PICTURE DIARY 1906TU2012


台風4号来る。風で星のアトリエ身震いする。子供の頃には台風が来ると言うと、ワクワクドキドキしたものだ。学校が休みになるかも知れない。家の前の道など下水が溢れて川の様になるかも知れない。屋根の瓦が飛んだり羽目板が風に飛ばされるかも知れない。父が仕事から早く帰って、雨戸などを打ち付けたり、塀が倒れない様につっかえ棒をすることになるかも知れない。テレビのアンテナが屋根から無くなっているかも知れない。遭難したことにして物置の屋根の上に不時着させたプラモデルの飛行機が本当に遭難するかも知れない。停電してロウソクの灯りで夕食になるかも知れない。雷が落ちて電信柱のトランスがひしゃげるかも知れない。トランジスタラジオと懐中電灯が必要かも知れないので、ちゃんと使えるか確かめたほうが良いかも知れない。夜のうちに台風が行ってしまったら、明日は学校があるかも知れない。そしたら川のようになった道路に船を浮かべて遊ぶ事は出来ないかも知れない。布団に潜り込んで眠ってしまうのはもったいないかも知れない。すごい風とすごい音、庭にある僕の鉢植えはどうなっているかな。しまい忘れちゃった。朝になったら割れて砕けた鉢と植木をなんとかしなきゃならない。雨の音が、風の音がすごい。朝起きるとカラリと晴れて、庭や家の前にはたくさんの落ち葉や小枝がある。飛行機は遭難して行方不明になった。母が避難させてくれた植木は、割れはしなかったけれど転がっている。いつものように友達が迎えに来て台風の話しをしながら学校へ歩く。昨日と違う景色の中を、昨日と違う風景を探して。

One Comment

  1. かとびい より:

    子供の頃のこんな気持ちを憶えているってすごい。
    だからクリエイティブなアーティストでいらっしゃるのでしょうか。
    凡人はどんどん忘れていってしまいます。
    同窓会なんかやると,本人よりいろいろ憶えている人間データベースみたいな同級生がいたりします。そいつがいるといないとでは場の盛り上がりが全然違うのです。
    思い出って大切です。
    でも,日々の暮らしの中でどんどん遠ざかっていく。
    ぼんやりと昔を想う時間を作りたいです。

Leave a Reply