PICTURE DIARY 0905WE2018

pd20180509s
大きな音をたてて隣のアパートが壊されて行く。恐竜のような機械が壁を打ち、アルミニウムの窓枠をくわえ、引きちぎる。崩れた壁の向こうにリビングルームやバスルームの断面が現れて、淡いピンクのタイル張りにさっと亀裂が入ったかと思うと、住んでいた人の残像と共に呆気なく崩れ去った。入浴していた残像は、重機の傍らからかけるホースの水に身を震わせて、滴り落ちるまま廃棄物処理のトラックに投げ入れられ、あっさりと落ち着く。ダイニングキッチンで、家族はテーブル上のねじくれた鉄筋と水道管のパスタの昼食に夢中だが、会話は聞き取れずジェスチャーを交わしている。積み重なった時間と、でたらめに折り重なったコンクリートの塊の玄関で、何回の行ってらっしゃいとお帰りなさいがやりとられただろう。この作業は行ってらっしゃいなのだろうかお帰りなさいなのだろうか。

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