PICTURE DIARY 1804FR2014
自転車に乗って走ると、風の冷たさで頭が痛くなる。少しずつの暖かさに馴れた体にはとても寒く感じる天気だ。夕方になって細かく冷たい雨が降り始め、低気圧が身も心も重くする。こんな日は軽やかなピアノやバイオリンの曲を聴く。
自転車に乗って走ると、風の冷たさで頭が痛くなる。少しずつの暖かさに馴れた体にはとても寒く感じる天気だ。夕方になって細かく冷たい雨が降り始め、低気圧が身も心も重くする。こんな日は軽やかなピアノやバイオリンの曲を聴く。
東京スカイツリー、ソラマチ5階スペース634へ。文芸提灯展言ノ葉の灯設営。230張程ものSUZUMO CHOCHINに、多くの人々の短歌や和歌を書家が書き現し展覧する。昨年に続き第二回となり、会場を埋める提灯、書、揺らぐ灯りの幽玄な世界に身を委ねる。外界のスカイツリーの偉容、にぎやかな観光客とのコントラストが激しい。 赤坂見附、一ツ木通りを横に入ったジャパニーズモダンの店。SUZUMO CHOCHINをお取り扱い頂くことになった。民家をリノベーションした、無造作に見えて、細部に並々ならぬ力を入れたインテリア。内側と外側のコントラストが心地好く響いて来る。内と外のコントラストの日。
Lad Musicianの2014-15秋冬コレクション。恵比寿ガーデンホール。Velvet Underground、Lou Reedへのオマージュ。黒田節健在。闇とストロボのランウェイ、明滅と爆発と静寂と。コレクション終了後、モデルたちも客もいない、煌めくミラーボールが回転する黒い空間に大音量のVelvet、Lou Reedの音と声とが満ちる。受け継がれる美学。昼間、ドイツの眼鏡ブランド、ic!berlinが参加する展示会。デザインが美しく、力強い未来を感じる。デザイナーであり代表のR氏、やんちゃなキャラクターがブランドに生かされている。美しいものを見ると思わず顔がほころんでしまう、そんな日。
早起きして運転免許証の更新手続き。アリスがエリザベスカラーをしてパラボラアンテナのよう。赤ちゃんの泣き声や子供たちの歓声がネコの声のように聞こえることがあるが、ネコにとってもそう聞こえるようだ。窓から外を見て探している。街路に並ぶ花水木の白が美しい。そろそろ色々な花の香り立つ頃。アトリエへのアプローチの砂利道につがいの鳩が遊びに来る。
食物の油と砂糖。
週が明けたら、電気屋さんに来ていただいて、アトリエの電気系統をチェックしようと思う。特にコンセント。建物に大分歴史があるので、漏電などを重点的に。アトリエ全体の配線は新しくしているはずなのだが、まだ手付かずの箇所があるようだ。建物全体の配線図がなく、昔から出入りの工務店も把握する材料がないと言う。戦後すぐの建物で、たびたび増改築を繰り返し、配電盤のブレーカーを切ったり入れたり一つ一つ確認するにしても、おおよそ見当のつかない場所同士で回路がつながっていて素人には訳が分からない。それこそ専門家の仕事。ぼくらしいと言えばあまりにもぼくらしい星のアトリエの状態。
BEAMS LIGHTS with MIC*ITAYA
2014 SS COLLECTION
MEN’S DOVE TIE
MATERIAL SILK 100%
COLOUR
NAVY x WHITE
DARK GRAY x GRAY
LIGHT BLUE x SAXE BLUE
WINE x RED
51-44-0021-901
PRICE ¥11,880
MADE IN JAPAN
仕事や遊びなどを続けて一息入れる。その「一息入れる」が苦手だ。人それぞれに色々な一息の入れかたがあると思うが、一息入れて休んでしまうと、気分が変わってそのまま復帰出来ずに終わってしまうことが多々ある。そもそも気分転換に一息入れるものでもあるのだが。「一息入れる」と言っても、出来るだけ行為や行動を絶やさずにつなげて、仕事や日常の生活を連続させる。絵を描く、デザインする、ミーティングする、外出する。それらをメリハリ付けて連続して進めるようにする。一息と言うよりも、何も気にせずに休む時にきっちり休むのが良い。
背景の赤い音楽の女神©2014 MIC*ITAYA POWER OF BEAUTY
風の香る季節となって参りました。パワー・オブ・ビューティからのお知らせです。東京白金のレストランバーCoolie’s Creekで開催中の展覧会、ミック・イタヤ「天使アラカルト」は大好評につき、新作を加えた展示の入れ換えを行い、5月10日土曜日まで会期が再度延長となりました。お茶やお酒、お食事がてら、ぜひお立ち寄りください。なお、5月4、5、6日は休業日となります。
108-0072 東京都港区白金1-2-6
INFORMATION 03-6459-3313
MON-FRI LUNCH 11:30-15:30 / 14:30 L.O.
DINNER 18:00-23:00 / FOOD L.O. SAT
LUNCH 12:00-16:00 / 15:30 L.O.
SAT DINNER 17:30-23:00 / FOOD L.O.
23:30 / DRINK L.O.
24:00 / CLOSE
CLOSED on SUNDAY ADMISSION FREE
http://cooliescreek.jugem.jp/
打ち合わせで原宿へ。アウトドア用品の店に立ち寄りテントを探す。一人か二人用の小さくて組み立てが簡単なもの。相応しいと思うものに出会わず。渋谷ヒカリエ、BEAMS LIGHTSのショップに。ダブネクタイが入荷した。鳩柄のピースなネクタイ、4つのカラーバリエーション、それぞれの発色が良いとショップスタッフ。春夏仕様12ポケッツジャケットとボトムスも出揃う。ウィメンズも揃う。東急本店で買い物。時々休んで一息入れるのがどうも苦手、連続して動いたほうが草臥れない。
福助社と、坂本龍一氏の主宰するmoreTreesの記念チャリティー企画で、ミック・イタヤが3種類の紳士靴下をデザインしました。ソリマチアキラ氏、アサクラコウヘイ氏と共に、それぞれが趣向を凝らしたデザインとアブローチで参加しています。少し大きめかも知れませんが女性の方々もぜひお試しください。
価格:¥ 2,160
売上の一部はmoreTreesの植樹活動などに寄付されます。
しばらく振りに訪れた街の、とは言え1ヶ月程の間だと思うが、この街の近くに住んでいた頃、季節ごとに度々旬の果物を買い求めた駅前の店に寄って、そろそろ大好物の枇杷が並んでいるかどうか見てみようと回り道する。通りから遠目にシャッターが降りているのが見えて、なんだ、休みか、と少しがっかりする。果物屋の向かいの店でパンを買おうと歩いて行くとシャッターに小さな貼り紙。「みなさん67年余りありがとうございました。店主」とある。そのまま通り過ぎることが出来ずに立ち止まる。この街の唯一の果物屋。おじいさん3人で店に立ち、接客の愛想がいいような悪いような距離感の、しかし果物に対する愛情なのだろう、「あんた、そんな風に持ったらキズがついちゃうよ!」。緊張感がほんのりと漂う、たまに怒ったようなぶっきらぼうな接客具合が好きだった。どうしても枇杷が欲しくなり近在のスーパーを探して枇杷を買った。果物屋さん、ありがとう。感謝あるのみ。初物をいつもの店で手に入れることは叶わなかったが、今年も枇杷いただきます。
言ノ葉の灯
文芸提灯展2014 in 東京スカイツリータウン
2014年4月18日金曜日ー4月20日日曜日
東京スカイツリータウン
東京ソラマチ5階
スペース634
午前10時ー午後5時
入場無料
企画・運営 株式会社六曜社
火袋に俳句や短歌が書かれた、ミック・イタヤ デザインのSUZUMO CHOCHIN SWINGシリーズ256張が展覧されます。言葉と書と灯が美しい展覧会です。ぜひご覧ください。
ここのところの春の陽気とは裏腹に、意識は内側に染み込むように、新しい均衡を探して落ち着きたがっている。塞いだり、引きこもったりということではなく、内部では暗示のいくつかが示している答えに、さらに研鑽を積み、準備を整えて大人しくしようとしている。走りたがる馬を、どう乗りこなすか。腐っても鯛、とは言うけれど、腐った鯛は食べたくない。しかし、腐りかけが美味しい場合もある。鯛の腐りかけはどうだったか知らないが、鯛の粕漬けのような心持ち。
お釈迦様の誕生日。近所のお寺で手を合わせる。見事な垂れ桜。
自然と人との関わりについて考えることの多いこの頃。身体が全ての答えを持っているのだろう。体内の宇宙に旅して感じ取ることや、身の回りの小さな一つ一つを知ること。内も外も一つの宇宙。存在する全てがつながっている。
花冷え。空気や水や大地が人の体を作っている。自然に呼応して身体は機能している。そう言えば、もっと若い頃には早飯、大食いが普通だった。兄弟や仲間の多い犬のように競争相手がいるのならまだしも、芸のうちということで無闇に競っていた。忙しいのでゆっくりと食事する時間が惜しい。丸呑み。最近はゆっくりとよく噛んで食べる。色や形や味や香り、どこから来てどこへ行くのか確かめながら。そういう付き合いにかなう食物をいただく。
人の肌に触れるものの大切さ。例え万人にとって好ましからざるものであっても、その人の好みであればそれなりに必要なものではある。皆に好ましいものであれば言うに及ばないが。問題は、好きや嫌いの意識にのぼらないものだ。肌に触れるものに無頓着であればあるだけ潜在的な影響力は大きいかなと思う。ある日、身構える間もなく不意にパンチをくらったように、あるいはボディブローのように、不要不純なものの蓄積が許容量を超えてアレルギー反応を起こすようなことがある。分かりやすい反応があればよいが、より分かりにくく複雑にもなっているのか。人間が人工的に作ったものがあらゆる分野でどんどん増え続けて、どんなにか自然や自然の生み出すものが大切に思える。人は自分の作り出したものに、きちんと始末をつけなければならない。
今日はじっとしていたい。
Coolie’s Creekでの展覧会が会期延長となり、再度一部の作品を入れ換えようかと思う。ランチに訪れるお客様方は、なかなか三階のフロアまで行くことはないだろうと思うので、三階の小品を一階に展示し、一階の作品は思い切って下げることにしよう。移動が大変な、大きい作品だけ残した三階の空いた壁には新作を入れる。作品を皆に見ていただける機会が増えるのは嬉しい。
人と人をつなぐものって何だろう。いろんなものがあるな。好きになるってすてきだな。愛することとはまた違う何か。いつも友情を感じて生きて行きたい。
桜で賑わう上野、東京都美術館へ。国際書法芸術展を見る。中国の先生方の書の中には、到底書き表すことの困難を感じさせるもののいくつかがある。自由闊達な書の対極にあると思えるそれらは、丁寧な筆致で紙の上を規則的に埋めている。何千文字を乱れず最初から最後まで。墨筆を誤ることは許さないことを思うと、驚くべき体力と集中力だ。精神の強さが柔らかな美しさでそこにある。大陸の人々の歴史を思い知らずにはいられない。あわせて、上野公園の人混みと静な書との対峙、桜花と水墨の、自然と人為の対比を見るおもい。
桜のある所を選んで歩く。微かな香りに春は狂おしい。
昨夜から降り続いた雨が3時過ぎに上がって、少し青空が覗いた。こんな春の雨は草木にとっても有難いのだろうと感じる。暖かさで驚くほど桜が開いた。人の心も寒い冬の間より、暖かくなる季節になると開くのだと思う。四季と四季折々の景色や食物、この大地に感謝する。開いた心や身体に染み込んでゆく新しい季節。夜になって俄か雨と雷。夜空を瞬かせる電光に、より一層の清浄感が生まれる。
突然のように桜が咲いて、桜の木の下のベンチには思い思いに人々が憩い、晴れた日の慎ましやか克つ尊大な喜びを甘受している。足元の鳩たちを尻目にとりとめもなくおしゃべりをしたり、ぬるんだ飲物で渇いた喉を潤したり、バンを改造した車で来るパン屋さんのパンにぱくついたり、スナックを食べたり、スナップ写真を撮ったり撮られたり、ノートパソコンを開き、眉間に皺を寄せてノーと打ったりイエスと打ったり。そんな人もどんな人も、隅々を麗らかな風が優しく吹き抜けて、季節のしるしを運び、人々を始まりの季節のただ中へと運んで行く。もしも、自分に約束をしたことや果たせぬ夢があるのだとしたら、どんな時も急がずにただ笑顔で見守るのも大事だと気付かせてくれる。自然は僕たちがどこでどんな気持ちでいたとしても、止まらず動いている。
だいぶ暖かい一日。明日は今日よりも暖かくなるとお蕎麦屋の若女将さん。昼食後ゆったりと散歩する。途中見かける人々の装いは、油断してはいけないよ、という風情。まだまだ春らしい服装でない人が多く、ぼくもそのうちの一人。寒い思いをするのなら、一枚余計に羽織って、暑いと思えば脱いで歩こう。
K男爵がCoolie’sに展示中の「天使の羽」の絵を衝撃的に好きだと言う。美を分かち合える友として心から嬉しい。誉められると木のてっぺんにも登るような心持ちになるので自戒。
車に絵を積んで運び、倉庫に仕舞う。絵や作品を納める倉庫には、未整理の作品も多い。一度梱包を解いて、状態を確認すること。楽しみな作業ではあるが、梱包が解かれて久し振りに見る作品には、思い出すことばかりが多いので、自分でしない方が良い。過去との対面は他の誰かに。
赤い女神四連作の最後の一枚、「絵画の女神」を描く。次は「神話の装飾」八連作に取りかかる。
仔馬と戯れる若き軍神マルス©2012 MIC*ITAYA POWER OF BEAUTY
桜の花も見頃となりました。ミック・イタヤからのお知らせです。東京白金のレストランバーCoolie’s Creekで開催中の展覧会「天使アラカルト」は、大好評につき4月26日土曜日まで会期延長となりました。お食事がてら、ぜひお立ち寄りください。
108-0072 東京都港区白金1-2-6
INFORMATION 03-6459-3313
Coolie’s Creekで夕食。昼間は星のアトリエで皆が誕生日を祝ってくれた。2日遅れのパーティはあたたかい時間。大阪から、タルトメッセのマダムヨシエさんが展覧会を見に来てくださって、一緒にCoolie’sへ行く。星のアトリエの皆とお腹一杯いただく。マダムが人を呼ぶのか、美味しいので当たり前に月曜日も満席。夜も更けお客様方が引けた頃、3階の絵の前で記念の写真を撮る。マダムはキュートな妖精のよう。展覧している静かな絵が、急に生き生きと動き出すような夜。
音楽の女神の絵を描く。昨日に引き続いて赤い女神四連作の一枚。散歩していたら乗馬用具の店を見付けた。もう少しきちんとした身なりの時に入ってみよう。
収穫の女神の絵を描く。絵具が乾くまで散歩。絵を描き上げて2匹のネコと遊ぶ。穏やかな春の一日。
春分の日。海に行く。富士山が正面に見える。思わず拝む。夜になり風が強く冷たい。
素敵なものに出会った時に、どうして素敵なんだろうと思う。その「どうして」が曲者。「なぜ」や「どうして」は素敵なものをつまらなくしてしまう。分析しだすと堅苦しくなって広がらない。それよりも、どんなところが素敵か、気付いたことを手がかりに、想像力を働かせると自分の世界が広がる。花はどうして美しいのだろう、よりも、花の美しさから想像出来ることを大切にする。
アリスが鳩を見付けて凝視している。窓の外の木の枝にとまって毛繕いをしている。アリス、鳩は平和のお使いなのだから仲良くしてね。語りかけるがじっと鳩を見たまま全身が矢印になっている。アリス、鳩は君の遊び相手だよ、優しくしてね。鳩とアリスが仲良く遊ぶ姿を見たとしたら、それこそ愛と平和に満ちた光景だろうな。もしも窓の外で出会ったなら、食いついたりしてはいけないよ。愛と平和を表す鳩とアリスの窓越しの出会い。人の感受性は勝手な物語を生む。
春一番の風が吹いた。お昼から原宿でミーティング。自転車で汗ばむ感じ。都心では23℃になったとか。キラー通り、Tambourin Galleryで伊藤桂司氏と佐藤直樹氏の展覧会”反展”を見る。黒板に白墨、壁紙に木炭。お二人の在廊時間が長く、日々刻々と展覧作品が変化するという。展覧スペース奥には佐藤氏の仕事部屋が用意されて、そこで締切をこなしているのだと笑いながら。青山骨董通りの裏手、CoSTUME NATIONALのギャラリーでは花代さんの写真展。きれいなギャラリーで、独特なリズムを持つエキセントリックな日常的白黒の写真展。
大好きな人の笑顔のようにハートを射抜く。
子供の天使を2枚描く。昨日描いた1枚を加筆修正する。月曜日は全開にならない。ゆったりと仕事して少しずつ圧力をかける。予定していたことが全て出来たわけではないが、充足する。出来なかったことよりも、出来たことが素晴らしい。明日につながる。
星のアトリエの小さな庭の紅白の梅は、紅梅は満開を過ぎて、白梅が盛り。何とも言えず甘美な芳香を微かに放ち可憐だ。昨日、水戸の偕楽園では夜梅祭だったはずで、園内はもとより、鈴茂の提灯の灯された好文亭には、大勢の人々が訪れたであろう。行けずとも、想いは自由にめぐる。
銀座へ。週末の銀座は昼食を摂るのもお茶を飲むのも大変だ。落ち着ける場所を見付けるために、よく歩いてリフレッシュする。思考回路も組み直し、感受のアンテナも整える。
Coolie’sで昼食。旧知の女性誌編集長と。帰路、代官山のギャラリーALへ。大友克洋さんのポスター展。頭脳も肉体も圧倒的に強靭。夜、雪之丞さんのパーティー。言葉の力、詩の力、人の力、愛の力、感じる。
福生時代、横田基地に駐屯していたアメリカの兵隊と沖縄出身のバーテンダー、それに中学高校と同級だった友達と組んでいた4人組のバンド、Eastern Blue。日常生活の中でめったに思い出すこともないのだが、ラジオから不意に流れて来た、当時バンドでコピーして演奏したレパートリーに、グイッと肩の辺りを掴まれてタイムマシンに引きずり込まれる。リック・デリンジャーの”ロックンロールフーチークー”、奏ったっけな。あの頃は、自分がどこに向かっているのかも知らず、確かめもせず、目の前にある夢だけ追いかけて、何の計画も計算もなく、闇雲に恐る恐る信じたのはそんな自分自身、それが美に通じる道の全てだった。今もこれからも。成長すべきは何処。
雑誌なども楽々入るように作った大きなポストの下に取り付けた表札兼看板が、長年の風雪に耐えかねたか、4ヶ所で止めた上部の2ヶ所が取れて外れた。落下はしなかったがぶらりとぶら下がった。取り外して付け直す。裏側を見ると、製作の日付が書いてある。8年前。季節の移り行くはざまの出来事。新しい看板を作ろう。
東日本大震災から3年。自分の出来ることを少しずつ積み重ねて行く。
夕方、打ち合わせのために自転車で走ったけれど大分風も冷たく寒い。春はいつも近くまで来て足踏みする。意地悪ではなくて、照れ臭いのだ。みんなが待ち望んでいたのだから颯爽と現れればよいのだが、優しいので気後れがするのだろう。冬にも申し訳なく思っているに違いない。あまり堂々とした春は、春らしくないから、ちょっと謙虚なのがいい。
何の気なしに、ふと耳にした言葉に、「魂が浄化される音楽」という言葉があった。見るものや聞くものに浄化を求め、見出だしたいと願う。魂に浄化が必要。
陽を浴びながら太陽の匂いを嗅いでいる。原始の時代から変わらない匂い。懐かしい未来の匂い。
気分転換に海へ行く。浜辺で毛布にくるまり太陽を浴びる。ほんの30分か1時間、気持ちが明るくなる。帰り道、第3京浜から見る東京上空は、薄黒い灰色に霞んで、明るい部分が淡いオレンジ色になった雲に覆われ、その下では、はぐれたような微細な白い雪が、さ迷うように降りて来る。東京よ、頭上に戴いた雲は今のあなたのお気持ちか。