PICTURE DIARY 3001SA2016

PD20160130s
参道に七味屋が店を張っている。
小柄で痩せた、ツルッとした親爺が
ガラスの入れ物の向こうにいる。
近付いて尋ねる。
「唐辛子は無しでどう?」
「唐辛子無しじゃ七味じゃねえなぁ」
「あんまり辛いのは止めておきたいんだけど」
「そんなに辛くねぇよ、唐辛子が入んないとダメだな、七味だから」
「ダメかな」
「少しだけ入れなよ、ほら、これくらい」
「えっ、多いな、その半分で」
「じゃ、これくらい」
親爺は小さじに3分の1くらい唐辛子をすくって見せる。
「わかった、じゃ、それで。あっ、胡麻多くして、あと山椒も」
「はい唐辛子これでね、胡麻多く、海苔、芥子の実、柚子、はい山椒も多く、あとアサの実ねっ!」
椀にすくったものをまぜ
「ほら、嗅いでみる?」
手渡された椀からいい香りが立つ。
小さな五百円の缶に詰めてもらう。
とても全部入る量ではないなと思ったが
椀に余った分をビニールに入れ
口を輪ゴムでぐるぐる結んで
おまけ、と言ってくれる。
ケチケチしない。
自分専用の七味。
「これ、気に入ったらまた来るよ」
「あー、またいつでもね」

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