PICTURE DIARY 3108FR2012
初めてドラムのセットを買うとき、楽器は最高のものを手に入れなさい、と物知りの人は言った。高いものを買えば、おいそれともうやめよう、と言わないからね、と笑いながら。一眼レフのカメラを買うとき、カメラ屋の主人は真剣な顔をして言った。人に絶対に貸してはならない、これは君のもので、君の一部になるものだから、シャッターボタンひとつとっても、他人の癖がついてはならない。画材を選ぶときに、最高のものを選ぶ。それは高価なと言う意味ではなく、自分に合ったという意味での最高のものを。しかし、そうやって選んで愛用して来たものがいつしか製造の中止やその他の理由で入手できなくなることがある。そして、その都度、作風に変化をもたらし、変更を余儀無くされた。それはもちろん必然の変化で、失われた画材に替わるものを求めるよりも、その作風を捨て去るべき局面だと感じた。そういう風にして新しい道を歩む。去るものは決して追わず。