PICTURE DIARY 1907TH2012
川の水が流れるのを見ていると、川の水が流れているのではなくて、それを見ているぼくが流れて行くことに気が付く。静寂の支配する森の奥の川のほとりで、吹く風は凪、時折蝶がひらひらと視界の中を不規則な軌道で横切って行くのみ。しかし、感じることが出来る。あらゆるものがこちらを見ているということを。空や雲や木や花、数え切れない命。生物、無生物。ぼくがこの宇宙で占める空間、体積は微々たるものだが、意識は無限だと感じる。かつて自分が何者であって、何者であろうとしているのか。忘れていたことを思い出そうとしている。葉が落ちるのを見ていると、葉が落ちるのではなくて、それを見るぼくが上昇していることに気が付く。小川のほとりに毛布を敷いて横になりながら。