PICTURE DIARY 0102FR2013
天井の低い、人のたくさん居る、ごちゃごちゃしたような閉鎖的な場所。呼吸を止め、早い速度で人と人の間をすり抜ける。誰かに足を踏まれ、肘や肩を擦り付けながら。ここでは大音量の音楽は音であって音楽ではない。精一杯怪しい色に調光した照明が、野放図に人の顔を照らして、デッサンを狂わす。知った顔は無く、顔を知る必要も無い。誰かに出会ったとしても話は出来ない。耳に口を近付け、届かない言葉と漂う仄かな酒の匂いが、魚網へ誘い込む撒き餌のように絡み付いて重心が後ろに傾く。扉の向こうには冷たい空気の夜空があって、この世の連続性について証明しようとしている。地下の暗闇の空気が街を走り出しても離れない。