PICTURE DIARY 1910SA2013
いつの間にか、不意に無くなってしまって困る物のひとつ。眼鏡のフレームとツルをつなぐ小さなネジ。知らないうちに緩んで抜け落ち、何処へか消え失せて無くなってしまう。あの小さなネジが無くなってツルが外れてしまうと何だかすごく居心地の良くない、残念で滑稽なことになった気分になる。そして、なぜだかしばらく眼鏡を放っておいたりする。特にサングラスの場合。眼鏡屋に持って行けばすぐに解決することだろうが、と思いながら時間ばかりがいたずらに過ぎる。今日は意を決して、とは大袈裟だが、行きずりの、ここぞ、と言う店構えの眼鏡屋を見付けたら入ると決めて街に出た。そうしてドアを開けた眼鏡屋の、短く手入れして、きちんと分け目の入った髪に白衣を着た小太りの店員に、取れてしまった眼鏡とツルを差し出すと、ネジの合うものがあるかどうか探して見ましょう、と言うことと、この場合315円かかること、そして5分から10分時間をいただきたいと言うことを丁寧に説明してくれ、眼鏡が舶来の品なので、どのようなネジのピッチにも合う、樹脂でコーティングしたネジにせざるを得なく、本来はネジの頭がマイナスのものなのだが、ブラスのネジになることや、古いものなので大切にして欲しいことなどを嫌味なく、もしも使っていて不都合が出たら遠慮なく来て欲しいことなど、ゆっくり丁寧だが、品の良い商人らしく簡潔な選ばれた言葉で伝えてくれ、千円札を差し出すと、返す釣銭は全て新しいピカピカの硬貨であった。街の眼鏡屋さん。また行こう。