PICTURE DIARY 1806TH2020
氣持ちが内向すると、難しい顔付きになる。困った癖だ。考え事をしているとそうなる。人前では単に不愉快な顔に映るだけだから、考え事をする時は一人でと思う。
氣持ちが内向すると、難しい顔付きになる。困った癖だ。考え事をしているとそうなる。人前では単に不愉快な顔に映るだけだから、考え事をする時は一人でと思う。
久し振りに外で取材と打合せ。雑談で財布や手帳の話題になり、財布と手帳の一体型が主流と知る。現金の必要が減り、御守などもカード化している。見せてもらうと確かに薄い収まり。僕が財布を取り出すと、こんな嵩のある財布は久し振りに見た、と編集者。財布の小銭入れには氏神様の御守2つと星除の御守が入っている。おまけに小銭入れを別に持つ。御守のデジタル化は好まない。
絵にせよデザインにせよ直感に従い製作し、これで良いと定まるには、完成したと思うところから時間があるに越したことはない。のだが、時間があれば良いというものでもない。時間がしばしば迷いを生む。才能や力、センスは、結局のところ時間のあるなしとは関係がない。勘違いした時間が増え、無用な副産物を生むだけ。なのだが、副産物が無用と言えない場合も多い。そんな風に直感を信じて進む。
毎日の終わりに、今日一番すてきだったことを思う。今日は、仕事の合間に作った植木鉢を乗せる木製台座。ドリルで水抜の穴を開けたり、電動ドライバーでキャスターを取り付ける作業。木工は氣分を変える。
星のアトリエに不要な本を積み上げ、タワーになった一角がある。見ていて思い出した。80年代ロンドンのアートスクールの卒業制作展で、展示室いっぱいに積み上げた古書が、実物大の車の形状になった作品を見たとき、全く意表を突かれた。集積し、意外な意味を持たされた知性のオブジェクト。
土曜日。雨音を楽しみながら過ごす。土曜日は出来るだけ何もせずにと思うが、起伏が乏しく、減り張りに工夫が要る昨今の生活に、休養するにも根氣が要る。目下のところ、眠りの質を上げるのが目標。
いつも不満や疑いを持ち、怖れや怒り、悲しみを感じている人は多い。人々の喜びのための絵を描く。
“ミック*ぬりえ”は今回で終了します。毎回変わった塗り絵をお楽しみいただきありがとうございました。絵は野球に夢中だった少年時代のスタイルです。夢中に夢中。今も。皆さんの毎日が健やかでありますように。m*
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ミック・イタヤから”ぬりえ“をお届けいたします。
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朝からギクシャク。約束事が決まらない、描く絵の顔付きが氣に入らない、する事成す事まとまらない。暦を見ると不成就日。無理にまとめなくて良かった。あえて成し遂げない一日。梅雨入り宣言「梅雨入りしたとみられる」とは不成就日的な言い回しかと思う。
入る、溜める、出す。この三者が同じ場所なのは、便利なように思えるが良くない。役割はそれぞれ別なので分ける。流れが大事。
デヴィッド・ボウィ、マーク・ボラン、ロキシー・ミュージック、トーキング・ヘッズ等、美意識を携えたミュージシャンが好きだ。サウンドとビジュアルの関係などについて、ロックやデザイン、アートに興味を持ち始めたティーンエイジの頃から今まで、かたちを変えながら、入り組んだ両極の数々が表現の中心にある。それらをつなげて束にする。
夏に予定していた小さな展覧会を来年に延期する。生きる仕組について、独自性に富んだ楽しい計画を立てる。
経済至上主義から、美学の時代へ移行する。
元来父の実家の家業、材木商出入りの大工や鳶職の関係で、幼時から花札やチンチロリンには馴染みがあったが、トランプ遊びが流行った中学の休み時間に、初めてのポーカーで出した役がスペードのロイヤルフラッシュだった。2度とポーカーをする理由が無くなった。美大受験のために上京した先輩の下宿屋。初めて麻雀をした。先輩に教えてもらいながら、いきなりの役は名を忘れたが、先輩や仲間たちが驚き呆れる役だった。2度と麻雀をする理由が無くなった。ビギナーズラックのおかげで賭事からは縁遠い。
月末は時間が取れず、早いが、神社へ大祓の形代を納めに詣る。感染防止のため手水は使えず、空手水で浄める。参拝する人は多く、時勢を感じるが、神前のマスク姿は不思議に違和感が無い。
普通の日々が戻るまで、時間があるときの楽しみのために。
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絵の背景を金箔で仕上げ、部屋の薄暗がりで見ると、豊かな金色が逆光のように感じられ、谷崎潤一郎の世界だなと思う。紅葉でもあり、鏡花でもあり。
夢から帰還した朝、今日もよろしくと挨拶。たまごの殻を割るように体をほぐし、飲物と小さな丸パンか玄米粥をいただき仕事を始める。生れたてのひよこの気持ちで。
毎晩、眠りにつくとき、一日を感謝し、ふんわりとした宇宙船に乗り込む。行く先は任せる。宇宙船は限り無く柔らかいものだ。
誰が何をどう紹介するかで、そのものの本質まで違って感じる。説明や理屈はほどほどに、ファンの先頭に居ると自覚した立ち位置と目線、佇まいが心地好い。
家に居るというだけで人の役に立ち、人を助ける。スケジュール帳が白く、まぶしい。季節外れの新雪を踏み、未知のところへ歩み出している。
以前の世界には戻らない。ひとりひとりが新しいビジョンを持つ。この不思議な革命の、ファッションを超越したアイコンがマスクになろうとは思わなかったが、個や自我、未来をシンボライズするには的を射ている。
ブルーインパルス東京上空を飛ぶ。金属製の天使、誰が飛ばしたのだろう。
植物にとって植木鉢は乗物だ。人を頼み居心地の良い場所に移動する。どこがお好みかな。鉢植の希望に五感を傾ける。
普通の日々が戻るまで、時間があるときの楽しみのために。
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アート作品販売を6月8日から再開いたしました。
地球誕生以来、動植物や自然界の存在すべてが、いろいろな微生物やウィルスや菌と共に生きて来たことを思うと、人類はことさら謙虚に自然界にお邪魔しますかなと思うこのごろ。
愛があるか、ないか、はっきりわかる。
美しさ、美とは。人や自然、物、行為、人それぞれ。感じる美に際限はない。生きる上で、魂や心の美しさ以上のものはない。愛情を込めて紡ぎ出されるものは全て美しい。
サボテンの鉢替えをする。鉢から出すと根がいっぱい。古い土を落とし手入れして移す。新しい大きな鉢でのびのびと見える。植物の世話をすると何故だか氣が落ち付く。地球と共に生きている感覚。
父は学徒動員で召集され、少尉としてマレー半島に配置された。大戦について多く語らなかったが、上官が不出来だと、兵士たちが憐れだと言ったのを覚えている。上官の命令は絶対で、突撃と号令がかかれば、小銃一丁ででも戦車に向かって突撃する。上に立つべき者として、充分と思える人物は少ない。
サボテン鉢替えの準備をする。今が良い季節なので、素焼の一回り大きな鉢を用意。好天を狙い決行予定だが棘が立派で手強く、俄然氣合いが入る。
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井出靖のGRAND GALLERYで伊島薫と3人で対談する。写真は大御所、三浦憲治氏。80年代TRAの時代をテーマに、執筆中の井出靖自伝のために。一緒に仕事をした井出にとっても伊島、僕にとっても現在の礎になる重要な時期だった。話弾む。TRAの立役者、今この時勢、プロデューサー式田純の不在を惜しむ。
お宅とうちの土地はこの小路を挟んで全然違う、という立話の流れで、小路を挟んだ隣の表具師の大旦那に、古地図を見せてもらう。大正三年に区画整理した時のもので、小路を挟んで向こう側の表具屋は蓮田や養蚕地を整地し区画整理した新しい土地、こちら側は城下町のはずれの古くからの土地と記されていた。江戸時代中期の地図も見せていただいたが、表装したその地図は特に美しく、江戸文化の美意識が香り立つようだ。昔のことを知る人の話をよく聞き、今ここに居る意味を知る。
地味に色々な事柄が動き出す今日。操ることも、操られることもない、自然な流れの日々。
氣が付くと背中が丸く猫背になっている。意識して正すが基本的に猫背には違いない。猫好きで猫背というのはなんとなく納得だが、犬好きには猫背が似合わない感じがある。毎日色々なことが脳裡に浮かんでは消えるが、そのうちの些末な典型例のひとつ。
数年前、合氣道の道場に通い、人の持つ力の神秘、秘密に触れた。合氣とは愛なり。敵そのものを無くする絶対的自己完成の道なり、とは合氣道の精神。
渋谷のスクランブル交差点を車で通過。人は少なかった。思ったよりも多いという意見もあったが、今までの人の多さが異常に感じられる。バスも電車も高速道路も飛行機も満員以上の密度だったから。世界中で1年のうちの1ヶ月間を在宅月間と決めたらどうだろう。大変なときに寝惚けたことを云ってやがる、という話だろうか。
NEW MYTH、描き続けている「新しい神話」という作品シリーズがある。なかでもVENUSは、繰り返し同じ構図で描いてきたモチーフだが、また何枚か描こうと思う。今必要だと感じる。
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この数日、見る夢の質に量感がある。さらりと軽妙な展開も感覚も影を潜め、精緻なリアリズムで構築される。キャスティングは理解出来るとして、それにしても出て来る異様なセットや不思議な小道具類は、製作したり仕入れた記憶は無いのだが。季節の移り変わる夢の中スタジオにて。
バルバラを聴きながら、マヌーとコクリコ夫妻との日々を想う。福生時代はふたりのハウスで、アレスキーやムスタキを聴きながら、果てしの無い夜を過ごしたものだ。音楽が奏でるものは、心の奥底にある言葉では表せない空氣と時間の流れの記憶。今夜はそれを紐解いている。
アシスタントA、約1ヶ月半振りにアトリエに来る。テレワークでは出来ない仕事をする。人が入れた茶を飲んだり菓子を食べたりも久し振りと屈託無く笑い合う。
枇杷の季節になる。一日一つ、くるりと剥いて食べる。暑い一日。朝から氣怠さが漂い、やっとの思いで動く。枇杷がくるりと簡単に剥けるのが嬉しいほど。