BISKETCH-KURONEKO

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庭には以前の住人が設置したと思われる猫除けの機械が有りそれがどうやら人にも作用し頭痛をおこすので勿論そんなアンハッピーな兵器はすぐさま取り除き人 のものなら無げに処分せず縁の下に置いておいた住んだ時から必ず居るだろう出会うのは時間の問題と思い暮らしたがなかなか現れず一月ほど経つある夜天井裏 を何か走り行く物音がしそれきりまた二か月余りが過ぎた雨風の強い夜再び天井裏を通行する小動物の足音を聞きすぐさま天井裏への引き戸を開け覗き込んで見 たがそこに居るような間抜けでは無くどんな奴なのだろうか興味は膨らむ一方そして二日前縁の下に立て置いた猫除けの機械が倒れていたこれは天井裏の奴の仕 業だなと直感し誰も近付かぬ縁の下の風では倒れるはずも無い重い猫除けを倒すは何者なのか今朝縁側の角の向こうに真っ黒い猫がこちらを見るのに出会い挨拶 するとこちらを微動だにせずじっと見る態度に黒猫らしい線の細いしなやかさは無くぐっと太い王者をしばらく見つめているとブルッと体を震わせて縁側の角に 頬と尻尾の先を軽く擦り付け悠々と去る両の黄色く輝く眼は強く今まで姿を見せなかったのは当然気配だけでこの地の仕切りをする黒猫どうぞよろしく