PICTURE DIARY 1405MO2012
街を歩いていると、所々で椎木の瑞々しい香りがする。僕はこの香りが大好きだ。木々や草花の香りは季節の意味そのものを現し象徴している。草の夏、大好きな遊びのうちの一つに芝滑りがあった。段ボールやベニヤ板など、それぞれの気に入った板にロウをしこたま塗って滑走する。ただそれだけの単純で奥深い楽しさのある遊び。気に入った段ボールやベニヤ板は大事にして季節を共にする。芝や草の擦れて立つ匂い、その匂いを最近嗅いだことが無い。総合グランドと呼ばれた野球場や陸上競技場、体育館などのある一角が僕ら仲間たちの遊び場だった。特に縄張りと言う決め事も無く、早い者勝ちで自由に遊び回っていたが、最上質の芝の斜面があるのは何と言っても市民球場の外野席だったので、大人たちの野球大会で入場が無料の日には、仲間の皆で野球を見ながら芝滑りをしたものだった。しかし何と言っても僕らの遊びの中心は野球だったので、観戦しながら大人たちのファインプレーや凡プレーに歓声をあげたり野次を飛ばしたりするのも楽しいひとときだった。試合に退屈すると芝滑りなどしながら、さんざん斜面を転がり落ちたりはい上ったりする。試合が終了すれば、夜間照明などある時代では無いのでもう薄暗くなりかけている。夕陽ウォッチャーでもあった僕は一人でライトスタンドの向こうに夕陽が沈むのを見届け、残照の美しさをゆっくりと堪能して、真っ暗になる前に夕食に間に合うよう、急いで帰宅する。球場で試合の無い日には、隣接するサブグラウンドでさんざん野球をした後、市民球場の石垣をよじ登り、球場内に忍び込んで外野席の芝滑りを恐る恐る楽しむ。グランドボーイに見付からないように。グランドボーイとは言え少年では無く、多分、40から50才位の品の無い連中で、見付かって運悪く捕まったりすれば、怒声と共に容赦の無い往復ビンタが炸裂する。奴等はビンタが上手で良い音をさせる。いつも決まって一人、誰かが逃げ遅れてやられる。僕らは物陰でその惨劇を息を潜めて見守り、ヒックヒックとしゃくりあげながら肩を揺らし、石垣を降りて帰ってくる仲間を待ち構え、慰める。もちろん僕は鬼ごっこが得意なので痛い目に遇ったことは無い。夏草や汗と涙とアイスキャンディー
「掘原運動公園」ですね。
僕の遊び場は「上水戸駅」でした。
鉄道が廃線になった後,倉庫に忍び込んだり,
屋根裏にあがってみたり,
やはり係の人に見つかると,大逃走劇でした。
ミックさんのお家が水戸にあった最後の年に
その鉄道は廃線になったのですよね。