HOTSHOT-DAVID BOWIE STAGE

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この春、デヴィッド・ボウイ/DAVID BOWIEの2枚組CDアルバム、リアリティ・ツアー/A REALITY TOURを買って飽かず愛聴している。主に長距離を移動中の車の中で。1曲目のREBEL REBELから最後の33曲目CHINA GIRLまで、リアリティ・ツアーのアイルランド、ダブリンでのステージの一夜がほぼ全曲収録されている。毎日セットリストに変更はあると思うので、ツ アーのために用意した曲数はかなり多いと思うのだが、それにしても一晩に33曲はあまりに多い。ボウイのこのツアーに対する並ではない意気込みを感じため 息が出る。なぜだかボンヤリして日本でのステージを観ることが出来ずに、2004年のまだリアリティ・ツアーの最中にヨーロッパ行きの所用があり、ツアー のスケジュールと自分のスケジュールを確認すると、日程的にアメリカのバーミンガムでしかチャンスは無く、イギリスのバーミンガムだったら良かったのに、などと勝手な悔しがり方をした記憶がある。僕の記憶は曖昧であてにならず、多分ここに記すことにも、人は多くの間違いを見ると思う。赦されよ。日本公演の ボウイは何度か観ているが、やはり素晴らしかったのは、これもまた素晴らしいライブアルバムを残した1978年のワールドツアーだ。この時はワールドツ アー自体のファイナル、12月12日の東京NHKホールを当時僕らのバンド、ZAZOUのメンバーで観に行った。壁一面の蛍光管のステージセットが印象的 で、そればかり覚えている。僕らのバンドのボーカルギターは自他共に認めるボウイの大ファンで、ボウイの初来日公演を観たことを誇り高く自慢にして、愛車 ブルーバードのボンネットには1984とレタリングのステッカーを貼り、ときどきみんなにからかわれていたが、さして気にする風もなく堂々としていた。当 時もそうだし今もだけど、近しい人が大好きな物事に対してちょっと引き気味になる。自分も好きだと言えない。今は少し素直に言うようになったかも知れない が。1978年のワールドツアーは当時2枚組のアルバムが出て、ツアーのステージを観たこともありこのアナログ盤もよく聴いた。2004年にCD化された ものを、リアリティ・ツアーのCDをかなり聴き込んだあたりで手に入れて驚いた。このSTAGEと題されたアルバムの曲順。昔聴き馴れたアルバムだったは ずだし、何気なく車のCDプレイヤーにセットしたのだが、馴染みのあるアナログ盤と曲順が全く変わっている。運転中だったこともあり、とにかく興味深く聴 いたが、後で確認しなるほどと思った。プロデューサー、トニー・ヴィスコンティのアイデアで、アナログ盤はライブで演奏した曲目を曲自体の制作発表順に並 べ、ボウイがそのプランを気に入ってリリースしたのだそうだ。僕はファンだとは言ってもアバウトで、何かにつけて根掘り葉掘りと追求する性質ではないの で、コアなファンなら当然知るようなことも知らない場合が多い。今までアナログ盤に感じていた違和感がなくなり、ライブで演奏された曲目に準じて編集し直 されたアルバムSTAGEは、さらにリマスタリングされたCDで聴くと、僕には以前にも増してリアリティのあるアルバムとして迫るものがあり、1978年 当時のボウイのツアーメンバーの質の高さにも今更ながらに心動かされ、2種類のライブアルバムをとっかえひっかえ聴くことになった。最大の驚きは25年後 のリアリティ・ツアーのアルバムと単純に比較して、デヴィッド・ボウイの声質やパフォーマンスにはなんの衰えも感じられないという点。両ライブアルバムを プロデュースしたトニー・ヴィスコンティの力量もあるだろう。リアリティ・ツアーの観客は良く歌う。そんなリアクションもきれいに拾われて、CD1の8曲目 ALL THE YOUNG DUDESは特に印象的だ。この日のステージの素晴らしさがそこにある。先日MOTT THE HOOPLEのメンバーでキーボーディストのモーガンに会ったときにこの話をすると、最近ロンドンでMOTT THE HOOPLE再結成ライブがあり、観に行ったが大成功だったと言った。出なかったのかと尋ねたら、僕は途中からMOTTにはいったからと笑っていたが、本 当に素晴らしいライブだったと何度も言った。ボウイがプロデュースした同名のアルバムでMOTTのために作ったこの曲ALL THE YOUNG DUDESは、きっと大合唱になったに違いない。ボウイがリアリティ・ツアーの途中で病に倒れ、今はチャリティーのライブなどにゲストとして出演するまで に回復したと噂は耳にする。早く復活して欲しいと熱望する。同時にゆっくり休んで欲しいと思う。ハリウッド製のミュージカルが大好きという話を聞いたこと がある。アートやロック、ファッションのメッセージをショービジネスとして、ボウイほど高いレベルで、しかもエンタテイメントとして体現し表現したミュー ジシャンは居ない。いつかボウイと仕事をするのが夢だ。ボウイに足元などというものがあるとして、そこには遠く及ばないがとにかく仕事に磨きをかけよう。 ミック・イタヤ

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