PICTURE DIARY 0304TU2012
人間は自分を大きく見せたい。見たことの無いもの聞いたことの無いものを作りたいと考える。けれども人は見たことも感じたことの無いものを作ることは出来ないと言う。この世界に存在するものをお手本にして新しいものを作り続けて来た。夢の中では見たことの無いと思う風景を見ることがある、と思える。思えると言うのは、見たことのある景色を忘れていたのかも知れないと思うからで、しかし、明らかに見覚えの無い風景がある。それらは巧妙に組み立てられた視覚的な記憶の断片をあつめたもので、目覚めている時には考えもつかないテクスチャーと構造構図を持っている。夢の中で自分は巨大な生物だ。あるいは、低い音波で高い壁を崩す巨大なペニスを持った柔らかなワニだ。そしてその柔らかで巨大なワニは、大きな豊かな田園と丘からなる女体の小川を泳ぎ、美しい小さな泉で遊びに更ける。見たことのあるような無いようなものどもの集まる市場。それらは全て誰かが見たものなのだ。王様は見たことの無いものを探し出して、目の前に持って来るようにと命ずる。頭はライオンで長いキリンの首を持ち、サイの胴体に蜘蛛の足、ウサギの尾を風船のように膨らませて空中を揺らめく生き物。そんな生き物は見たことは無いけれど、部分部分は既知の生き物なのだ。宇宙の果てのどこかの星の上に、見たことも聞いたことも人間の五感にも六感にも感じられたことのないものがある。物質化した心。とろけた魂。