PICTURE DIARY 1506FR2012
結城の奥順へ。結城紬がユネスコの無形文化遺産に登録されて一年が経つ。今年1月にはパリの2012-13秋冬のメンズコレクションにルイヴィトン社が奥順の結城紬を生地として使用したスーツを発表した。パリの生地見本市プルミエールビジョンに招かれて出展し、ルイヴィトン社と巡り会った。長い結城紬の歴史と、日本人ならではの細かく気の行き届いた地道な手仕事が評価された結果だ。奥順は結城紬の伝統を守り続けている。電動の織機で織る紬もあるけれど、昔ながらの方法、繭を煮てほぐし手紡ぎした糸を地機を用い人の力で織り上げる結城紬の伝統を守る。一反に半年程かかるそうだ。奥順の社屋は明治時代に建てられた古い木造の建物で、格子戸や蔵の様子等の景色が日本の古都の佇まいが感じられ、気がとても落ち着く。京都に来たような気がするのは、奥順のデザイナーで、京都からいらした上村さんの醸し出す雰囲気が一助あると思う。奥澤専務とお話をしていると、結城と言う茨城の歴史のある古い町の紬が、日本の伝統工芸に根差した魂をそのままに携えて、世界各地の、求めのある必要な所へ届けられる日は近いと感じる。若い四代目奥澤氏に男紬の着方仕舞方、角帯の締め方等実演していただきながら、ここでも「古くて新しい未来」を感じ、出来る事から確実に実行実現しようと思う。