PICTURE DIARY 3110TH2013
角の若いセロ弾きが引っ越している。2階の窓から毛布や枕やマットレスを道路に投げ降ろして、さながら火事場の人命救助のようだな、と思って見てた。だからと言う訳ではなかろうが、夕方消防車のサイレンが遠く聞こえて来て割と近くで次々に止まる気配。助手Aに様子を見に行ってもらうと、角のセロ弾きの家のはす向かい奥の方向でボヤがあったらしく大騒ぎになっている。煙は無い。その騒ぎの最中、セロ弾きが引っ越しの別れを惜しむ隣人から餞別なのかお酒のボトルらしき物をにこやかに受け取っている。周囲の状況にそぐわずシュールだ。斜め前のゴミ置場に、羅針盤と古びたトランクと地球儀が棄てられている。全てはセロ弾き氏の旅の新たな始まりを祝うようだ。羅針盤やトランクや地球儀はきっと誰かに拾われるのだろう、次の旅人の。