PICTURE DIARY 0510SU2014
台風の影響で一日中雨が降り続く。子供だったぼくに対して影響を与えたのは、いつも何かしら物を作る人だったことを思い出す。間断のない雨音を聞きながらぼんやりとしていると、小さい頃の記憶のかけらがふと浮かび上がる。道を隔てた斜め裏手のお兄さんは、木を削って飛行機のスケールモデルを作る趣味があった。時々遊びに行っては製作中の戦闘機などを見せて貰った。ぼくの生家の左隣は今でも建具屋さんで、その作業場へは本当によくお邪魔したものだ。仕事の一部始終を見ることに飽きることはなく、度々やんわりと追い払われた。シュルシュルくるくると綺麗に螺旋を描きながら、向こう側が透けて見えるかんな屑や、丁寧に切り出された小さな木っ端などを、充満する木材の芳香と共に、いとおしく愛で、集め、組み合わせた。ノミや鋸などの手入れや扱いにも注目した。父方の実家が材木商ということもあり、大工や鳶の仕事を見るのは今でも好きだ。職人と職人技が大好きだ。そんな職人に憧れは持つけれど、自分が職人になろうと思うことはなかった。幼時からあまりに見事な職人技に接していると、自分の適性も早くにつかめるということかと思う。一流の職人の仕事はとても出来ない。