PICTURE DIARY 3005WE2012


クリスティアン・ベザイデンホウト、フォルテピアノ・ソロ・リサイタル。王子ホール。フォルテピアノによる全曲モーツァルトのプログラム。チェンバロとモダンピアノの間に位置する楽器として認知されるフォルテピアノの音色や表現力は、モーツァルトの時代のサロンの様子を想像しやすく素直に感じる事が出来て、まるで夢が現実になるかのような音像を醸し出す。優雅かつロマンチックな世界である。モーツァルトのチャーミングな空気がベザイデンホウトによってホールの隅々に満たされる。モーツァルトは特にだが、例によって脳の中心部や表面をとても柔らかく揉みほぐし、コロコロと珠が転がるような音色に、かなり良い気持ちで眠りに落ちた。タイムトラベラー。フォルテピアノはウィーン時代のモーツァルトが愛用したアントン・ワルター製の復元。終演後、観客をステージに上げて自由にフォルテピアノを眺めたり触れたりする機会が持てるのは素晴らしいアイデアだ。調律師であるのか、またはピアノの会社の人であるのか、男性のスタッフによってフォルテピアノの機能や構造について解説をいただける事が興味を深め、貴重な体験と感じられた。鍵盤は幅が狭く浅い、非常に軽いタッチだと言う。演奏曲目は以下に。ピアノ・ソナタ第5番ト長調K283、前奏曲とフーガ ハ長調K394、メヌエット ニ長調K355、小さなジーグ ト長調K574、幻想曲ニ短調K397。休憩20分。「私はランドール」による12の変奏曲 変ホ長調K354、ピアノ・ソナタ第9番ニ長調K311。アンコール。ピアノ・ソナタ第14番ハ短調K457より第2楽章、ピアノ・ソナタ第15番ハ長調K545より第2楽章。以上。

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