばかりの集団が楽しげに話したり笑ったり、誰かの一言に明るく大笑いする声。女の人たちの屈託のない笑いっていいな。これ以上の平和な景色はない。
表現のために身を低く縮めて飛び上がる姿勢。身も心も正直にその機会を準備し捉える。
大阪のDMOARTSで開催が決まった展覧会のための準備に入る。9月9日からなので1ヶ月をとっくに切っている。あわてずあせらずあきらめず、出来ることをきちんとする。きっと小さいながらも楽しく暖かみのある展覧会になるように。
お盆休みに入る。都内はめっきり車の往来が減る。移動が楽。pobdesignは仕事を休むが星のアトリエは稼働する。あらゆる点で、まとまった休みを取る余裕は見当たらない。出掛けついでにお昼は天婦羅を食べる。美味い。
謙虚であることを忘れてはならない。今日は何か美しいことをしたかどうか思い出す。
久し振りに雨が降った。にわか雨が二度。大粒の雨に飛沫が上がる。大袈裟な雨音が部屋に響く。開け放していた窓を急いで閉めて廻る。渇いた土に喉を鳴らすように雨が染み込む。小さな流れが少し大きくなって落ち葉を運ぶ。流れはたどり着く前に消える。難破船のように取り残された葉の上から蟻が降りて来る。世界の終わりは始まりへと続く。
昨日は立秋、朝、窓を開けると空気が違う。ほんの少しだけ優しい。台風が近くに迫っているせいでもあるが、それこそが秋の訪れの最初の気配。夕方になり吹く風も肌に心地良く感じられる。
田崎美術館でアートサロン。自由なドローイングや庭で摘んだクランベリー、ヤマウドの花、矢車菊などをスケッチ、コラージュしたり親密な時間を過ごす。助手Aが不思議なキノコを見付けて来て、食べれるものかどうか図鑑で調べてみたが、どうだか分からない。匂いを嗅ぐとしめじに似ているが、見た目も怪しく、もっと強く凶悪な芳香でとても食用になるとは思えない。何かにつけてチャレンジャーな助手Aも、最初は今にもキノコに食い付く勢いだったがだんだん尻すぼみになる。それでも袋に入れて持ち帰るあたり、妙な意地っ張りで可愛いが危険だ。まさか本当に食べたりはしないだろうが念を押さなければならない。
朝、星のアトリエのアプローチの砂利道を掃除するのだが、いつの間にかある形式の様式美に取りつかれている。漫然と綺麗にするのではなくて、フォルムやスタイルを持ち込んで確立しようとしている。段取り、順序、時間、速度など、規則正しく動こうとしている。
残暑お見舞い申し上げます。
お盆も明けて20日木曜日
OBANDOSライブが六本木「新世界」で開催されます。
新世界でのワンマンライブは半年振り
トークとライブの2本立て
OBANDOSメンバーのDJタイムもあります。
料金は前売り2千円+ドリンク代。
納涼がてらぜひお越しください。
トークは6月に静岡で開催した「宿題工作展」
スーパーヨロイ展のスライドを映写しながらの
報告トークになる予定です。
ライブはリードボーカリストのナギノ氏によると
このところイイカンジなので
ぜひコアな音楽ファンの方々にもお越しいただきたいとのこと。
ゆたんぽグッズ担当大臣によると
今回もグッズが充実しており
在庫切れになって久しいゾンビTシャツが復刻とのこと。
コレは凄いね!
というわけで、ライブ来て下さい。
ひんやりイラストレーションは朝倉世界一氏
そして、納涼感あふれるカラーリングは白根ゆたんぽ氏です。
しゃべる!オバンドス トーク&ライブ
〜お盆過ぎだョ! 全員集合〜
2015年8月20日木曜日
時間:19:00オープン&スタート
場所:新世界 港区西麻布1-8-4 三保谷硝子B1
★最寄り駅:日比谷線六本木駅2番出口
TEL 03-5772-6767 FAX 03-5772-6797
チケット:予約 2,000+Drink 当日 2,500+Drink
http://shinsekai9.jp/2015/08/20/obandostalkrive/
【出演 】OBANDOS
安齋肇(ソラミミスト・イラストレーター)
朝倉世界一(漫画家)
白根ゆたんぽ(イラストレーター)
しりあがり寿(漫画家)
高橋キンタロー(イラストレーター)
薙野たかひろ(イラストレーター)
なんきん(ワハハ本舗俳優/漫画家)
パラダイス山元(マン盆栽家・ミュージシャン)
ミック・イタヤ(ビジュアルアーティスト)
【DJ】 パラダイス山元 白根ゆたんぽ 安斎肇
7日連続の猛暑日。昼間はとても外に出る気になれない。朝夕限定の外出。昼食を食べに出るにも行き付けの店はどこも片道15分は歩くので、尻込みする。来週はお盆休みを取る所が多いので、今日明日は目まぐるしい。暑さで頭の働きも鈍いぞ。
人間には強い模倣願望がある。模倣して繰り返すことで覚える。「全ての芸術は模倣より始まる」という言葉があるが、模倣して反復を重ねてついには自分のスタイルに昇華してしまう。どこからどこまでが模倣で、どこからが独自のものか分からない場合は多い。尊敬という表現での似たものもあり、全くの無意識に同じようなものが生まれることもある。幼い子供の頃に大きな影響を受けたものの引力から自由になるのは大変な力が要る。あるいは日常生活の中でふと感じた些細なことが、いつの間にか知らずに大きく芽吹くこともある。似ていたり、同じようなものがあって当然だと思う。それをどのような理由で否定したり是認するかということには一定のルールはない。この世の中の全ては違うし、全ては似ている。
東京で5日連続の猛暑日は観測史上初だとニュースが伝える。ヨーロッパでは氷河の溶ける早さがニュースになっている。先日会話していて示唆されたことに過去と現在と未来の話題がある。時間旅行者がいるとして、過去に関わりを持ち、歴史を変えてはならないというのが絶対の不文律だと考えられる。時間旅行者が歴史を変えてしまうことがあり得るからだが、一方でそういうことはナンセンスであり、歴史は過去も現在も未来も並走して刻一刻とそれぞれ変化しているとも考えることが出来る。歴史として伝えられているのはほんの一部分であり、知られざる新事実は常に膨大な数がある。宇宙の起源や人類の発生や進化についても新しい証拠が更新され続けている。あるいは身近な例えで、昨夜いただいたディナーのメニューについても実は幻のように刻一刻と変化して定説や真実と言われるものは無いのではないか。過去も現在も未来も変えられる、そう素直に考える。この宇宙や太陽や地球、そして我々の関係も素直に感じて変えられる。ひとりひとりが変化するように、やがて全体も変化する。あるいは既にしている。常に素晴らしいイメージを持つこと。
毎日暑い。人に会うのも大変だ。会社に行くのも大変だという話しになり、ならば「会社」に来てもらったらどうだというと、その方がよほど大変だということになる。馬鹿げたことを考えて笑う。
生まれ故郷の水戸で高校生だったころ、和菓子屋の息子の友達がいて、彼の家の離れにあったステレオでツェッペリンやジミ・ヘンドリックス、クリームなどのレコードを聴いた。ステレオには簡単なイコライザーが付いていて低音を強調したり、高音をシャカシャカいわせたりして遊んだ。中でもアートロックと形容されたクリームに影響を受けて、ジャック・ブルースのインテリジェンスのあるベース、エリック・クラプトンのブルージーなギター、ジンジャー・ベイカーのバタバタいう不思議なジャズドラムを手本にした。クリームのような3人編成のパワーバンドに憧れて気の合う仲間とバンドを作ったが、その頃読みふけっていた三国志にあやかって「三獄使」と名前を付けた。庄司薫の「赤ずきんちゃん気をつけて」が流行って、なぜか付けられた「かおる」というあだ名から「ミック」になったのもこの頃。単に気分だった。田舎にあったメンバーの家でリハーサルは大分やったが、演奏の機会はなかった。そのうちに多摩美に入り福生に住むようになる。自由というよりも単に気ままな日々。今日の仕事をしながら徒然に思い出されたこと。空気で生きて来ているところがある。
夏のサンルームは暑い。サンルームの中に日除けの白いシートを張ってみる。太陽の光が和らいで見た目にも涼しくなる。午後、久し振りにモノクロのカットを40点描くが、30点程で店仕舞い。そんなに根を詰めて描けるものではない。明日にする。田舎のパーティーをテーマにしたもので、モチーフはダンスするカップルや楽器、アクセサリー類など色々。モノクロのカットは、駆け出しの頃、雑誌の仕事などでたくさん描いたのを思い出した。今更ながらにありがたい。
溝口肇氏のご案内で、和紙アーティスト堀木エリ子さんのプライベートライブに行く。寺田倉庫の内部の広い空間に巨大な和紙の作品が並べられている。音楽と朗読とダンス、コンテンポラリーダンサー森山開次氏のダンスは印象的だった。肉体からダイレクトに発する抑制の効いた力、鍛えているのは身体だけではない。糸の無い操り人形のようだが、決定的に違うのは、人形が操り方を指図している点だ。溝口氏のチェロは柔軟でしなやかな強さ。森山氏のダンスと絡んで果てがない。終わっても終わりと言えない残像が漂う。
星のアトリエにこもり気味。暑さのせいもあり散歩などに出にくい。オーバーヒート。耳を澄ます。夏の夜に色々な物音が聞こえる。子供たちの声や誰かのくしゃみ。ドアの閉まる音、車が走る路面の音、原付バイクのエンジン音。遠く近く。ラジオから流れる音楽と混ざり合って少しだけ涼しくなった気がする。
打ち合わせに自転車で出掛けようかと思ったがやめた。日中は暑すぎて外に出るには覚悟がいる。
作品に額を選ぶ。額には窓枠と同じ役割があり、作品の世界と生活空間の表情を決定付ける。内と外とをつなぐ意志が生まれる。
何枚かの絵を描く。幾つかのコラージュをする。今日の仕事全体のコンディションは3級の山を2つ越え、スプリントポイントも付くが、やや登りのゴールに伸びが足りない感じ。アシスト勢の働きはあるものの区間優勝は無理だし、仕事の評価は高いが、減り張りが無く、まったりして敢闘賞は逃す。ツールを見ているとつい影響を受ける。仕事をサイクルロードレースに見立て、まず山岳として難易度に等級を付けるとすると、超級、4級、3級、2級、1級。スピードとパワーが要求されるスプリンターとしてのポイント、1日の順位がどうだったかを評価する区間賞、仕事を盛り上げたかどうかの敢闘賞、総合的になタイムを計るマイヨジョーヌ、総合優勝狙い。今日のところは落車しなかっただけ良かった。サコッシュを取り損ねてハンガーノッキング気味、総合の順位は7位、タイム差はキープ。明日は4級が2つとスプリントポイントも2つある。
大阪、RUCUA1100内のギャラリーDMOARTSで開催中の「ミック・イタヤ星くず蚤の市」会場でサインと絵描きイベント。ハンドミラーが入口となって僕を知る人は多い。途中休憩を取ろうと思っていたが、人波が途切れず結局4時間があっという間に経つ。
留守中に止まっていた仕事の幾つかを進める。いきなり深追いはせずに、仕事をする時を整える。
軽井沢から東京に戻る。軽井沢だからと言って優雅に過ごしていた訳ではないが、やはり東京より涼しく過ごし易く気分が良い。軽井沢に来る人々も住む人々も世代交代が進んで、馴染みの場所や森の様相の変化は早い。
軽井沢、田崎美術館「中庭の鳩」展初日。ゆっくりと始まる。美術館の中庭には、尾の長い小鳥が住み着いている。なまえを知らない。「中庭の小鳥」。
ピーターラビットと作者ビアトリスク・ポター。裕福な家庭に育ち、幼い頃から自然の中での生活や動物たちをいとおしみ、子供時代に教えを受けた家庭教師の子息のお見舞いに書いた絵手紙がピーターラビットの始まりとなった。湖水地方を愛し、少しずつ手に入れた広大な土地や家屋のナショナルトラストへの寄付。守られた自然と文化。幼少期の生活と環境が未来を決める。
軽井沢、田崎美術館へ。「中庭の鳩」展搬入。変わらず。モダンな建物に、アットホームな雰囲気。全てがアンバランスなバランス。浮世離れした重厚な俗っぽさ、あるいは世俗と崇高な存在の気軽なランデブー。逆立ちする奇妙な落ち着きとそれに伴う安堵感。相反する事物の入り交じり弾き合い静かに溶け出す場所だ。
いつも通りに仕事をしていたので、今日は祝日だというのをすっかり忘れてた。
朝から作品の梱包作業。保管庫に納める作品を点検し、しかるべき素材と方法で包み守る。車に積んで保管庫へ。保管庫から作品を30点ほど選んで運び出す。一日がかり。
代官山ティーンズ・クリエイティブでワークショップ。参加者のほとんどが小学生なので、「パッケージ・グラフィティ」と名付けた不要な空箱や紙袋などに絵を描いて「喜ばれる落書き」作品にする試みは、良い具合に図画工作の時間のような雰囲気になり楽しい。僕も小学生の時に、歯磨き粉や石鹸の箱を使ってロボットや水族館を作ったのを思い出した。皆の発想は自由でジャンプする。何かヒントをつかむとスピードが速い。描くのはもちろん、切り抜いたり貼り付けたり大胆だ。参加者のパッケージ自体に直接手を貸すことはないが、注文があれば紙に絵を描いて切り抜いて貼ったりはする。女の子の注文で「りす」を描いたが「りすに見えるわ。」と素直な感想をもらいホッとした。「りす」を描くことはほとんどないのでおっかなびっくり。他に「ネズミ」や「さる」を描いた。
台風は四国に上陸、中国地方から日本海に抜けて北上する。丸い地球表面を流れるシャボン玉の薄い虹色の表面のような気流が生まれては消える。八百屋の店先に桃が並んでいる。果物はどれもこれも少なからずエロチックだ。果物が好きと言うのはどこか好色な雰囲気があり、どんな車が好きかと言う質問の、揶揄された真意に近いものがあるような気になる。そんなこととは関係なく、好きなものがあって、好きだと言えるのが良い。僕はもちろん果物も車も好きだ。
日本橋人形町の方へ打ち合わせに出る。蛎殻町など、谷崎潤一郎にゆかりの土地柄なのを思い出す。昼食時になり、取り寄せていただいた名店のお弁当を楽しみながら皆で世間話をする。開店と同時に売り切れるどら焼や名物の人形焼きなど、食の話題には事欠かない。職人や商人の町で仕事の段取りなど打ち合わせしながら、自分の中に流れる血が受け継いで来ていることについて思い巡らす。
もうすぐ台風が来る。明日は朝から打ち合わせで出掛ける予定なので、あまり激しい雨にならないといいと思うのだが。みんなそれぞれにそれとなく準備をしている。雨や風、殴り付け降り注ぐ暴れん坊の渦巻き。海の上を滑り、掻き回し、大地を駆け、山を登り下り、電光と唸りと叫びを轟かす。何とか遣り過ごす。なだめたりすかしたり出来る相手ではない。思いのままに。
dip in the poolのお二人星のアトリエに来る。初めてのベストアルバム表1プレゼンテーション。デザインを15種類用意してボードにして一度に見せる。全員意見が一致し即決。六甲アートフェスティバル、「宿題工作展」OBANDOSのオルゴールビジュアル、ラフデザイン送る。一人でも二人でも、皆で楽しめるオルゴール。
時間が全てを変化させる。時計の針がゆっくり回って出来事を刻む。全てを数字に置き換える時代の終焉。数字では顕せない何かが宇宙の外側とつながっている。
暑くなった。粘土をこねて小さな塑像を作る。意外に思うような形にはならない。粘土がどんな形になりたいのかよくよく尋ねてみるが、知らん顔をしている。粘土を触りながら、部屋の外から聞こえる女性たちの話し声に耳を傾けていたら、話の言葉も内容も、時折上がる笑い声以外はくぐもって解らないのだが、小さな塑像はいつの間にか「お喋りな午後」の形になって僕を見上げている。
ヴェネツィア在住のガラス作家、土田康彦氏の展覧会を見に行く。力強く繊細で美しい。また、ゆっくり会いたい。
朝、星のアトリエへのアプローチに敷き詰めてある砂利をならす。踏みつけられて固まった石を自由にする。