PICTURE DIARY 2309SU2012
朝、目覚めたら雨音がするのでそのまま昼過ぎまで眠る。幾らでも眠れそうだ。ぼくの幼時に、ご飯を茶碗に盛りつけて出しても、どうしても手をつけず食べないことがあった。どうしたものだろうかと両親は困ったのだが、そのうちにお櫃から杓文字を手に取って、杓文字に付いたご飯を食べ始めたのだと言う。このことはぼくの遠い記憶の底に微かに残っている。杓文字と米の香りが好きだった。行儀の良くないことだが、杓文字からご飯を食べることで得意気な心地がした。今思うことだが、幼いぼくの野性が茶碗に盛られた米の飯よりも、米櫃や飯炊き釜から直接炊きたての米を食べたい、生きた米を!という欲求があったのかも知れない、と、ほとんど勝手に格好良く空想した。野性の獣がそうであるように、雨なので狩に出かけられない寝床の中で、空腹を感じながらまどろみの時を過ごす。