
青山ヘイデンブックスにて。溝口肇写真展トークイベント。3時のお茶とお菓子をいただきながら、溝口さんの写真について対談する。30分の予定が1時間を過ぎる。話題は尽きないところだが、終わらなければ皆困る。今更ながらに溝口さんの写真のスタンスについて、理解を深めるひとときになる。チェロとカメラの関係性が、相関性を持ちながら対極的である事実と理由について、実際に写真を見ながら話をすると、伝わるものの密度が高い。溝口氏の音楽に与えている影響力は計り知れない。あるいは写真に音楽が与えている影響。

神戸三宮ミントBEAMS LIGHTSへ。神戸では一年振りのBLM*ポップアップストアイベントの開催。まだまだ寒い日が続くが気分はすでに春夏。多くの来場者に簡単なスケッチのプレゼントをする。14時から19時まで、充実した楽しい時間を過ごし、日帰りする。いつも感謝。

星のアトリエの小さな庭の紅梅と白梅が咲き始めた。例年紅梅が早く白梅が続く。下を通ると微かな香りを感じて気持ちもほころぶ。花を愛でる心は正直だ。あるものがあるがままにある。

修理に出していた車が戻る。馴れない代車で遠出するのも楽しいものだが、やはり勝手知ったる自分の車がいい。

夕方一番、昨年末以来、約2カ月振りに行き付けの蕎麦屋へ。これだけ間を開けたこともない。ご主人が今日はミックさんはどうしているかな、と考えていたところでした。気持ちは通じるものですね、と仰る。蕎麦にしたいと思うところを、温かいうどんをいただいて暖まる。開けたばかりの店でご主人と二人、いかに忙しいかなど世間話する。お身体を大切にしてくださいよとの気遣い。食に携わるご主人ならではの言葉と話題に、とにかくあたたまった。いつもご馳走さま。

そっとハミングして歌うように春がやって来る。真冬並の寒さはもう春の証拠。まだ冷たい土の下は暖かい寝床。空をひとまたぎして春一番が来る。じたばたしようがのんびりしようが自然に芽が出る。

IBARAKI CRAFART展まで1ヶ月を切り拍車がかかる。ところで2月は短い。

一点透視の高速道路。彼方に鳩の群れ、青い空を背景に灰色の影になり東から西へ。さっと一斉に翻って向きを変え西から東へ。見事に群れ全体が陽の光を受け、真白に輝く。

フィギュアスケート男子、金銀に沸く。羽生選手も、宇野選手も凄い。久方振りに優雅を感じる競技、演技を見る。会場の空気の具体的な印象を想像する。

チューリップの絵を2枚描く。1枚はモノトーン、1枚はピンク。旧元日。春。祝。

4枚の絵を描く。CELLO、GUITAR、TULIP、TULIP PINK。春を奏でる音楽と春そのもの。TULIP PINKは星のアトリエで3週の間、見守り、我々を慰め励ました。絵にして残す。

どこに行ってもセンスのある人はいるものだ。センスとそれを生かし、表す気持ち、心意気。それらに触れると意気揚々となり、笑顔になる。今日は1日その連続だった。得難い有難い。

新しい絵のスケッチをする。新しいとは言え、ちょうど1年前に描いたスケッチをもとにして。絵は、現存している幼少期のクレヨン画と現在のものとではモチーフに対する愛情という意味で大差はない。問題意識や哲学が重要ではなく、好きか、愛するかのみがある。あるいは、それらを超越したかのような無心の意識がある。

気力と体力を自由にする。広い空間に漂うように浮遊感のみがある。右でも左でも上でも下でもなく、ゆっくりと回転する。漂い、どこかに辿り着くでもない。辿り着く漂い方ではない。入口があったとか出口を目指すとか、そういうことでもない。こだわりをなくし、心を無にして、引力や磁力に寄り添い、この宇宙の自然の力に委ねる。呼吸が必要なように。

今日も星のアトリエに籠りきり。するべきことに集中する。

1日チェリスト溝口肇写真集のデザイン、2冊分の作業。毎月1冊のペースで1年間、とうとう12冊揃う。溝口さんは被写体としても魅力的だが、写真家としても人並外れた才能を持っている。溝口肇写真集と言うが、溝口さんの撮った写真がほとんど全ての写真集なのだ。旅の好きな溝口さんは世界の各地にチェロとライカを抱いて出掛けて行く。「ひとり世界の車窓から」。

南北朝時代。幕末から明治維新。大日本史。今知りたいと思うことのいくつか。

2018年2月22日 木曜日ー3月4日 日曜日
ビームス ライツ 渋谷店 / 渋谷ヒカリエ4F
ビームス ライツ 神戸店 / 神戸市中央区雲井通7-1-1 ミント神戸4F
2018年2月22日木曜日ー3月4日日曜日の期間、ビームスライツ渋谷店、神戸店BLM*ミック・イタヤのポップアップストアがオープンいたします。イタヤ来店日にはお買上げ商品、またはハガキサイズのカードにその場で絵を描いてプレゼントし記念写真の撮影も承ります。この機会にぜひ足をお運びください。
★ミック・イタヤ来店イベント
2月24日 土曜日 14:00-19:00 ビームス ライツ 神戸店
3月3日 土曜日 14:00-19:00 ビームス ライツ 渋谷店
PRESENT
BEAMS LIGHTS with MIC*ITAYAの商品、MIC*ITAYAの作品をお買上げのお客様に、2018SSストーリーブックをプレゼントします。サインとエディションナンバー入り。先着順ですので無くなり次第終了します。

● MORE INFORMATION http://www.beams.co.jp/news/516/

●2月中旬入荷予定。 BEAMS ONLINEにて予約受付中。BEAMS ONLINEはこちらから



いつでもどこでも出来ること。気の集中。時間の長さは関係なく、一瞬でもよい。その積み重ねが想像も出来ない力になる。そして、力になっているとは意識しない、出来ない。そんな力になる。

なんだかんだ言っても、やはり日曜日は楽しみだ。そして、甘ったれなせいか、月曜日は少し憂鬱になる。気持ちや心、体力などの過剰な充実は、憂鬱や楽しみさえも吹き飛ばして突き進もうとする。金曜日も土曜日も日曜日も、祝日さえも。自分の気持ちや勢いを手中、懐、心の内に納めておくこと、本当に難しい。身近な人々は思わぬ嵐に遭遇する危険があり、実際に巻き込まれる。本当の優しさとは考えて身に付くことではない。立春に想うこと。

節分。人との出会いを大切にする。自分の事や成す事、成さぬ事をあれやこれやと言おうと、自分がしたいようにする。人のせいにしない。日々生きるなかで守る事。神も鬼も自分の内にいる。

時々必要な内側への旅。深く内向して、奥底にあるものを見ようとする、気付こうとする。美しいものと醜いものが絡み合ってゆらゆらと踊る。美しいものは儚く脆く、醜いものは図々しく強靭に感じられる。それらとじっくりと対峙していると、双方の様相が逆転して現れ始める。美しさは圧倒的に力強く、醜さはか弱く細く申し訳なさそうに。のんびりしている自分も、素晴らしい直感や、あるいは、ネガティブな感覚に対して、信じられないような速度で反応する。それでは主体も客体も自分も怪我をする。一呼吸、二呼吸、三呼吸置いて良い。必ず充足の時がある。

路上にて、水掛不動のような人に会う。さらに大日如来、菩薩、七福神のような人々を知る。

朝から結城方面へ。まだまだ道路がアイスバーンのようになった箇所も多く、油断ならない。一生懸命に仕事をしても、人の評価はままならない。正しいことの評価さえも、見たり感じたりする位置や間合いによって異なるものだ。

蒲田の木工工房でミーティング。こじんまりした空間に椅子などが並ぶ。木を扱う工房の空気は、僕の育った幼少期から少年期の環境を思い起こさせる。

代官山ティーンズ・クリエィティブでワークショップ。10人の子供たちと「太陽を絵にすると」というテーマで約2時間。それぞれの内なる太陽と、太陽に対する思いや考えが素直に出て来る。筆を両手に持って殴り描く子や、太陽の絵よりも、サインで入れた自分の名前の方が大きい子、太陽の暖かさを、きれいなグラデーションで表現する子、いろいろだ。描くことを通じて、意識せずとも太陽の恵みやありがたさを感じて表現している。

東上野、ギャラリー心へかな料紙、小室 久氏の個展に出掛ける。都内では初の開催。古民家を改築した艶やかな空間に、料紙の醸し出す平安時代の息吹、漂う空気を感じ、心洗われる。ご子息の太郎さんが初めて紙を染付け砂子を撒いて作り上げた料紙。祖母の手を借りて貼り合わせた料紙と教えられ、心動かされる。

青山でミーティング。ほんわりと希望に燃えた暖かい話をしたあと、外に出ると尋常ではない寒さ風の冷たさ。信号待ちで立ち止まるのを、こんなに辛いと思うこともないほど。

毎日、太陽が顔を出し、窓辺は暖かい。星のアトリエは古い建物で、広いのはよいのだが、芯から冷える。暖房システムは限界に近い。

愛情を持つ。短気が顔を出し、前がかりに急がないよう気を付けて。仕事は賜り物、明るく楽しく出来ることのみ謙虚に進める。

神経研ぎ清んだ今日のごとき日は、善きものと悪しきものの区別がつきやすい。

明日から明後日にかけて雪の予報。じっくり腰を据えてしっかり足を踏み締めて、力まずに歩く。絵は力んだ図。

数々のレコードアルバムを聴いて来たが、自分にとって決定的な影響力を持ったアルバムは何だろう。始めて買ったアルバム、フラワートラベリングバンドのサトリ、ボウィのアルバムの中ではロウ、ウォーホールとベルベットアンダーグラウンド、ロキシーミュージックは初期と後期では全く違う。Tレックス、ピンクフロイド、ただ好きなアルバムというだけではなく、節目節目にある強力なバックグラウンドミュージック。

仕事が立て込んで仕事が三つ巴。大車輪の器械体操。助手AはデザイナーAと呼ばれるのは好まないと言う。

展覧会の作品を選ぶ。果てしない。隣人が草刈をしている。こんにちは、と声をかける。「何だかまた背が高くなったんじゃねえの?」、「そうか!おれが縮んだのか!」お互いに笑い合う。愛すべき隣人。

パンとチーズが無性に食べたくて買いに出る。柔らかめの食パンに、たっぷりのカマンベール。満足。

感の働く人々。楽しい。楽しさに注意。気が付くと知らない所に居る自分。

アリスが僕の肩に飛び乗るのを覚えた。屈んで作業していると背中に乗ることはあったが、今日は立って描いたばかりの絵を選んでいると、背後のテーブルの上から、小さく短くニャと鳴きながら肩に飛んで来た。襟巻きにしちゃうぞ。

自分の役割を知ること。自分のための仕事ではなく、人のための仕事であること。

淡々と仕事を進める。前進することしか考えないあまりに、過ぎて行くことを放って置く癖がある。仕事にせよ日常の何にせよ、起承転結をつけなければ治まりが安定しないのは至極当然。後になってあれは何処にこれは何処へと時間がかかる。この悪癖を懲らしめる。今年の偉大なる目標の一つ。

先日、屈んだ拍子に出窓の縁に額をぶつけて星が飛ぶのを見た。擦り傷がやっと治ったところ。リラックスしていて注意力や距離感が曖昧になった。悠々とリラックスしている時に限り頭を打つことが多い。

茨城へ。友禅染の石山修さんと蕎麦屋で昼食。きしっとして美味い。1階が蕎麦屋で2階が旅館になっている。広く陽当たりの良い庭を、白黒のぶち猫が芝を踏み締めてゆっくりと横切って歩く。天井や硝子戸、柱などに比べて、床や間仕切りの引戸や鴨居などが新しく、眺め回してていると、石山さんが中居さんに、テーブルは全部新しくしたんだね、などと声をかけている。この店もこの前の洪水で水に浸かったんだよ、と言う。そう言われて見ると、柱や硝子戸、庭の石灯籠などに痕跡が有る。1.5メートル辺りから色が違う。今は板張りにしてあるが、水害以前は畳敷きで、襖を外せば舞台も有る大広間だったそうだ。燦々と降る太陽の光を浴びて、蕎麦を繰りながら目を上げると石山さんの頭の向こうに痕の残る柱が見える。店の再開はただならぬご苦労があっただろう。無心に蕎麦をいただく二人。

出張は車で行ける所は車で行く。運転が好きだ。出来れば1人がいい。好きなところを好きなように走りたい。車の運転が唯一の趣味かと思う。どんなに遅くなる場合でも、泊まらずに必ず東京に戻る。1日のリズム、1週間のリズム、1ヵ月のリズム、1年のリズム。それらは固有のリズムを持ち、動きを伴うメロディを持ち、独自の音楽を奏でている。車のスピードと自由は得難い。

桑原茂一氏とDICTIONARY、第180号のミーティング。FREE PAPER DICTIONARYは今年創刊30周年を迎える。記念の号で特集をという話。節目節目はいつもミックとは茂一さんの弁。そう言えば、ピテカンやクラブキング、革命舞踏会、大日本帝国劇場等々、一緒にした仕事や場面は数知れない。今目の前に、淡々と新たな伝説を生もうとする男が和菓子をすすめて微笑んでいる。