PICTURE DIARY 1604MO2012
読んでいる本は短編集で、とても面白いのだけれども、強い印象を持ちながらゆったりと包むスピード感があって気持ち良い反面、奇妙な奈落を持っていて、多分、それは著者が日本の魂や心、そして文化を良く知った気高いフランス人だと言うのが理由だと思え、格別な感性に対する好奇心と興味は尽きないが、しかし二度読むのを中断した。今の自分には静かで密やかだが、しかし容赦のない許容を超えた情緒の奔流が悲しく苦しい。一度目はせっかく知り合った事だし、短編集の最初の幾つかの物語の中には、こんな風な読後の寂寞は許そうと考えて再び読み始めることにしたが、その寂寞感や哀しみのメロディーは、僕と活字の間の空間を去ることは無かった。そして、二度目の中断。滅多にあることでは無いが、読み終える事の無い本になるのかも知れないと思う。重苦しい音符は今の自分の弱った部分に折り重なるように積もる。多分もしも著者に会うことがあるとすれば、中断した本との距離に変化が訪れるのだろうと思う。あるいはもちろん受容する僕自身の変化の時を待つことで。アルバムAngelをCDの山から取り出して久し振りに聴いてみた。dip in the poolとの2曲。「Heven’s Above」と「Sora to Umi」特にこの2曲は今この時の曲だと思う。佐久間正英氏との2曲「Angel’s War」と「Lovely View」には、自分のアルバムからとは言えども今更ながらに心を動かされ、軽くあまりにも深淵な音像に驚く。このことによって、中断した本と今日の僕の行方はつなぎ止められた。