PICTURE DIARY 0508SU2012
もう十数年も以前のことになるだろうか、渋谷の宮益坂上に「長徳」と言ううどん屋があった。うどんと汁、その味は勿論のこと、当時は店の構えや雰囲気が好きでたまに通った。父は外食を好まず、どこかに二人で食事に出た思い出はあんまり無いが、父が上京の折りに一緒に訪れもした。JBLの大きなスピーカーが鎮座してクラシックを聴かす変わったうどん屋だったが、いやな感じはせず、全てが調和していた。それがある日行ってみると、店が無くなっていたのである。好きなものを失うのは寂しい。それからたまにその店を思い出すこともあったが記憶の彼方に忘れ去っていた。一昨年の銀座三越の増床オープンの際に、フロアーマップのレストランガイド欄に同じ名前の店があるのは何となく知ってはいたが、真剣に受け止めずにいた。ところが今日うどんを食べに入って同じ店だと知った。どの様ないきさつがあったのかは知らないが、十数年も店を閉じて、銀座三越の11階で再開したと言う。長い中断があってもそこに強い意思と気持ちを持つ人が居るのだと思うと心強く思う。再会は嬉しいものだ。なぜ閉めたのかは聞かなかった。