PICTURE DIARY 0306WE2015
新宿の方面に行く用件が出来、B GALLERYで開催中の絵画保存修復家、岩井希久子さんの展覧会を見に行く。絵画修復師の展覧会は珍しい。一昨年程前からキュレーターの藤木洋介氏に少しだけ話は聞いていたが、なるほど興味深い展覧だ。絵画の保存と修復の作業は病気を治す治療と同様だと言い、人類の文化遺産を後世に伝える役割を地道に探究もしている。どのように修復するべきか迷いのあるうちは、絶対仕事に取りかからないと言う。展覧会場で映写される修復作業や息遣いの伝わる映像を見ていると、静かな、それでいて毅然とした激しさを秘めた情熱が伝わって来る。作品に込められた作者の精神や意志に寄り添って、その何かを感じ、理解しながら作業は進められる。日本の絵画保存修復の現実は、欧米に比して大分立ち遅れていると言う。専門の教育機関さえ無いのだから。岩井さんのような優れた人物がいらっしゃるのを知ると同時に、絵画保存修復にまつわる材料や技術、現実と未来について、表現する側もより知識を深める必要がある、そして応援する必要がある。美
の永遠のために。