PICTURE DIARY 2804SA2012
塀の上で黒ネコが休んでいる。さっきまで塀には陽の光がさんさんと輝き当たっていたのでとても暖かいのだろう。お腹をペタリと付けて何十分も腹ばいになっている。彼の満足は立ち去るときの大きな、大袈裟に過ぎるような伸びと、これもまた鼻を三角にした特大の欠伸に表されている。悠悠と歩き去る様子には貫禄が見え、表れた時と同様に何事も無かった風に木立の向こうへ姿を消した。星のアトリエの周囲には何匹かの野良猫が居る様子だが、なかなか出会わない。今日は幸運だった。尾の先が鍵型に曲がった黒猫は黒猫の中でも特に富と幸運をもたらすと言う。手水には鳥がやって来て水浴びをして行く、その手水の石の縁には黒褐色の毛虫が枝垂れかかる笹の葉の方向へゆっくりと、あるいは毛虫としては大急ぎで移動して行く。ふと見上げた空を揚羽が横切る。外の通りの両側に植えられた花水木が、真白い花を咲かせて可愛らしい。春が進んで行く。自然は都市の直中でも大いなる自然だ。