PICTURE DIARY 2705SU2012


近年クラシック音楽に対して親しみを深め、度々聴くようになったのは吉田秀和氏に寄る所が大きい。土曜日の夜の長いドライブの折りなど、親しみを込めてこう呼ばせていただいている「吉田のおじいちゃん」のラジオ放送を聴きながら車を走らすのが本当に楽しみだった。聴ける時には欠かさず聴くようにしていた。ある夜、プーランクのアポリネールの詩などによる歌曲集について、吉田のおじいちゃんにしては思いを強く感じるような、長く見事な解説をなさるのを聴き、その言葉遣い、言葉の選び方の優雅に心底の敬服を得た。近頃のシューベルトやラフマニノフの紹介など楽しみに聴いた。時々吉田のおじいちゃんの声はしゃがれていて大丈夫かな、と思うような事もあったが、次の週の放送では元気な声で、短くも的確な曲紹介と解説が、いつもの洗練された言葉で流れて来るのを聴いて安心していた。日本の宝、輝く宝石、美しい星がまた一つ消えた。決してがっかりしないようにと思うけど、難しいね。残った人がこれから何を伝えられるのか。音楽の歴史は続いている。吉田のおじいちゃんの番組最後の言葉は決まって少し素っ気無い調子で、「そいじゃまた。」

One Comment

  1. かとびい より:

    吉田秀和さん,ミックさんの故郷の水戸芸術館の館長でもあったんですね。
    館長の「お別れ会」が7月5日に催されます。

    http://arttowermito.or.jp/other/other.html?id=278

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