
月あかり会。鎌倉長谷別邸にて昼12時から。日中は、長谷寺への参道沿いにあるので、興味を惹かれた人がふらりと入って来る。すずも提灯と絵の展覧、今日一日だけ。芝生と盆栽の庭に置いた提灯のあかりが、日が暮れるにしたがって陽の光と入れ代わり、月あかりの女神のような神々しさを地上で受け止める。デザインしたたくさんの提灯を屋外で見る機会はほとんど初めて。申し込みのあった30名余りの方々と夕食会。人々の提灯との交わり、関わりを見ながら感じながら、今更ながらにすずも提灯の新たな可能性に気付く月夜。

故郷を共にする年下の旧友と昼食。フランスの自然食レストラン。近況や来年一緒にすることの考えなど話す。表参道へ。来週開催のデザインフェアDESIGNART、すずも提灯でお世話になるアクセサリーブランド、AURORA GRANを訪ね、イメージ写真撮影に使用したすずも提灯を受け取る。明日は鎌倉。天気は雨の予報。雨ならば雨の楽しみ。

巨大な月が低い家並みと立木の間に平たく丸く神様の冗談のようにポッカリ浮かんでいる。次に月を探して空を見上げると高層の鱗雲の向こう、古の貴人の詠んだ歌もかくやという風情で高みに輝きながら、地上の遥か彼方を見つめる月がある。仲秋の名月。

展示会を見に有楽町、交通会館へ出掛ける。お昼時だったので地下食堂街は賑やかだ。馴染みの店があったのだが、無くなっていた。近頃では、そんなことがあっても驚きもがっかりもしない自分が居て、そのことに驚く。

母校、茨中茨高PTAの研修旅行に招かれ、ホテルニューオータニの昼食会で話。チャペルで記念撮影後、観光バスに同乗し、東京スカイツリーソラマチの壁画作品見学会に参加引率。人の多いスペースなので駆け足。心配した混乱もなく、作品の解説をする。保護者や先生方から学ぶこと知ることの多い1日。

表参道へ。何年か振りでばったりとロベールに出会う。フランスから昨日来日したばかりという妙齢の女性二人をエスコート。知り合って20年は経つだろうか。原宿で開いた個展会場にフラりとやって来て、近くのカフェのギャルソンだと言った。間を置かず店を訪れると、果たして身のこなしも軽やかに、洗練された仕事振りに見とれた。パリでマネージメントの勉強をして来日、東京で料理店を開きたいと夢を語り、しばらくして浅草に店を開いたと連絡があり行ってみた。フランス人や旅行者で賑わい大繁盛し、新宿に店を移した頃から疎遠になっていたのだが、今は変わらず料理店のオーナーとして張り切っている様子。店の最新情報を待ち、旧交を暖めたい。

ウルトラセブン放送開始50年特別企画展「70 CREATORS’ SEVEN」
会場:池袋パルコ 本館7F パルコミュージアム
期間:2017年10月19日 木曜日-11月05日 日曜日
時間:10:00-21:00 ※入場は閉場の30分前まで/最終日は18:00閉場
入場料:一般500円/学生400円/小学生以下無料
ウルトラセブン、そしてエレキング、キングジョー、ガッツ星人、メトロン星人、ウインダム、ミクラス・・・『ウルトラセブン』の人気怪獣&宇宙人もアート作品に!
今年で放送50年を迎える、世代を超えて支持され続ける円谷プロダクションの特撮番組「ウルトラセブン」の展覧会が開催されます。70人の人気クリエイターとタッグを組み、自分たちのセブンへの思いを、平面・立体・映像など多様なオマージュ作品で表現。エンタテインメントとアートを融合して過去・現在・未来を貫く本展覧会は、子供も大人も一緒になって憧れのヒーローの世界に浸れるグループ展です。

イタヤの作品のグッズや展覧会書籍も販売されておりますので、ぜひお越しください。
詳しくは http://www.parco-art.com/web/museum/exhibition.php?id=1156&preview=on

太陽からの光線が気持ち良い。時間の進みかたが早くなった。毎日することが増えると相対的に早くなる。
MUMIC第9回。セルジュ・ゲンズブール。寸止めの絵。当初の画想では一筆描きの線を入れる予定だったが、さっと色を入れてみるとあまりにも完成形なので筆の進退極まる。2日間放っておいたが、考えて何か理解るものではないし、理解らないのなら線を描き入れるのはやめた。もう1枚、線を入れたものを描いてみたい。

The Wisely Brothersライブ。チャーミングなバンド。そこはかとない品の良さが財産のうちのひとつ。懐かしく新しい。

土産に笠間の栗をいただく。大きく丸々としてピカピカだ。栗が言うには、絵心、才能、ああしろこうしろでは伸びない。寄り添うように後ろから見守る。裸の王様、ドン・キホーテ、2つの物語は幻を相手に生きることの滑稽。しかし、幻想の中にこそ空蝉はある。2つの物語は栗と同じように大好きだ。好きなのは実のある物語であって、いがや殻は好んでは食べない。

ゲンズブールの肖像画を描いている。色の面で構成し、荒っぽく、出来るだけ単純に塗っている。絵具が重力によって垂れ流れ落ちるが、それこそ絵の固有な意志で必要な成行。ゲンズブールの個性を極めて端的に表す色と、線でありながら線のようには見えない面の構成。抽象に向かう少し手前。

仕事テーブルの上で、ネコ用の草を与える。顔を横向きにして、それぞれ奥歯でハウハウと小さな声を上げながら噛む。胃の中に溜まった毛玉などを吐き出させる効能。ネコは2匹とも草が大好きだ。眼を細めて見ていると、アリスがテーブルの角に座って、いきなり吐いた。マーライオンのように。
ミック・イタヤの灯り/すずも提灯+オーロラグランの新作ジュエリー
2017年10月16日 月曜日〜10月22日日曜日
AURORA GRAN 表参道 SHOP
OPEN 平日13:00-20:00/土・日・祝日11:00-20:00まで
http://designart.jp/exhibitor/suzumo-chochin-micitaya-at-aurora-gran-omotesando-shop/
★ミック・イタヤ来店イベント
10月20日 金曜日 17:00-20:00
AURORA GRANにて商品をお求めいただいた方に、その場でミック・イタヤがカードに絵を描いて差し上げます。

AURORA GRAN 表参道 SHOP
東京都渋谷区神宮前4-25-10
TEL 03-6432-9761
www.auroragran.com

久し振りに東京スカイツリー、ソラマチに行く。壁画や鉄のオブジェは変わりなく、以前より馴染んで見える。月曜日の3時頃だが、たくさんの人で賑わっている。壁画を描いた頃の日々が思い出され、どのような作品の中にも、自分の空気や時間が描き込まれているものだなと、些細な痕跡を確認しながら、日記のページをめくるように歩く。

準備、週が明けたら描く絵のために。眼鏡店で検眼。予約を取り、たっぷり1時間。昔からストックしているという古いフレームを見せてもらう。主に70年代のディオールやニナリッチなどのデッドストック。興味深いがデリケートすぎる。

久し振りの完全休養日。でもやはりスケッチや色彩計画などちょこちょこしてしまう。仕事と休みの差が無いのは、仕事と趣味の境目が無いのと同じなのだろう。趣味は何かと尋ねられると本当に答えに窮する。仕事と趣味、生活や人生が一体化している。しかし、それにしてもよく眠ったしネコたちと昼寝もした。

下北沢440でOBANDOSライブ。共演「パンチの効いたブルース」。約1年振りのステージ。楽しく演奏出来たし、良い時間だった。ドラムのグレースさんの誕生祝いにアンコールでの”勝手にしやがれ”みんなの熱唱、歌は下手なので後ろの方にひっそりしていたが、OBANDOSメンバーは芸達者が揃って素晴らしい。リハーサルと本番の合間に用意した全員分のソフト帽、”勝手にしやがれ”の歌終わりで客席に投げ込んだが、終演後全てきちんと戻って来たのが素直で面白かった。会場でそのまま打ち上げ。ゆっくり残って余韻を分かち合いたい気持ちを残しながら、ぐっとお眠になったのでシンデレラの時間前に帰還。

「おかまほられちゃてさぁ」と急におかみさんが言うものだから、一瞬一体自分がどこに居るのだか判らなくなった。田舎道を都内に戻る途中、車の左前のウインカーランプが切れて飛び込んだ自動車修理工場。夜だったのでどうかなと思ったが、犬の散歩から帰った若旦那が、快くてきぱきと交換してくれた。待つ間の世間話に、夜分に申し訳ありませんと言うと、工場の若い衆が、レッカーで事故に合った車を引き受けに出掛けているので、夜とは言え仕事中なのだという状況の説明をしてくれた訳だが、おかみさんのおっとりとした佇まいからは想像も、脈絡もない急な発言と予想も出来ない言葉だったのだ。誰がいつ、どんな時にどんな言葉を使うものか、面白い。

かなり小さな子供の時から、デパートなど、人の出入りや通りの多いところで行き交う人々を見ているのが好きだ。顔付きや体付き、歩き方や動作、仕草、持ち物や着ている物、履き物、場合によっては話し方や声、自分に必要な何かを探して発見し、流すべき所は流し、記憶する。記憶は覚えるということではなく、思い出すこと。空気や匂いや人から醸し出される未来の懐かしさ。絵には品格が重要で、充たさないものは見ない。絵は自分を通したイメージとして描く。宇宙の全てがそこにある。

能楽。地謡和声の素晴らしさ、紋付き袴での舞い。能楽鑑賞講座「楊貴妃」を楽しむ会。鳥は遠くの人に想いを託すものという。正に一時、時空を超え馳せる想いに全てを委ねた。

BIG SACK千秋楽。太田画伯、四方御大のイベント賑わう。会場の仕切りや運びに一日の長あり、今更ながら勉強になる。また来年の秋頃にという話になり嬉しい。少しでも皆の役に立てれば更に嬉しい。

台風の影響もあり一日雨にもかかわらず、多くの人が来てくれて嬉しいBIG SACKイベント、真舘嘉浩氏の会。帰路、車窓から眺めた新宿、原宿辺り、多くの人で賑わっている。歩道を歩く人、交差点で信号待ちをする人、ほとんど全てと言っていい数の人が透明のビニール傘をさして歩き、立ち止まっている。その様子はまるで、波打ち際のクラゲの群れのように路上に打ち上げ寄せられて、コンクリートで固められた都市の砂上の、ある種の無機質な美を漂わせてもいる。日本人が居るのだろうが、大部分は旅行者のように見える。雨の観光で、高価で邪魔になるカラフルな傘をさす理由は希薄だ。透明なクラゲのビニール傘は、どこかに置き忘れられたように棄てられるのか、あるいは、故郷への土産になることがあるのだろうか。

三連休初日台風来襲前夜。新宿へ。BIG SACK EVENTエドツワキ氏。終了後2人でコーヒー屋へ。2人きりで長い時間話をすることもなかった。モデルやモチーフ、旅のこと、作品製作の動機など。この調子だとつらつらと一日中話は尽きないだろうと思う。

そう言えば、大分以前は夜毎クラブに出入りして、毎日昼過ぎに起きて仕事をし、アトリエは不夜城と言われ、完全夜型の人と生活だったので、本当に太陽の光が眩しくて、真っ黒いサングラスは必需品だった。自分はドラキュラなのではないかと思うほど太陽に焼かれて粉微塵。若い女の血をすすり、ニンニクや十字架にやられていたかどうかは別にして、昼間会うと、夜クラブで見かけた男とは別人のようだと言われた。確かに別の人だったかも知れないが、夜の薄暗い灯りと太陽の下とでは、悪魔と天使ほどの違いを見ただろう。今では夜の12時を過ぎたらとっくに寝んねの時間だと言うのに。我ながら、人は変われば変わるものだ。

久し振りに仕事にならない日。気持ちの集中が困難。そんな日もあるが、それでもスケッチする。アイデアは、仕事にならないとか、集中出来ないとかに関係なく不意に訪れる。いつも待っている。迎えに行くこともしばしば。

宇宙はひとつ。感じることの全ては宇宙。五感も第六感も生も死も。無さえも。限りはなく、限りがあるとすれば人が作り出したもの。限りない永遠を生き、永遠を限りあるものにする人。

全体が見渡せる場所が好きだ。いつでも自然にそんな位置を選んでいる。劇場では天井桟敷、コンサートホールの一番上の最後列、シューズボックススタイルのクラブなどの最後部の角など、全て一番後ろだ。バスも最後列が好みで、景色も含めて全体で何が起きているのかいないのか見ていたいし、常に全体が気になる。演技者や演奏者、音響など、見えにくい、聴こえにくいは関係ない。自分の視界の中に、全体を入れて感じたい要求がある。表現する人とその結果を大きく感じたい。

人が面白いし好きだから仕事をしたいし続けたいと思う。上手く行くこともあればしくじることもある。誇らしいこと、恥ずかしいこと、怒ったり笑ったり、愛想がつきたり、憎めないなと思ったり。この男が僕の前に現れなければ今の僕はない。9月10日、式田純。死す。

BIG SACKイベント、那須慶子さんの日。早速那須さんの来場を待っていたとおっしゃる、ヤッコさんこと高橋靖子さんがいらして、那須さんのChanges!と書いたDavid BowieバージョンのBIG SACKを手に取る。ふらりとやって来た四方さんが、Donovanが使っていたGibsonのアコースティックモデル、サンバーストをギターケースから出して弾き始める。場が一瞬輝きを増す。以前、僕の仕事を手伝ってくれていた上條くんとの立ち話や、水戸から雅な小佐畑さんも訪れて、BEAMS JAPANの4階で、紅一点の那須さんと、この上なく良い時間を過ごした。

クリスとは久し振り。BIG SACKへのメッセージ依頼を快く引き受けてくれて嬉しい。会場で2時間余りを一緒に過ごしたが、話していると、初めて会った時と変わらない志を持った北欧のナイスガイ。ふたまわり年下なのだが教えられることは多い。ありがとう。

朝から水戸へ。郷土の歴史や文化の今昔に思いを馳せる。


SUZUMO CHOCHIN EVENT「月あかり会」
日時:2017年10月7日 土曜日 12:00〜19:30
場所:長谷別邸/鎌倉邸宅
★17:00より提灯のあかりと秋の味覚を楽しむ食事会も開催いたします。
事前予約、先着40名様となりますのでお早めにお問い合わせください。
会費:5000円
締切:9月30日 土曜日
申込先:有限会社ジンギーザップエンタープライズ
TEL 03-5447-1210/090-3507-9487
MAIL sasaki@zingyzap.com

長谷別邸(Hase-bettei)
神奈川県鎌倉市長谷3-9-2
江ノ島電鉄「長谷駅」より徒歩6分
JR「鎌倉駅」よりタクシー5分

太陽の表面で大爆発。とんでもないフレアー。影響大。

しとしと雨。虫の声もしっとりとして聞こえる。星のアトリエで若い女性3人組のバンドメンバーを迎えてのワークショップ。3人のキャラクターが似て非なる際立ちかたをしている。3人を合わせるとどんな人になるだろうかとワークショップの手を動かしながら話題になるが、人かなと言って笑いあう。確かに可愛いモンスターが思い浮かぶ。

MUMIC/ミューミック第9回
New Rock Smell Bar
154-0011東京都世田谷区上馬1-32-3
03-3795-1055
smell-bar.com

自転車であちらこちら、打ち合わせに動く一日。一日の終わりの日記を書く時間に、いつも一日を振り返る。どんな一日だったか、言葉にするのが簡単な日と困難な日とある。今日は一言で表現すると、新しい世界にダイブする日。ただし、ダイブはしたけれど芸術点が高くない。派手な水しぶきをあげて失笑をかうような。次につながり期待はあるが。そう言えば、水泳は苦手だ。

途切れ途切れに絵を描く訓練のような日。絵を描いてミーティングに出掛け、帰って来て描き、昼の食事をとり、描き続けていると来客がありミーティングし、別の絵を描き上げ、元の絵の前に戻り描き、もう1つミーティングをしてまた描き続け、夜になり雨が降り出した頃描き上げた。考えてみたら、毎日こんな感じ。絵を描く時間は大体決めているが、デザインの作業など直ぐに判断が必要な場合も多い。切り替えと切り替えのスピードに抵抗があると仕事は面白くはならない。

BIG SACK展イベント2日目、ロンちゃんこと伊藤桂司氏あらわる。変わらずのスペーシーテイストにワクワク。見守る役を務める。会場には暖かい時間が流れる。普段なかなか一緒に居ることはないので貴重な2時間。ロンちゃんが、来たお客に今回のキュレーターと紹介してくれるのを聞いて、あっ、そうかキュレーター役かと初めて意識する。

BIG SACKイベント。2時間はあっという間。その場で描いたバッグの絵と文字を乾かすためにドライヤーを持って行ったが、プロデューサー永井氏が段ボール箱に穴を開け、ドライヤーの先を突っ込んで使う乾燥箱をさっと作ってくれて大いに助かり楽しかった。工夫やアイデアが活きる現場は、懐かしい気分も呼び起こし仕事の乗りに拍車がかかる。太田さん四方さんのGGコンビも応援に駆け付けてくださり、心強いことこの上なし。最終日には僕にも、本日お二方着用の、胸に年齢を描いたお揃いのティシャツを用意してくださると言う。仲間に入れてくださろうという魂胆かと思われるが、ありがたいやら何やら。謹んで、、

BIG SACK展初日。夕方近くになってしまったが顔を出す。そそとして良い感じ。物干しにディスプレイしたのは、アートランドリーバッグとしてシンプルに正しい。

午後、うつらうつらしていると、隣人の話す声が聞こえて来る。何を言っているのかよく聞こえないので夢うつつでいたが、段々声が大きくなって、反対側の奥隣のご主人に怒っているらしい。どうやら時々放し飼いになっているその家の犬が、隣人の丹精込めた植木か何かをかじったかほじったか、奥隣のご主人が弁償するように言いますからと言うと、声を荒げて、犬なんだよ!犬!弁償なんて言っても犬をつないどけよ!と怒鳴っている。端で聞いている分には面白いのだが。気付くと廊下のガラスに何か当たる音がする。多分蜂だろうなと思い見に行くと、大きな雀蜂がガラスにへばり付いて格闘の様子。そっとガラス戸を開けるとさっと飛び去った。悠々とした姿。星のアトリエの鉄門に小さな黄色い蝶が幻のように現れて、鍵を差し込んで門を開ける一瞬に消えた。そんなような日。

明日は夏休み最後の日。新学期の始業式で久し振りに会う級友たちの顔が眩しかったことを思い出す。アシスタントAが珍しくワンピースを着て来た。すてきだったので、いいね、と言うと洗濯が追い付かないと返事。誉められると照れ臭いのかな。今日も極端な集中豪雨。練馬では1時間に100ミリの雨が降ったという。深さ10センチになる水を広い地域に満遍なく撒くとなると。大きな池がひっくり返ったような話。

昼食が少し遅くなって、何ヵ月か振りに訪れたデリカテッセン、メニューは変わらずありがたい。しかし人が変わって顔見知りは一人もいない。人と人のつながりの大切さを感じて生きている身としては、また新しい気持ちでいただきますを言う。だいぶ以前から出版や音楽の会社、洋服やデザインの事務所など、会社自体や顔見知りの担当の行方が不明になる出来事が多く、寂しい気持ちがある。展覧会のおりには許す限りの案内状を出すが、行く先に訪ね当たらなく、戻る葉書が多数ある。SNSなどのつながりが増え、今ではそちら主流なのだろうが、やはり切手の貼られた、手に取って感じることの出来る、郵便物の旅の匂いはいとおしい。

どのようであれいつも自分の持つすべてを精一杯表している

目黒雅敘園百段階段、和のあかり展。タイル張りの床がひんやりとしているが、詰めかけた多くの人々の熱気で、すずも提灯新作の風鈴提灯がリンリンと鳴るようだ。青山スパイラルでの美術展へ。日曜夜の人の引きは早い。

車に積んで置いたと思ったCDを入れた箱が無い。昨夜のうちに降ろしたかと考えたが、忘れて来たことに気が付いた。行動を思い返してみると、CDの箱を持ち駐車場の精算機前に行くが、駐車スペースの確認にCDの箱を持って行き、持って行ったのなら先に車に入れれば良いものを、車のドアの所に置いて精算機に戻り、精算して車止めの板が下がっているのを確認して、よし!と帰還した。それだけのこと。今日の夕方近くになって気が付き、100枚近くのCDは諦めた。駐車場の管理会社に電話して、CDの入った箱を置き忘れた旨を説明し、しばらくして電話連絡があり、保管してあると報告を受けた。良かった。忘れ物を取りに行く、SYD BARRETへの旅。

朝からMUMICのための絵を仕上げる。午後来客。夜Smell Barへ。ナギ、ケンボウとDJ、それぞれ好きな曲をかける。SYD BARRETのソロからPINK FLOYDのCRAZY DIAMONDまでで締めくくる。空気の暑苦しさとは裏腹に涼しい気持ちと友情。

美術館のカーペットの床に数人の少女たちが思い思いの絵の前に思い思いの格好で座り寝そべり模写している、作文している。夏休み。

桑原茂一氏と対談。主なテーマは、現在177号になるフリーペーパーDICTIONARYの創世記について。話してみると思いもよらない事実ばかりで、「ハァ!」とか「ヘェー!」という、発言とは言えないような反応に終始する。対談後、お互いが行き付けの蕎麦屋で夕食を共にするが、今まで不思議とその店で出会うこともなく、長い付き合いの中で、二人差し向かいでゆっくりと食事することなどは初めてかと共に驚きながら。