PICTURE DIARY 0610SA2012
14時、東京オペラシティコンサートホール。ヤン・リシエツキJan Lisieckiピアノリサイタル。17歳。曲の魂を理解し表現する天才があり、血を感じる。一音一音に込める力が素直で素晴らしく伝わりやすい。ピアノ弾きが見て聞くならば、きっとぼくよりも強く感じる点だろう。容姿や雰囲気もポーランド貴族、貴公子然としている。メシアン、J.S.バッハ、モーツァルトと続き、インターバルの後、ショパンへと続くプログラムはこれも強い意思を感じさせる。ショパン12の練習曲op.10。リストに捧げられたポエジーに溢れる珠玉のプログラム。アンコールで取り上げられたエチュードop.25-1,2そして「木枯し」はあたかもフットボールのゴールだった。フットボールスタジアムへ行くと贔屓のチームがゴールをしたら自分も立ち上がって「やったー!」と叫ぶだろうか、など一時ぼんやり考えることがあるが、果たして実際にゴールを見ると、緻密に組み立てられた絶妙なパス回しを眼で追い心を奪われ、相手のゴールに近づいたボールがネットを揺らした瞬間、無意識のうちに立ち上がり、それどころか飛び上がって叫び、拍手をしている。まさに興奮と喜びの絶頂の瞬間を身体全体で表している。ヤン・リシエツキはテクニックを身に付けている。今日の「木枯し」は、完璧なゴールだった。自然にスタンディングオベーション。プログラムの最初に取り上げられたメシアンに興味がわく。ヤン・リシエツキの将来の構想がメシアンの世界の延長線上にあるかも知れないと思う。以下プログラム。O.メシアン1908-1998 O.Messiaen 前奏曲集より Pleludes第1曲 鳩The DOVE、第2曲 悲しい風景の中の恍惚の歌Song of Ecstasy in a Sad Landscape、第3曲 軽快な数The Light Number、第4曲 過ぎ去った時Dead Instants。J.S.バッハ1685-1750 J.S.Bach 6つのパルティータより第1番変ロ長調BWV825 Partita No.1 in B flat major.BWV825。W.A.モーツァルト1756-1791 W.A.Mozart ピアノソナタ第11番イ長調K.331「トルコ行進曲つき」Piano Sonata in A major.K.331”Alla Turca” 1.Theme and Variations:Andante grazioso 2.Menuetto 3.Alla Turca:Allegretto。休憩。F.ショパン1810-1849 F.Chopin 12の練習曲op.10 12 Etudes op.10 第1番ハ長調No.1 in C major、第2番イ短調No.2 in A minor、第3番ホ長調「別れの曲」No.3 in E major、第4番嬰ハ短調No.4 in C sharp minor、第5番変ト長調「黒鍵」No.5 in G flat major.”Black Keys”、第6番変ホ短調No.6 in E flat minor、第7番ハ長調No.7 in C major、第8番へ長調No.8 in F major、第9番へ短調No.9 in F minor、第10番変イ長調No.10 in A flat major、第11番変ホ長調No.11 in E flat major、第12番ハ短調「革命」No.12 in C minor.”Revolutionary”。アンコール。F.ショパン エチュードop.25-1”エオリアンハープ”、エチュードop.25-2、エチュードop.25-11”木枯し”以上。音楽から受ける恩恵を、どのようなかたちの作品で、どこに返すことが出来るのだろうかと考える。絵はリサイタル会場の少女。