HOTSHOT-LIGHT
展覧会CORONAが終了してだいぶ時間が経ち、今年も終わりに近づいて来ましたが、高揚した気持ちが下降して、一番低いところから平常な心持ちに還り、 やっと一段落というところにさしかかりました。時間がかかるね。まだまだ為すべきことはあるにせよ、展覧会を少しは俯瞰出来るくらいになったようです。今 回の夏の展覧会で自分が何をするのか、すべきなのかは最初からはっきりはしていましたが、何をしたのかと言うことについては開催してみなければ分かりませ んでした。勿論予想し準備できることは沢山あるものですが、当然全てというわけではありません。なんとか完璧な状態に近付けようと思うあまりに、いつもの 事ながらストレスにまみれます。微妙に予想と言うものは外れるもので、当然予想以外のことも、良いこと歓迎できないこと、共に多くあるものです。展覧会を 開くことで自分を客観的に眺めて、現在地と体や意識の向いている方向を確かめ、さらに近くと遠い未来をズームするように見定め、能力や技術や身につけた諸 々の装備を点検し準備運動をして、着
地点となる目標までの距離を測り跳躍します。まるで臆病な鳥のように。高く低くゆっくり速くどこまでも。とはいえ距離も時間もたいした問題ではありませ ん。着地点が出発した場所と同じように感じたとしても、見て来たもの、見えたものが以前とは違います。まるで思うように飛べない夢の中のような。予想して いたとしても、一度全てを素直に受け入れてみることです。時間の流れのなかで敢えて何もせずに居ることもあります。自分が何をあらわそうとするのか、人が 自分のなかに何を見ようとするのか、あるいは、世界は何を求めているのか、世界に対して何が出来るのか、この騒がしく混沌とした世の中で、静けさや静寂と はどのようなもので、どこにあるのだろうか、果たして、人を驚かすような表現は必要なものなのだろうか。誰も見たこと、感じたことの無い美。どうでもいい ことと知りつつ頭の中を想いが駆け巡ります。沈黙という言葉の意味にも等しく感じられる、とうとうとした浅い眠りの闇の中から、柔らかで明るい灯があふれ て来ます。そこに向かって顔を向けて半
身を起こしたところです。
ミック・イタヤ
TITLE:17REPRISE PART
Acrylic on canvas
500×1000mm
161209
Mic*Itaya
For OPENERS