PICTURE DIARY 2209SA2012


秋分のお彼岸。菩提寺の住職と世間話。先代はまだまだお元気で、今日も一緒に提灯の話などした。在職60年余。現役のまま現住職に道を譲られたのだが、そのような例は全国の寺の中でも珍しいのだと言う。ホームセンターの十字路には、この季節の夕暮れ時になると何千何万羽という数の鳥が群をなして飛び、電線のパーツのようにほとんど等間隔でとまっている。すると近所の誰かが「パン!」と銃のような音をたてて追い払う。一斉に飛び立つ小さな鳥たちは、まるでアメリカの昔の漫画映画で見たことのあるような形をして、例えば矢印からアルファベットの形になるような、そして偶然の、必然の数学的とも言える無限のプログラムによって変幻自在に群れの形を変えて右から左へ、左から右へ、右回り、左回りに幾つかの大きな塊となって大空を移動し、ぶつかりあい、吸収され散開する。いつまで見ていても飽くことの無い。訊ねると、以前この十字路に大きな樹があり、渡る鳥たちの休み場所になっていたらしい。今はその大樹は失なわれているのだが、代々の鳥たちの記憶には大樹は存在し、その樹を目指して旅を続けるのだと言う。縦横に交差した複雑な電線が大樹の代わりをしている。付近の人々には迷惑なのかも知れないが、不思議で面白い見事な光景なので、観察する会や研究、鑑賞の、あるいは保護の会など、下手をすると大迷惑の会など、そのうちに出来そうな気がする。鳥の名を聞き忘れた。

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