PICTURE DIARY 1808SA2012
子供の頃、大人になることに憧れて、大人の食物を大人ぶって食べたりしたものだ。これを平気で食べられるなんて大人だなあと思う物。塩辛、焼きピーマン、カラスミなど、大概ビールや酒のつまみのような物で、大人たちの酒席の端っこで、スルメやカキピー、サラミ、チーズなどを賜り、美味い!と喜んだり顔をしかめたりしたものだ。翻って、子供の頃には大好きでよく食べたのに、大人になってもうたくさん、あるいは体が欲しないものも多い。油を使うものには敏感になった。古い油、質の落ちる油はいけない。辛いものもハードルが下がった。しかし、このようなことを書き記しながら、我家の躾の一つに「食物に文句を言うべからず」というのがあり、食卓に上がったものにあれこれと文句を言うな。食卓のものは何でも美味しく、きれいにいただくのが作法であり美徳だと教えられた。残さず食べよということではなく、しかし、残さず食べれば当然喜んだ。年月を得てだんだん残さずというのは難しくなり、無理だと思うものはきちんと残すようになった。それと酒は元来量を必要としなかったが、いよいよもって必要とせず、口に少量を含むだけで充分。大人になったらたくさん酒を呑んでみたいと思うこともなかったので、当然と言えば当然か。野球のスバイクや大人の革靴がコンクリートの上でカチャカチャ鳴るのが格好良くて、道端に捨てられたジュースの空缶を運動靴で潰し、そのまま足裏にはめて、ガチャガチャと得意気に歩く少年の夏。