PICTURE DIARY 1603FR2012
T.E.カーハートの「パリ左岸のピアノ工房」を途中まで読んでいる。子供の頃からピアノが好きだった少年が大人になり、子育ても一段落して、仕事も自由な時間を選んで出来るようになったある日、パリの住居の近くにピアノ工房を見つけて、ピアノに再び出会い、ピアノの抗しがたい魅力を語り綴る。パリに住むアメリカ人の書く本は、文化や考え方がフランス人とは根本的に違っていて、アメリカ人のフランスへの、あるいは、ヨーロッパへの恋にも似た憧れのような気分が垣間見えて、面白く読み進んでいるところだ。まだ三分の一も読んでいないので、これから話はどうなるのかはわからないけれど、僕自身がだんだんとピアノの魅力に取り付かれ始めている。子供の頃、ピアノを習いには行っていたが、自らの意志で行くようになったわけではなく、両親が通うように段取りした。田舎の町の暮らしでピアノを習う男の子は少なく、その年の頃は野球に夢中になっていてそちらが楽しく、仲間と野球をして遊んだ後の埃だらけの手で、白い鍵盤を黒くする不躾な有り様で、ピアノの発表会が近付き、半ズボンのスーツを着て人前でピアノを演奏するなどは耐えられず、身震いがしてピアノ教室へ行かなくなった。女の先生は素敵な美人でとても優しく、教室へ行くとラーメンを作ってくれたようなことなどもたびたびあり、小学校4年生の僕にはピアノに馴染めず、面白さを見出だせずにいるのが申し訳なく、苦しかった。ピアノが好きだと言うのにも、人に演奏して聞かせることではなくて、ただピアノを弾くのが好き、またはピアノという楽器そのものが好きと、さまざまな好きがあるものなのだなと、本を読んで今更ながらに目を開かされている。星のアトリエにピアノがあれば、と思うこともあったので面白く読み進んでいるところだが、これからピアノを習おうか。自分だけの愉しみのために。
グランドピアノあります。
うちは防音できないので、あっても
弾く機会がきっとないでしょう。